スバル・レガシィB4 2.0GT spec.B(5MT)【ブリーフテスト】
スバル・レガシィB4 2.0GT spec.B(5MT) 2004.05.22 試乗記 ……331万8000円 総合評価……★★★★ 2003年5月23日にフルモデルチェンジを受けた「レガシィB4」。ターボモデルの「2.0GT」に18インチホイールを履かせた「spec.B」に、『webCG』コンテンツエディターのアオキが乗った。
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ビジネスマンズ“デイリー”エクスプレス
18インチホイールに巻かれた薄いタイヤ。先代よりグッと垢抜けたデザイン。「ボクサーサウンド」と総称された排気干渉の音は影をひそめ、しかしアイドリング時でもくぐもった声で潜在能力を訴える。テスト車の「B4 2.0GT Spec.B」は、「水平対向エンジン」「ターボ」「マニュアル」という、今日の自動車産業のメインストリームからは、ちょっとはずれた要素から構成されたモデルだ。個性を詰め込んだ中身と反比例するかのように(?)匿名性の高いスタイルを纏ったサルーン。個人的には、B4の魅力はソコにあると思う。
“手漕ぎ”でギアを変え、スロットルペダルを踏み込めば、B4ターボ、スポーツカーの顔色なからしめる加速を披露し、路面によっては、“スポーツカー好き”でない同乗者を困惑させる乗り心地を提供する。かなり硬め。
オンボードコンピューターで、燃費をチェックすると、街乗りで10km/リッター前後。高速道路で流れにのって走ると、11.9km/リッター。山岳路でムチを入れ、いわゆる“スポーツ走行”にトライすると、アワワ……3.8km/リッター。罪滅ぼしに、往路で燃費走行を心がけ、100km/h巡航=18.5km/リッターを記録した。自動車専門誌『NAVI』で、先代の、やはりターボ付きB4(5MT)を長期リポート車として使っていた経験から推測するに、ニューB4は、実用燃費で1、2割は向上しているのではないか。ハイウェイクルージングでは、特に燃費を意識することなく走って「リッター15km」を維持するのは、それほど難しいことではないと感じた。
ターボエンジンの余裕ある高速巡航。ビシッとした足まわり。路面状況の変化に強い4輪駆動。控えめな外観。そのうえ、内容に比してリーズナブルな価格。連日、高速道路を行き来する必要のあるビジネスマンにとって、B4ターボは、理想的な伴侶となろう。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「レガシィ」シリーズは、いわずとしれたスバルの基幹モデル。現行モデルは、2003年5月23日にフルモデルチェンジした4代目。3ナンバーサイズに拡大しながら、軽量化を果たしたボディがジマン。中低速トルクを向上させたエンジンや5AT、電制スロットルの採用も新しい。
セダン版たる「B4」は、4635(+30)×1730(+35)×1425(+15)mmと先代よりひとまわり大きくなった。全長が長くなったのは、主に後方からの衝突テストに備え、リアのオーバーハングを延ばしたため。ホイールベースは先代より20mmストレッチされた2670mm。
エンジンは、もちろんスバルお得意の水平対向4気筒で、新型から2リッターに一本化。ヘッドメカニズムの差異と過給器の有無により、SOHC16バルブ(140ps)、DOHC16バルブ(MT=190ps、AT=180ps)、インタークーラー付きターボ(MT=280ps、AT=260ps)の3種類が用意される。トランスミッションは、SOHCエンジンが4段ATのみ。DOHCは5段MTと4段AT、ターボエンジンには5段MTに加え、新開発の5段ATが奢られた。駆動方式は、全車4WDである。
(グレード概要)
「2.0GT spec.B」は、同じターボエンジンを積む「2.0GT」の上級グレード。スポーティグリルとスポイラーを一体化したフロントバンパーを装着。インテリアには、アルミパッド付きスポーツABCペダルが標準で備わる。
ビルシュタイン製ダンパーを装着するのは2.0GTと同じだが、タイヤサイズが、「215/45R17」から「215/45R18」にアップ。AT、MTとも、最終減速比が下げられた。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
シルバーと黒で、クールに、スポーティにキメたインパネまわり。もちろんモダナイズされているが、先代から乗り換えても違和感ない眺めだ。もうひとつのボクサーエンジン製造メーカー、つまりポルシェと同じポリシーが感じられる、といったらホメすぎか。全体にスッキリしたパーツ構成で、極端に高い製作精度が要求されないよう工夫されている。とはいえ、インパネ上部にはめ込んだディスプレイまわりの面あわせは苦労したであろう。オーディオ、空調といった操作系は、コンベンショナルだが、明快で、使いやすい。
(前席)……★★★
運転席側のみパワーシート。背もたれ横に付くランバーサポート用レバーは、腰の後ろの出っ張り具合の調整が簡単でいい。
シートは座面の長さをたっぷり取り、シート素材を変えることによって、サイドサポートをあたかも別体パーツのように見せている。座り心地はやや平板。いわゆるスポーツ走行にトライすると、特にバックレストの横サポート形状が柔らかく、かつ滑りやすい素材でできているため、spec.Bがもつ運動能力に対して、上体のホールド感が不足気味。
(後席)……★★
低めの着座位置、角度のついた背もたれで頭上空間を稼ごうとしている。それでも、身長165cm、座高高めのリポーターの場合、髪が天井につきそう。また、頭半分がリアガラスにかかるのも、日差しが強い夏場は気になるところ。
一方、先代では固定式だったヘッドレストが延ばせるようになり、3人分の3点式シートベルトが装備されたのは進歩。6ライト(後ドアの後ろにも窓がある)の恩恵で、閉じこめられた感がすくないのもいい。快適性はいまひとつだが、大人3人で使えるリアシートだ。
(荷室)……★★★
床面最大幅140cm、奥行き110cm、高さは50cm弱と、十分なラゲッジスペース。リッドを支えるヒンジが積まれた荷物に干渉しないよう、カバーを通るカタチになる。フロアの下には、細かく区分けされた床下収納スペースがある。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
吸排気系の取りまわしを一から見直し、排気干渉を排除した新しいターボエンジン。「ドコドコドコ……」といったサウンドは陰をひそめたが、それでもアイドリング時の唸り声、スロットルペダルを踏み込んだときの二次曲線的加速で、スバルファンを喜ばせる。おとなげなく峠を走ったりすると、ギアノイズが耳につくが、弟分のラリーフィールドでの活躍が頭に浮かんで、むしろウレシイかもしれない。
B4ターボのカタログ燃費は、先代の10.8から12.0km/リッターに向上。ただし、クルマの運動能力に見合ったドライビングスタイルを取ると、たちまちガソリン消費量は、目を覆わんばかりになる。
余談だが、ニューターボエンジンは、全体としては低回転域から十分なトルクが提供されるが、しかし極低回転域でのトルクは比較的細い。トルコンの助けを借りられないマニュアル車の場合、不用意にクラッチペダルを扱ったり、考え事をしながら車庫入れしたりすると、エンストしそうになって、またはエンストして、恥をかく。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
常にスポーツセダンたることを主張する乗り心地。硬い。路面のインフォメーションを正直に伝え、ときに乗員を上下にゆすることもあるが、ハーシュネスの角はマイルドにされ、自らステアリングホイールを握るドライバーにはさほど気にならない。
ハンドリングはスバラシイ。路面の凹凸に合わせてサスペンションが生き物のごとくしなやかに動き、クルマとの一体感が強い。軽率にオシリを振ったり、運転手が気張りすぎなければ、コーナーでやたらとアゴを出すこともない。カラダは大きくなったが、走りはひきしまったまま。
(写真=峰昌宏/2004年5月)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2004年1月12-15日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:2万6473km
タイヤ:(前)215/45R18 89W(後)同じ(いずれもブリヂストン ポテンザ RE050A)
オプション装備:クリアビューパック/濃色ガラス/LEGACYビルトインDVDナビゲーションシステム(29万4000円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速(6):山岳路(2)
テスト距離:280.3km
使用燃料:38.7リッター
参考燃費:7.2km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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