スバルフォレスター X20 L.L.Bean EDITION(4AT)【試乗記】
「ダブルネーム」のお買い得車 2003.04.05 試乗記 スバルフォレスター X20 L.L.Bean EDITION(4AT) ……243.8万円 スバルのSUV「フォレスター」とアパレルメーカー「L.L.Bean」との提携によりつくられた「フォレスターX20 L.L.Bean Edition」。「X20」をベースに特別装備が施されたモデル。CG編集部、渡辺慎太郎が試乗した。
![]() |
![]() |
スバルのイメージとは?
スバル・フォレスターに「X20 L.L.Bean EDITION」という特別仕様車があるのは知らなかった。「スバル」と「L.L.Bean」、いわゆる「ダブルネーム」である。
日本の自動車メーカーの日本市場におけるイメージと海外市場におけるイメージには結構大きな差があって、例えば北米市場におけるスバルのイメージはすこぶるいい。日本でのスバルのイメージは……皆さんの頭の中に今まさに浮かんだものでほぼ間違いないと思う。でも北米でスバルと言えばそれはもう立派な「ブランド品」である。申し分のない学歴があって上品で自分の趣味をちゃんと持っていて、週末や余暇にはそれを楽しむ時間をきちんと取るような人が乗るクルマ、スバルとはそんなイメージなのである。
そういう人が好んで選ぶもうひとつのブランドが「L.L.Bean」である。機能性や品質にこだわった、主にアウトドア関連の衣料品やツールを販売するメーカーであることは皆さんもご存知の通り。ターゲットカスタマーとブランドイメージが似通ったスバルとL.L.Beanのコラボレーションは、販売促進・販売戦略の面から考えても成るべくして成った、誰が聞いても「ああなるほど」と納得のいくものだと言えるだろう。
![]() |
![]() |
期間限定お買得商品
今回の特別仕様車のベースとなったフォレスターは、ターボの付いていない2リッター水平対向4気筒エンジンを搭載した「X20」。これに、専用デザインの16インチアルミホイール、マルチリフレクター式フロントフォグランプ、2灯式HIDハイ&ロービームランプを装着。でもハイライトはエクステリアよりもむしろインテリアで、「L.L.Bean EDITON」と型押しされたベージュの本革シートが標準装備される他、本革巻きステアリングホイール/シフトレバー(AT/MT共)、MD&6連奏インダッシュCDプレーヤー付きオーディオシステム、荷室/リアシートバックハードマットなど充実した装備類に目を惹かれる。加えて、本来ならばメーカーオプションのセルフレベライザー内蔵リアサスペンションまでもが組み込まれていて5段MT仕様車が209.8万円、4段AT仕様車が216.8万円とはお買い得である。
特別仕様車がお買い得なことは百も承知でも、自分が欲しいクルマでなかったり、タイミングが合わなかったり、台数限定だったりして、うまく巡り会うことは難しいかもしれない。以前からフォレスターに目を付けていて、「L.L.Bean」のトートバッグなんかをすでにお持ちの方にはいい機会かもしれない。ちなみにこのクルマ、台数限定ではないけれど、7月末までの期間限定商品だそうである。考える時間はまだたっぷりありますね。
のっぽでも低重心
「L.L.Bean EDITION」だからといって、フォレスターの乗り味に変化はない。フォレスターはフォレスターである。フォレスターとは、ごくごく簡単に言ってしまえば背の高いレガシィである。これは事実。背が高いクルマというのは安定感に乏しい。これも事実。しかしフォレスターの場合は例外。水平対向エンジンにはさまざまな特徴があるけれど、エンジン高が低いからそれを搭載するクルマはおのずと低重心になる。重心が低いとクルマにとってはよいことが多い。たとえば操縦安定性には有利、など。フォレスターのステアリングを握っていると、頭上にたっぷりスペースがあって、背の高いクルマに乗っていることを実感する。しかし、ステアリング操作に対するレスポンスのよさや穏やかな荷重移動などから、重心の低さが伝わってくると同時に安心感も伝わってくる。
エンジン音が若干勇ましいのはフォレスターのせいではなく、スバルの4気筒ユニットに共通すること。137ps/19.0mkgのパワーに不満はないから多少のことには目を瞑りましょう。ノンターボでも問題なし。
(文=渡辺慎太郎/写真=峰 昌宏/2003/3月)

渡辺 慎太郎
-
スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】 2025.10.18 「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。
-
ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】 2025.10.17 「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。
-
スバル・ソルテラET-HS プロトタイプ(4WD)/ソルテラET-SS プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2025.10.15 スバルとトヨタの協業によって生まれた電気自動車「ソルテラ」と「bZ4X」が、デビューから3年を機に大幅改良。スバル版であるソルテラに試乗し、パワーにドライバビリティー、快適性……と、全方位的に進化したという走りを確かめた。
-
トヨタ・スープラRZ(FR/6MT)【試乗記】 2025.10.14 2019年の熱狂がつい先日のことのようだが、5代目「トヨタ・スープラ」が間もなく生産終了を迎える。寂しさはあるものの、最後の最後まできっちり改良の手を入れ、“完成形”に仕上げて送り出すのが今のトヨタらしいところだ。「RZ」の6段MTモデルを試す。
-
BMW R1300GS(6MT)/F900GS(6MT)【試乗記】 2025.10.13 BMWが擁するビッグオフローダー「R1300GS」と「F900GS」に、本領であるオフロードコースで試乗。豪快なジャンプを繰り返し、テールスライドで土ぼこりを巻き上げ、大型アドベンチャーバイクのパイオニアである、BMWの本気に感じ入った。
-
NEW
MINIジョンクーパーワークス コンバーチブル(前編)
2025.10.19思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「MINIジョンクーパーワークス コンバーチブル」に試乗。小さなボディーにハイパワーエンジンを押し込み、オープンエアドライブも可能というクルマ好きのツボを押さえたぜいたくなモデルだ。箱根の山道での印象を聞いた。 -
スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】
2025.10.18試乗記「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。 -
ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】
2025.10.17試乗記「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。 -
スバルのBEV戦略を大解剖! 4台の次世代モデルの全容と日本導入予定を解説する
2025.10.17デイリーコラム改良型「ソルテラ」に新型車「トレイルシーカー」と、ジャパンモビリティショーに2台の電気自動車(BEV)を出展すると発表したスバル。しかし、彼らの次世代BEVはこれだけではない。4台を数える将来のラインナップと、日本導入予定モデルの概要を解説する。 -
アウディQ5 TDIクワトロ150kWアドバンスト(4WD/7AT)【試乗記】
2025.10.16試乗記今やアウディの基幹車種の一台となっているミドルサイズSUV「Q5」が、新型にフルモデルチェンジ。新たな車台と新たなハイブリッドシステムを得た3代目は、過去のモデルからいかなる進化を遂げているのか? 4WDのディーゼルエンジン搭載車で確かめた。 -
第932回:参加者9000人! レトロ自転車イベントが教えてくれるもの
2025.10.16マッキナ あらモーダ!イタリア・シエナで9000人もの愛好家が集うレトロ自転車の走行会「Eroica(エロイカ)」が開催された。未舗装路も走るこの過酷なイベントが、人々を引きつけてやまない理由とは? 最新のモデルにはないレトロな自転車の魅力とは? 大矢アキオがリポートする。