トヨタ・ランドクルーザー プラドRZ(3.4ガソリン/4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ランドクルーザー プラドRZ(3.4ガソリン/4AT) 2002.12.12 試乗記 ……374.1万円 総合評価……★★★★地球の果てまで
カッコはSUVながら、モノコックボディにスタンバイ4輪駆動システムを備えた、街乗り重視の“ライトクロカン”がもてはやされる時代にあって、セパレートフレームにリジッド(車軸式)のリアサスペンション、副変速機付きのフルタイム4輪駆動システムといった、本格派クロスカントリーのメカニズムをもつ「プラド」は、孤軍奮闘が予想される。リアルオフローダー、たとえばランドローバー「ディフェンダー」やジープ「ラングラー」などの“硬派”は、今の日本でまったくウケないのだ。大柄なボディとサルーン級の乗り心地で高級車として人気が高く、窃盗団に狙いうちされる「ランドクルーザー100系」はまだしも、ちょっと小さなプラドはその陰に隠れて分が悪い。
しかし、乗ってみると今度のプラドはすごくいい。ハンドリングと乗り心地、エンジンとトランスミッションに、大いに磨きがかけられた。プラドのような“本格派”に乗ると、「地球の果てまで行ってみようか」という気になり、世に溢れたライトクロカンの“欺瞞性”が浮き彫りにされるようだ。日本、特にダート路がほぼ皆無な都市部において、プラドの本格ぶりは“トゥーマッチ”かもしれない。しかし、そもそも“都市でSUVに乗る”ということがトゥーマッチなのではないか? プラドのできのよさを知って、そんなことを考えた。旧共産圏のクルマのようなフロントグリルと、つまらないインテリアが、せっかくの“よさ”をスポイルしているが。
ところで、プラドには3ドアと5ドアがある。後者には人をたくさん乗せた時のことを想定した“ミニバンっぽさ”が見え隠れするのに対し、3ドアはSUVに徹した潔さがある、と思う。3人以上乗ることがまれならば、迷わず3ドアで行こう。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
トヨタを代表するクロスカントリー「ランドクルーザー」より、一まわり小さい4×4が「プラド」。現行モデルは、2002年10月7日にフルモデルチェンジした3代目。プラットフォームを「ハイラックス サーフ」(こちらは4代目)と共用し、高級&上質指向のプラド、若者向けのサーフとキャラクターが分けられる。サーフは5ドアモデルのみだが、プラドは5ドアに加え、3ドアもラインナップする。
本格4×4モデルでも、今はモノコックシャシーと4輪独立サスペンションが主流だ。しかし、新型プラドはラダーフレームを新開発。サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアはリジッド式だ。エンジンは、2.7リッター直4DOHC16バルブ(150ps/4800rpm、24.0kgm/4000rpm)と、3.4リッターV6DOHC24バルブ(185ps/4800rpm、30.0kgm/3600rpm)のガソリンエンジンに加え、コモンレール式ディーゼルの3リッター直4DOHCターボ・インタークーラー付き(170ps/3400rpm、35.9kgm/1400〜3400rpm)の3種類。トランスミッションはすべて4段ATとなる。ラフロードの急な下り坂で速度を一定に保つ「アクティブTRC」をはじめ、様々な電子デバイスが備わった。
(グレード概要)
「RZ」は、プラド3ドアモデルの最上級グレード。インテリアに、本革巻きステアリングホイールや木目調トリムを採用したゴージャス版となる。シート表皮はスウェード調ニットだが、運転席は電動ランバーサポート付き。装備品として、9つのスピーカーと、インダシュ6連奏CDチェンジャー&MDプレーヤーを装備する。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
必要な装備は揃っており、インパネの操作系統も特別に使いにくいというわけではないのだが、クルマとして、モノとしての魅力に欠ける。各部は無難な造形でまとめられてはいるものの、魅力に乏しいのだ。素晴らしいハンドリングと乗り心地、エンジンやトランスミッションにふさわしい、思い切った造形ディレクションが望まれる。
(前席)……★★★
シートのかけ心地、空間設計などに不満はない。だがもうすこしシャレッ気というか、色気のようなものがあってもいい気がする。このままでは、ちょっと保守的な日本のユーザーにしかアピールできないだろう。
(後席)……★★★
背もたれを、3:2に分割して倒せるのは便利。フルに5人乗るより、2人ないし3人乗ることの多い人が3ドアを選ぶのだ。普段使わない2列目シートを有効活用できるし、3人乗りで旅をするにも気の利いた設計である。かけ心地に不満はない。
(荷室)……★★★
5ドアモデルのように3列目シートがないので、後席を倒さなくても荷室スペースは必要十分。床面最大幅125cm、奥行き60cm、天井までの高さは1m以上ある。特筆すべきは、3列目シートを立てた状態の5ドアモデルより面積が広いこと。裏を返せば、3列目シートを使用状態にした5ドアは、ほとんどモノが載らないということなのだ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
ガソリン3.4リッターV6エンジンは低回転域から太いトルクを発生し、ガスペダルを踏み込めばスムーズに吹け上がる。太いトルクは街中での発進加速や、ラフロード走行で強い味方となるはずだ。滑らかな回りっぷりは、高速道路や一般道での快適な巡航に寄与するに違いない。トランスミッションの変速はスムーズなうえに、静かでショックが極小。4段ながら、「セルシオ」や「クラウン」など、トヨタ上級車種のそれを思わせる。
新型プラドには、オフロード走行を補助する電子デバイスが用意される。スイッチを入れておけば、ガスペダルにもブレーキペダルにも一切触れず、急斜面でも車速を一定に保って静々と降りていく「アクティブTRC」は、平坦路に降りればガスペダルとブレーキペダルへの操作を受け付けて加減速する。いちいちスイッチのオンオフを繰り返さなくてよいので便利だ。新型「レンジローバー」の「HDC」と原理的に同一だが、プラドのほうが使い勝手はよい。
そのほかにも、VSCをはじめとする数々の最新の電子制御デバイスがセットで装備されるが、その真価を試みる時間と機会は、残念ながら今回の試乗に含まれなかった。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
プラドに乗ってまず驚かされるのは、乗り心地とハンドリングがSUVとは思えないほど、高いレベルで両立されていることだ。ラダーフレームの本格SUVは、ハンドルを切ってコーナリングすると、クルマの“曲がり”に対してボディのロールがワンテンポ遅れて付いてくるものだが、プラドではその遅れがほとんどない。
その道の先輩であるレンジローバーは、新型でモノコックフレームと4輪独立サスペンションを採用することで、オンロード性能の向上を図った。一方、新型プラドはフレーム付きボディのまま、従来の弱点であった、オンロードでの粗い乗り心地と静粛性の低さを改善した。非常に上質な走りっぷり。加えて、レンジローバーより小さなボディとエンジンが、より緻密で上質な感覚を生むと感じた。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:金子浩久
テスト日:2002年10月22日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:301km
タイヤ:(前)265/65R17(後)同じ
オプション装備:「アクティブ I パッケージ」(チルト&スライド電動ムーンルーフ+ルーフレール+フロントバンパープロテクター+フィールドモニター)=13.6万円/SRSサイドエアバッグ&カーテンシールドエアバッグ=8.0万円/プラド・スーパーライブサウンドシステム(DVDボイスナビゲーション付きEMV+MDプレーヤー一体AM/FMマルチ電子チューナー付きラジオ+6連奏CDチェンジャー+AM/FM/TVダイバシティガラスアンテナ+9スピーカー=26.5万円
走行状態:市街地(8):山岳路(2)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

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