フォード・エスケープ V6 3000XLT「イエローエスケープ」(4AT)【ブリーフテスト】
フォード・エスケープ V6 3000XLT「イエローエスケープ」(4AT) 2001.09.20 試乗記 ……275.0万円 総合評価……★★★“目立ち度トゥ個体レシオ”
ツリ目気味フェイスで、“スポーティな走り”を目指す二卵性姉妹車「マツダ・トリビュート」と較べ、ノンビリした顔つきのエスケープ。スペシャルカラーたる派手な黄色をまとっても嫌みにならない。マツダ車とのインパネまわりの目立った違いはステアリングホイールとホワイトメーターぐらいだが、これまた特別装備たるブラックレザーのシートに腰をおろしてキーを捻ると、V6 3リッターがブロロン!!と目をさます。フォーカム24バルブという立派なヘッドメカニズムをもつのに、なぜかプッシュロッドみたいな音がする不思議なクリーブランド製エンジン。
走りはじめると、さすがは4輪独立懸架、兄貴分たるエクスプローラー(旧型)ほど上屋は揺れず、コーナリングもカッチリこなす。とはいえ「ツッぱる妹」、つまりトリビュートほど足は硬くなく、またステアリングギアも遅くて、運転感覚は、ちょっと視点の高いラグジュアリーサルーンといったところ。両隅がしっかり見える四角いエンジンフードの恩恵で、車両感覚も掴みやすい。最小回転半径=5.6m。
決して悪いクルマではないけれど、どうも街で見かけることの少ないエスケープ。せめて黄色のボディで、“目立ち度トゥ個体レシオ”を上げたいところだ。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
フォード、マツダ共同開発を謳うフォード初の“ライトクロカン”。前マクファーソンストラット、後マルチリンク式の4輪独立懸架をもつ。フォード名「エスケープ」、マツダ名「トリビュート」。北米では1998年、日本では2000年12月から販売が開始された。3リッターV6もしくは2リッター直4ユニットを横置きし、多板クラッチを用いた「ロータリーブレードカプリング」を介して4輪を駆動する。車名にかかわらず、左ハンドルはフォードのカンザス工場(ミズーリ州)、右ハンドルはマツダの防府工場(山口県)で造られる。
(グレード概要)
テスト車のイエローエスケープは、2001年8月20日に発表された100台の特別限定車。3リッターV6モデルをベースに、専用ボディカラー、電動スライドサンルーフ、そして黒の本革内装(ノーマルはファブリックのみ)を奢ったもの。機関面での差異はない。価格は28.0万円上昇して、275.0万円となる。「スペースイエロー」と呼ばれる車体色は、ミズーリ製の左ハンドル車にはラインナップされるが、山口産の右ハンドルモデルには設定がなかった。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
アッケラカンと機能に徹したインパネまわり。革を模したシボのフェイシアが用いられるが、センターコンソールほかは簡単な艶消し加工が施されたプラスチックが使われる。オーディオやエアコンディショナーの大きなダイヤルやスイッチ類がシンプルに配される。操作に迷う余地がない。コラムシフトは、シフター先端にオーバードライブのオフスイッチが埋め込まれており、使いやすい。
(前席)……★★★
「イエローエスケープ」専用のブラック革内装。シートのサイズは中庸で、たとえばマスタングのように、平均的日本人にはもてあますような大きさではない。運転席側にはダイヤル式の座面角度調整が備わり、チルト可能なステアリングホイールとあわせ、適正なドライビングポジションがとれる。アメリカンSUVとしてはスポーティな、やや硬めな座り心地。
(後席)……★★★★
ボクシーなボディを活かして、足元、頭上とも十分なスペースが確保されるリアシート。エスケープは窓枠下端のショルダーラインが低いので、窓が大きく、開放感がある。頼りがいのあるヘッドレストが、安心感を高める。左右にISO-FIX対応チャイルドシート用アンカーが備わる。バックレストはリクライニングでき、また荷室を広げるべく、座面も前に倒したダブルフォールディングが可能だ。
(荷室)……★★★★
荷物の出し入れを考慮して、リアガラスだけを開閉することもできるテイルゲイト。向かって右に「GLASS」左に「DOOR」と設置されたオープナーを手前に握ってゲイトを開けると、フラットで、いかにも使いやすそうなラゲッジルームが用意される。ストラットタワーの張り出しも最小限だ。床面最大幅133cm、奥行き91cm、パーセルシェルフまでの高さ40cm。後席背もたれを倒せば、奥行きは150cm以上に広げられる。左右の壁に小物入れと、12Vの電源ソケット有り。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
203psの最高出力と27.0kgmの最大トルクを発生する3リッター「デュラテック」V型6気筒。ヘッドとブロックはもちろん、オイルパンまでアルミ製なのがジマンだ。ピークパワーの発生回転数は6000rpmと高めだが、低い回転域からのトルクは豊か。100km/hでは2000rpm前後で、ガスペダルを踏み込めば楽々と加速する。が、ノイズも2次曲線的に増加する。せっかちな音楽フリークには向かない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
フレームとモノコックボディを一体化させた「ユニボディ構造」をもつエスケープ。インディペンデントサスと合わせ、舗装路での乗り心地はいい。ハンドリングも小型ヨンクたる外観にあった穏当なもの。オールシーズンタイヤを履くせいもあって決してシャープではないが、ダルで退屈なこともない。FF(前輪駆動)をベースに、ビスカスカプリングよりコンパクトな「ロータリー・ブレード・カプリング」を用いたスタンバイ4WDモード「AWD」(All Wheel Drive)も用意される。センターデフをロックして、前:後=50:50にトルクを振り分けることも可能だ。
(写真=阿部ちひろ)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2001年9月15日から16日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年モデル
テスト車の走行距離:2023km
タイヤ:(前)235/70R16/(後)同じ
オプション装備:(イエローエスケープ特別装備)専用ボディカラー+ブラック本革内装+電動スライドガラスサンルーフ
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:299.8km
使用燃費:49.0リッター
参考燃費:6.1km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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