クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック
【スペック】全長×全幅×全高=4935×1915×1345mm/ホイールベース=2940mm/車重(乾燥重量)=1850kg/駆動方式=FR/4.7リッターV8DOHC32バルブ(450ps/7000rpm、52.0kgm/4750rpm)/価格=2112万5000円(テスト車=2150万4000円/アルカンタラ・ルーフライニング=18万3000円/消火器=3万4000円/ステッチカラー=2万1000円/ステアリングレザーカラー=2万6000円/ダッシュボードカラー=11万5000円)

マセラティ・グラントゥーリズモMCストラダーレ(FR/6AT)【試乗記】

華麗なる遊びの世界 2012.04.10 試乗記 森口 将之 マセラティ・グラントゥーリズモMCストラダーレ(FR/6AT)
……2150万4000円

“マセラティ史上最速のクーペ”をうたう「グラントゥーリズモMCストラダーレ」。高速道路からワインディングロードまで、そのパフォーマンスを試した。
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

マセラティらしい本気モデル

フェラーリやポルシェならまだ分かる。でもマセラティ・グラントゥーリズモのような、あでやかなスタイリングとインテリアを持つ4シータークーペをここまでレーシングカーっぽく仕立てるなんて……そう思う読者は、少なくないだろう。でもこのブランドの歴史を知る者にとっては、納得できるモデルである。
第2次世界大戦前のマセラティは、レーシングカーのコンストラクターとして活躍した。戦後経営陣が変わったのを機に、そのテクノロジーを生かしたロードカー作りを始めてからも、F1やスポーツカーレースへの参戦を続けた。

1970年代以降は会社の経営状況が芳しくなかったこともあり、活動は控えめになっていたけれど、90年代にフィアット・グループ入りしてそれが安定すると、かつての勢いを取り戻した。

2007年にデビューした「グラントゥーリズモ」も例外ではなく、2年後にGT4カテゴリー向けにレース仕様の「グラントゥーリズモMC」を送り出すと、2010年にはワンメイクレース用として「MCトロフェオ」を登場させている。

ちなみにMCとは、「マセラティ・コルセ」の意味。彼らにとってレースとは、ブランドイメージを上げるための手段などといった付加的なものではなく、本能みたいな存在なのである。

しかも僕が知る限り、マセラティのオーナーは超がつくほどのカーガイが多い。イベントなどで集まると、朝から晩までクルマの話をしている。たまに出るそれ以外の話題で、圧倒的な生活水準の違いを教えられるけれど、それ以外は僕たちと同じ人種なんだと好感を抱くことが多い。
そういうユーザーたちを知っているだけに、MCストラダーレのようなモデルが登場するのは、なおさら当然のことに思えるのだ。


マセラティ・グラントゥーリズモMCストラダーレ(FR/6AT)【試乗記】の画像 拡大
フロントに縦置きされる、4.7リッターV8エンジン。「グラントゥーリズモS」を10psと2.0kgm上回る450ps/7000rpmと52.0kgm/4750rpmを発生する。
フロントに縦置きされる、4.7リッターV8エンジン。「グラントゥーリズモS」を10psと2.0kgm上回る450ps/7000rpmと52.0kgm/4750rpmを発生する。 拡大
マセラティの量産車で、初めて300km/オーバーという最高速度を掲げる「MCストラダーレ」。0-100km/hの加速タイムは、4.6秒。
マセラティの量産車で、初めて300km/オーバーという最高速度を掲げる「MCストラダーレ」。0-100km/hの加速タイムは、4.6秒。 拡大
マセラティ グラントゥーリズモ の中古車webCG中古車検索

ぜいたくな差別化

実車を前にすると、さまざまな部分がスタンダードのグラントゥーリズモと違っていることに驚く。ひと目で分かるのはMCトロフェオと同じ、グリルを突き出し両脇を張り出した顔つきだが、ドアの前のルーバーやセンター2本出しマフラーなど、それ以外もモディファイの域を超えた差別化にうならされる。

僕たちにとって手が届く500万円以内のスポーツクーペだったら、エクステンションパーツの装着ですませるところを、MCストラダーレは造形そのものを一新している。マセラティというブランドの格の違いを教えられる。

でも衝撃度からいえば、インテリアのほうが上だろう。ドアを開けるとバケットシートが目に入り、後方にあるはずのリアシートはなく、代わりに足元に消火器(!)が置かれているのだ。おかげで車両重量は「グラントゥーリズモS」比で100kgものダイエットに成功している。

それでいてインパネは、下半分がシートと同じスエードで覆われ、ブルーだったメーターのダイヤルがブラックに塗り替えられるなどの違いはあるものの、ナビやエアコンは標準装備のままだ。
海外の記事では「ジェントルマンズ・レーサー」という言葉が使われていたが、たしかにこの空間、“紳士の遊び場”という表現がふさわしい。

ではグラントゥーリズモSをベースにエンジンを10psと2kgmスープアップし、車高を10mm下げ、ブレンボ製カーボンセラミックブレーキを採用した走りはどうなのか? 意外なことに、最初に感じたのは望外の快適さだった。

フロントのエアインテークやエアダムは、「MCストラダーレ」専用デザイン。標準モデルより大きなダウンフォースを発生する。
フロントのエアインテークやエアダムは、「MCストラダーレ」専用デザイン。標準モデルより大きなダウンフォースを発生する。 拡大
シートは、レザーとアルカンターラがあてがわれたバケットタイプ。背後に見えるのはオプションの消火器で、リアシートは存在しない。
シートは、レザーとアルカンターラがあてがわれたバケットタイプ。背後に見えるのはオプションの消火器で、リアシートは存在しない。 拡大
マセラティ・グラントゥーリズモMCストラダーレ(FR/6AT)【試乗記】の画像 拡大
ワインディングロードを疾走する「MCストラダーレ」。前後重量配分は前48.5:後51.5となっている。
ワインディングロードを疾走する「MCストラダーレ」。前後重量配分は前48.5:後51.5となっている。 拡大

「レース」モードは禁断の果実

低くタイトなバケットシートに体を固定されているのに、全然ゴツゴツこない。硬めであることはたしかだが、ショックの角は絶妙に丸められている。このまま500kmの距離を楽勝で走り切れそうなほど洗練されているのだ。

加速そのものは、劇的に速くなったわけではないけれど、レスポンスは鋭くなった。しかもドライビングモードには、従来の「オート」「スポーツ」に加えて、「レース」(!)が用意されている。
オートからスポーツにモードを切り替えると、途端に排気音がボリュームアップし、パドルをはじけば小気味いいシフトアップを繰り返しながら、速度を上乗せさせていく。これだけでも十分感動に浸れるのは、以前書いたグラントゥーリズモSの試乗記にあるとおりだ。

しかし上には上がある。レースモードだ。変速時間を0.1秒から0.06秒まで縮めたというアナウンスどおり、硬質なショックをともないながら瞬時にシフトアップを完了し、公道でこんな音を響かせていいの?と思ってしまうほどストレートなエキゾーストサウンドを周囲に響かせながら突進する。

しかもコーナー入り口で、カーボンセラミックブレーキならではの強力な減速を体感しながら左のパドルを引き続けると、コンッ、コンッと自動でシフトダウンしていく技まで備えている。一度体験したら、ずっとこのモードで走りたくなる。まさに病みつき、禁断の世界だ。

ハンドリングもグラントゥーリズモSより軽快だ。でも乗り心地と同様、マセラティらしさは残っている。進入でブレーキを掛けて前荷重を与えればターンインが鋭くなり、コーナーからの立ち上がりで右足を踏み込むとリアが沈み込み、後輪が力強く路面を蹴っていく。

力任せのコーナリングではなく、ドライバーとクルマが対話しながら、速さを極められる奥の深さ。それをラグジュアリーな仕立ての中で味わう。一世紀近い歴史を持ち、レースで何度も頂点に輝き、ヨーロッパの上流社会も知るマセラティならではの、華麗なる遊びの世界がそこにあった。

(文=森口将之/写真=河野敦樹)


マセラティ・グラントゥーリズモMCストラダーレ(FR/6AT)【試乗記】の画像 拡大
ボディー下のエアフローを向上させるべく、エキゾーストパイプは中央寄りにレイアウト。専用デザインのリアバンパーが与えられる。
ボディー下のエアフローを向上させるべく、エキゾーストパイプは中央寄りにレイアウト。専用デザインのリアバンパーが与えられる。 拡大
その名も「MCデザイン」と呼ばれるアルミホイール。組み合わされるタイヤのサイズは、前:255/35R20、後:295/35R20。
その名も「MCデザイン」と呼ばれるアルミホイール。組み合わされるタイヤのサイズは、前:255/35R20、後:295/35R20。 拡大
マセラティ・グラントゥーリズモMCストラダーレ(FR/6AT)【試乗記】の画像 拡大
森口 将之

森口 将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。

試乗記の新着記事
  • メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ(4WD/9AT)【試乗記】 2026.3.4 メルセデス・マイバッハから「SL680モノグラムシリーズ」が登場。ただでさえ目立つワイド&ローなボディーに、マイバッハならではのあしらいをたっぷりと加えたオープントップモデルだ。身も心もとろける「マイバッハ」モードの乗り味をリポートする。
  • トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.3.3 「GRヤリス」の新仕様として設定された「エアロパフォーマンスパッケージ」装着車に試乗。レースフィールドでの知見を交え開発したというエアロパーツの空力・冷却性能は、リアルワールドでも体感可能なのか。高速道路を経由し、郊外のワインディングロードを目指した。
  • ドゥカティ・モンスター(6MT)【海外試乗記】 2026.3.2 ドゥカティのネイキッドスポーツ「モンスター」が5代目にモデルチェンジ。無駄をそぎ、必要なものを突き詰めてきた歴代モデルの哲学は、この新型にも受け継がれているのか? 「パニガーレV2」ゆずりのエンジンで175kgの車体を走らせる、ピュアな一台の魅力に触れた。
  • フォルクスワーゲンID.4プロ(RWD)【試乗記】 2026.2.28 フォルクスワーゲンのミッドサイズ電気自動車(BEV)「ID.4」の一部仕様変更モデルが上陸。初期導入モデルのオーナーでもあるリポーターは、その改良メニューをマイナーチェンジに匹敵するほどの内容と評価する。果たしてアップデートされた走りやいかに。
  • スズキ・キャリイKX(4WD/5MT)【試乗記】 2026.2.27 今日も日本の津々浦々で活躍する軽トラック「スズキ・キャリイ」。私たちにとって、最も身近な“働くクルマ”は、実際にはどれほどの実力を秘めているのか? タフが身上の5段MT+4WD仕様を借り出し、そのパフォーマンスを解き放ってみた。
試乗記の記事をもっとみる
マセラティ グラントゥーリズモ の中古車webCG中古車検索
関連キーワード
新着記事
新着記事をもっとみる

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。