第174回:ヨーロッパフォード車の魅力とは? 欧州フォードエンスーが集うオフ会に参加の記
2013.03.30 エディターから一言第174回:ヨーロッパフォード車の魅力とは?欧州フォードエンスーが集うオフ会に参加の記
「フォード・フォーカス」の“再上陸”により、日本でもまたヨーロッパフォードが身近な存在になりそうだ。では、そのヨーロッパフォードの魅力とは何なのだろうか? 2013年3月10日、三重県鈴鹿市のショートサーキットで開かれたオフ会「ヨーロッパフォード・ミーティング2013」に参加して考えた。
全国から30台以上が集結
今週末も日本のどこかでオフ会がたくさん開かれている。峠の駐車場で、サービスエリアで、ファミレスで……。集まるクルマもさまざまだろう。SNSで知り合った仲間たちと実際に会って、投稿されたクルマについて語り合い、帰ってまたその様子を投稿する。
モーターランド鈴鹿というサーキットにヨーロッパフォード各車が集まるというので、やじ馬としてのぞきに行ってきた。
ヨーロッパフォードといえば、「フォーカス」や「クーガ」、「フィエスタ」や「モンデオ」などである。どのクルマも実用的でありながらハンドリングと乗り心地が高いレベルでバランスされていることは、クルマ好きの間ではよく知られている。
アメリカやヨーロッパの国々ではメジャープレーヤー中のメジャープレーヤーなのだけれども、残念なことに今まで日本では存在感がいまひとつ薄かったことは否めない。
そんなヨーロッパフォードのオフ会が開かれるという。どんな人たちとどのクルマが集まっているのだろうか。
朝9時前からすでに30台以上がパドックに集まっていた。ナンバープレートを見ると、遠く東北や九州から来ているフォーカスもいた。
最も多かったのは2代目フォーカスの「ST」と「RS」。STは当時のフォードジャパンによって正規輸入が行われていたが、RSは並行輸入されたものだ。大阪のワイエムワークスという業者が協賛し、そこの顧客が多く参加している。フォードジャパンも協賛し、発表直後の3代目フォーカスを持ち込み、コース試乗に提供した。呉越同舟の中での太っ腹。イベントの世話役であるOさん夫妻もフォーカスRSに乗っている。
走りの基本がしっかりしている
九州から来ていたフォーカスRSは、ひと目でそれとわかる大型オイルクーラーが装着されている。電動ファンが追加され、バケットシートとハンドルも交換されている。オーナー氏は空冷の「ポルシェ911」を乗り継いできて、フォードのクルマのことなど考えてみたこともなかったという。フォーカスRSという“史上最高のホットハッチ”があることを友人から教わり、雑誌で確かめて購入した。
「初めて乗った時に、高速道路のランプでハンドルを切った通りに走っていくのに感銘を受けました。思った通りに走るし、とてもバランスがいい」
残念なことに事情があって、このRSを手放さなければならない。2003年型で走行1万6000km。車検は2013年5月まで。200万円以下で応談とのこと。
濃いラベンダー色のフィエスタのオーナー氏は、初代フォーカスから乗り換えた。
「ヨーロッパフォードの魅力ですか!? ハイパワーなエンジンや凝ったサスペンションなんかを装備していなくても、“素”のモデルでもよく走るというところですね」
饒舌(じょうぜつ)に話す口調から、ヨーロッパフォードのクルマに心酔している様子が伝わってくる。
「ヨーロッパのクルマとしては例外的にブレーキのマスターシリンダーやワイパーが右側に取り付けられているし、(右ハンドルにもかかわらず)ドライビングポジションも自然に取れる。走りの基本がしっかりしているんですよ。大衆車なのに、走りや安全性などをおろそかにしていないところがいい。日本車は違うでしょ!?」
隣に止まっていた、赤い初代フィエスタのオーナー氏も、それに大きくうなずいていた。
「ドイツ車に代表される他のヨーロッパ車のネガが、フォードにはないですからね。右ハンドル車をちゃんと造っている」
別のフィエスタのオーナー氏は、島に住んでいるので道が狭く、ボディーが小さなクルマが必要だが、仕事で長距離を走ることがあるのでフィエスタが欠かせない。8年間で22万kmも走っている。
長距離走行中の静粛性を確保するために、ボンネット裏やボディー各所に遮音材を貼り込んでいる。オーディオの音質まで向上した。
「フォードの良さは大陸のクルマの重厚感があるところです。どこでどう乗っても無理がなく、違和感がない。長く乗るということは、天候だとか体調、その他さまざまな状況の下でも変わらない幅の広さが求められます」
大陸のクルマとしては日本ではドイツ車が幅を利かせていますが?
「フォルクスワーゲンもヨーロッパではフォードと同じ大衆車のはずですけれども、日本では“プレミアム”指向が強いように感じられます。僕は、泥が付いても似合うようなクルマが好きなので、フォードですね。少なくとも30万kmは乗りますよ。日本車は長距離を走るのがツラいし、楽しくない」
フォードの魅力はバランスの良さ
僕が話をした全員が異口同音に口にしていたヨーロッパフォードの魅力は、走りの良さとバランスの高さだった。バランスとは、ハンドリングと乗り心地、走行性能と実用性、走行性能と価格など相反する要素を矛盾なく高い次元で両立しているということだ。
そして、もうひとつが割り切りの良さだ。
「クルマは人と荷物を載せて移動するための道具ですからね」
6年落ちのフォーカスSTを100万円で買って乗っているオーナー氏の言葉に表れているように、彼らの求めるクルマはステータスシンボルでもなければブランドビジネスを象徴するものでもない。“走ればいい”と言っているのだが、その“走れば”のレベルがとても高い。フォード各車はそれに応えてくれることを身をもって知っているのが今回の参加者たちだ。
だから、いわゆるプレミアムブランドが造るコンパクトカーには食指が動かないようだし、日本車などはもっての外だ。
「日本のミニバンって、あれは一体なんなんですか? ワンルームマンションじゃあるまいし、天井ばっかり高くしたって重心が高くなって運転しづらくなるだけじゃないですか!? 燃費だって悪くなるし」
ごもっとも!
「日本車はシートが貧弱だから長距離で疲れますよ。ドライビングポジションもきっちりと煮詰められたフシのないクルマが多い」
もう自動車評論家顔負けの鋭い日本車批評である。たしかに、ヨーロッパフォード各車の魅力と長所を挙げていくと、それはそのまま日本車批判と表裏一体となる。
会場には、懐かしめのフォードも来ていた。「シエラRSコスワース」が2台と「エスコートRSコスワース」だ。白いシエラRSコスワースのオーナー氏は他にグループBカーの「フォードRS200」(!)と町乗り用フォーカスと3台ものヨーロッパフォードを持っている。
「フォードの魅力はバランスの良さですね」
深い。
SNSでいくら頻繁にコメントや「いいね!」をやり取りしたところで、バーチャルなつながりにしか過ぎない。「はじめまして」というあいさつが交わされていたけれども、初対面のような気がしない。会って話して、運転するに勝るコミュニケーションはないわけだから、オフ会がますます充実していく。ヨーロッパフォードのようなクルマであれば、なおさら盛り上がるのだろう。
(文と写真=金子浩久)

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