第8回「フォルクスワーゲン・ゴルフTSIコンフォートライン」vs「フォード・フォーカス スポーツ」(後編)
2013.07.26 水野和敏的視点メリハリのある「ゴルフ」のコスト意識
「フォルクスワーゲン・ゴルフ」のエンジンはなかなか静かですね。ボンネットを開けると、バルクヘッドに分厚い吸音材が貼ってあるのが目に入ります。まるで、一昔前の「メルセデス・ベンツEクラス ディーゼル」に使われていたような、高品質な吸音材です。それを排気量1.2リッターのコンパクトカーで使っているなんて驚きですね。MQB(独語「Modularer Querbaukasten」の略。横置きエンジン車のために開発された次世代モジュール技術のこと)を採用することでコストダウンを実現し、その一方で、快適性にかかわる吸音材にはコストを惜しまない。この辺に、フォルクスワーゲンの考え方がはっきり表れているような気がします。
同じエンジンルーム内でいえば、アルミの鋳造で作られたエンジンマウントのブラケットにも、とてもコストがかかっていそうです。これにはエンジンの動きを抑える効果があるだけでなく、ボディー剛性の向上にも役立っているはずです。これをプレス鋼板の2点止めにしたら、それだけでゴルフの持つクオリティー感が損なわれてしまうのではないでしょうか? それくらい、このブラケットは大きな効果を発揮していると思います。
ゴルフのエンジン自体は、可もなく不可もなくといったところでしょうか。ただし、排気量が1.2リッターであることを考えれば、よく頑張っているともいえます。小排気量の過給器付きエンジンで問題となることを、しっかりと対策してきたような印象を持ちました。また、繰り返しになりますが、エンジンはノイズが静かで、質感が非常に高く感じられます。
一方、フォルクスワーゲングループのお家芸であるデュアルクラッチ式ギアボックスのDSGは、デビューから10年近い歳月が過ぎて、いっそう熟成されたように思いました。これは私の手掛けた「日産GT-R」もそうでしたが、ギアボックス単体の製造精度というものは、設計を変えなくとも、作っているうちに自然と上がっていくもののようです。そこで、精度が上がったモノにあわせてコンピューターのプログラムを書き換えてあげると、さらにスムーズで熟成された動きになる。フォルクスワーゲンのDSGでも、同様のことが起きていると想像されます。
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