メルセデス・ベンツC250 ブルーエフィシェンシー クーペ(FR/7AT)【試乗記】
正統派の二枚目クーペ 2011.12.28 試乗記 メルセデス・ベンツC250 ブルーエフィシェンシー クーペ(FR/7AT)……649万4000円
まずは夏にAMG 仕様が上陸した「Cクラス クーペ」。続いて秋に2種のブルーエフィシェンシーモデルが加わり、ラインナップが整った。上級の「C250 クーペ」を試す。
「優雅」より「スポーツ」が勝る
「走るほど、満たされる。Cクラス クーペ、ここに舞い降りる。」
……そんなベタにカッコいいコピーを伴って、新しい「メルセデス・ベンツCクラス クーペ」が日本に“舞い降りた”。ラインナップは大きく分けて3つ。1.8リッター直4ターボのチューン違いで2種類、「C180 ブルーエフィシェンシー クーペ」(156ps、25.5kgm)と「C250 ブルーエフィシェンシー クーペ」(204ps、31.6kgm)、それに6.2リッターV8(457ps、61.2kgm)を搭載する「C63 AMG クーペ」である。
先代のCクラス クーペは、メルセデスがわれを忘れて若返りを図っていた時期ということもあってか、ハッチバックボディーをまとった「スポーツクーペ」として登場。世のスリーポインテッドスター好きを嘆かせ……、否、驚かせ、アンチをして大いにおもしろがらせた。しかし今回は、10年ほどの時を経て、正統派二枚目クーペとしてデビューした。スポーツクーペが狙ったのと同じようなユーザー層を、先代Cベースの2ドアモデル「CLK」の、さらなる若返り版で獲得しようとしている、といえるかもしれない。
ディメンションの基本となるホイールベースは、もちろん「史上最高傑作のC」こと現行Cクラスセダン/ワゴンと同じ2760mm。4640mmの全長、1780mmの全幅ともセダンとほとんど変わらないが、全高は1390mmと5cm以上低くなっている。いかにもエンジン縦置き後輪駆動車らしい長いノーズ、流麗なルーフライン、天地に薄いサイドウィンドウ、後方へ向かって一直線に駆け上がるキャラクターライン、そうした要素が一体となって低く構えたフォルムがつくられる。なかなか精悍(せいかん)だ。「優雅」より、ずいぶんと「スポーツ」が勝ったクーペである。
わずかな違いでグッと若々しく
長めのドアを開けて車内に入ると、装備、センターコンソールのコントローラーやスイッチの配置などは、セダンとあまり選ぶところはない。トンネルコンソール上、「D」ポジションから左右に振ることでマニュアルシフトが可能なATセレクターや、その後ろに配置される、ダイヤルを回すことでナビやオーディオなどをコントロールできる「COMANDシステム」も、セダンと同じだ。
ただしシートは、何も言わないとファブリックになるセダンに対し、こちらはレザー(人工皮革)とファブリックを組み合わせた「レザーツイン」が標準となる。この日のテスト車は、本革シート(前席シートヒーター付き)のオプションがおごられていた。25万円なり。ちなみに、「C63 AMG クーペ」には、より上質なナッパレザー仕様が用意される。
また、クーペモデルはそのキャラクターを生かして、シフトセレクターやシートポジション調整スイッチのまわりをアルミ化した「ダークアルミニウムインテリアトリム」が標準となり(「マットブラウンアッシュウッドインテリアトリム」へ無償で変更可)、C180以外はステンレス製のアクセルおよびブレーキペダルが床から生える。スポーティー!
さらに、ダッシュボードを横切るパネルに、セダンの選択肢にはない「ダークアルミニウムパネル」を選ぶことができ、グッと若やいだ雰囲気にすることが可能だ。試乗車の「アルパカグレー」の革シートを選べば、自動的にダッシュボード下部が「黒」から「グレー」に変更され、クールな内装が出来上がる。
裏方に徹する力強いエンジン
ステアリングホイールを握って走り始めれば、このC250 ブルーエフィシェンシー クーペ、スムーズでしっかりしたドライブフィールの持ち主だ。ボア×ストローク=82.0×85.0mmのロングストローク型1795cc直噴ユニットは、ターボ過給の恩恵でわずか2000rpmで31.6kgmの最大トルクを得る。
最近のターボエンジンらしく、最大トルクがそのまま4200rpmまで持続する台形型のトルク特性をもち、しかも「7G-TRONIC PLUS」ことトルコン式7段ATと組み合わされるから、いくらも回さないうちに次々とシフトアップしていく。最大トルクがギア間でバトンされていく感じで、C250クーペは一昔前の3リッターV6モデルと同等、いや、それ以上の力強さを示し、ドライバーを満足させる。
そのうえ、ストップアンドゴーの多い都市部で燃費向上に強みを発揮するアイドリングストップ機能も搭載される。カタログ燃費は13.8km/リッター(10・15モード)/13.2km/リッター(JC08モード)がうたわれる。
あえて難癖を付ければ、1.8リッターターボはあまり感興のないエンジンである。この4気筒を、ピークパワーの204psを生み出す5500rpmを目がけて回していっても、ドラマチックなことはまるでない。あくまで裏方に徹するエンジンだ。それはそれで「メルセデスらしい」と納得すべき特性ではあるが。
また、Cクーペにはスポーツ走行に備えてサスペンションを硬めにし、シフトタイミングを変更する「スポーツモード」が備わるが、果たして実際のオーナーがどれだけ使うことがあるのか。購入当初に1、2度試してそれっきり、という人も多いのではないだろうか。C250クーペが素のままでも十分速いということもあるが、例えばBMWオーナーとの気質の違いを想像すると、興味あるところだ。
このクラスのクーペ市場では、心ならずもBMWの後塵(こうじん)を拝するカタチとなっているメルセデス・ベンツ。C250 ブルーエフィシェンシー クーペには、「BMW 325iクーペ」と同じ598万円のプライスタグが付けられる。
(文=青木禎之/写真=峰昌宏)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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