第53回「日産スカイライン350GT ハイブリッド」(後編)
2014.06.13 水野和敏的視点「スカイライン」にふさわしい精度感があるか?
前回、「スカイライン350GT ハイブリッド」に使われているステアリング舵角(だかく)センサーは、VDC(ビークル・ダイナミクス・コントロール)の制御に使われている通常のセンサーに近いもののようだという指摘をしました。また、駆動用のモーターユニットも既存の、ごく普通のモーターとギアの組み合わせのようだとも言いました。今回はまずはこれらの点について、掘り下げてみたいと思います。
早速、スカイラインで一般道に出てみましょう。車速を低く抑えつつ、ステアリングを丁寧に、少しずつゆっくりと切りながら走ってみます。するとどうしたことか、思ったようにクルマが反応しません。舵角センサーのピッチが粗いために微小領域の変化に対するセンシングが鈍く、「細かな操舵には一瞬、無反応で、切り増してやると動く」という現象が見られます。
続いて、ステアリングを左、右と素早く連続的に転舵してみます。すると、モーターのイナーシャ(慣性)が残ってしまって反応しない、まるでタイヤとハンドルの関係が途切れてしまっているかのような領域もあります。さらに高速でコーナーに進入するとき、ステアリングをとてもゆっくり、かつ少しずつ操作すると、タイヤがデジタル的に、階段状に切れていくこともありました。
最新のハイテクデバイスというものは、本来、運転の安心感やスムーズさ、上質感などを高めることを目的として採用されます。しかしスカイラインの場合、皮肉なことにドライブすることをかえって難しくしてしまっている面があるのです。
「雪の山道では、メーカーが雪道に慣れていない人に向けて作ったVDCなどよりも、地元のタクシードライバーの運転の方がはるかに優れている」なんて言ったりしますが、スカイラインの場合も、ドライバーとハイテクデバイスがそんな関係になってしまっているのかもしれない――そんな印象を受けました。
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