第88回:スズキ・アルトF(後編)
2015.02.20 水野和敏的視点「日本のモノづくり」が生きている
今回も引き続きスズキ・アルトの試乗を続けます。試乗車は最廉価グレードの「F」。トランスミッションに、CVTの代わりにシングルクラッチ式の2ペダルMT「オートギアシフト(AGS)」を採用したモデルです。
そのAGSですが、これが意外なほどよくできています。Dレンジのオートマチックモードでも、ギアチェンジはとてもスムーズですね。かつてのBMWやランボルギーニと比較したら、スズキの2ペダルMTは、シングルクラッチ方式としては突出してよくできていると思います。
「BMWやランボルギーニと比べるなんて……」と思う方がいるかもしれません。しかし、アルトが搭載する660cc直3エンジンは、最高出力が52ps/6500rpm、最大トルクは6.4kgm/4000rpmにすぎないのです。絶対的なトルクがないぶん、クラッチをベストのタイミングでつながないとすぐにエンジンが息つきしたり、ストール気味になってしまったりする恐れがあります。クラッチの制御と作動の確保は難しくなるはずですが、クラッチのプレートやアクチュエーターを動かすオペレーティングシリンダーなどの精度を上げることで対応しているのでしょう。「日本のモノづくり」の素晴らしさを見た気がします。
また、このAGSはシングルクラッチ式の常で、変速の瞬間に加速を途切れさせますが、失速感はありません。ギアボックスを構成する一個一個の部品の精度を上げないと、こうした動きは出せません。日本の技術はとてつもなく素晴らしい。日本で生産されている軽自動車に触れるたびにそう感じます。
それに比べて、最近の1.2~1.6リッタークラスの国産小型車はどうでしょうか。いわゆる「グローバル化」はこのクラスのクルマにどのような影響をもたらしたのでしょうか。私には、軽自動車の完成度が小型車をしのぎつつあるように見えて仕方がありません。
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