マツダCX-3 XDツーリング Lパッケージ(4WD/6AT)/デミオXDツーリング Lパッケージ(4WD/6AT)
ちょうどいいコンパクト 2016.02.19 試乗記 ディーゼルエンジンを搭載する、「CX-3」と「デミオ」の4WD車に試乗。2台を並べてチェックしてみると、共通した走りの特徴や、それぞれの違いが見えてきた。説得力のあるディーゼル+4WD
「マツダ・ロードスター」の鹿児島試乗会では、まさかの雪にたたられたのだった。オープンカーにはまったく似合わない状況でおっかなびっくりの試乗になってしまったが、たとえ凍結路に行き当たってもなんとか基地に帰りつけるとは思っていた。同時に「CX-3」も借りていたからである。マツダ自慢の新世代4WDシステム「i-ACTIV AWD」搭載モデルだから、いざという時には頼りになるはずだ。
雪は解けかけていたので、路面状況やドライバーの意思を読み取って前後トルクを100対0から50対50まで連続的に制御するという実力を発揮する場面はなかった。ちょっと残念な気もしたが、公道でむちゃをして何かあったら困る。安心感を与えてもらっただけで十分に価値があるのだ。
4WDシステムを別にすれば、CX-3はいい意味で普通のクルマである。コンパクトで取り回しがいいし、1.5リッターディーゼルエンジンと6段ATの組み合わせで軽快に走る。「CX-5」が登場した時は2.2リッターターボディーゼルのトルクに驚きながら笑ってしまったが、1.5リッター版は出しゃばらない。過剰感が削(そ)ぎ落とされて、端正で実用的なエンジンになった。ボディーサイズもエンジンも、派手さがなくてちょうどいい。
2.2では2ステージターボが採用されていたのに対し、1.5では可変ジオメトリーターボ1基で低回転域から高回転域までカバーしている。排気可変バルブリフト機構も省かれているが、安定した燃焼で余裕のあるトルクと低燃費、クリーンな排ガスを実現している。スポーティーな2.2、実直な1.5という性格の異なるディーゼルエンジンをそろえているのがマツダの強みだ。
試乗したのは最上級グレードの「XDツーリング Lパッケージ」で、スマートブレーキサポートやブラインドスポットモニタリングなどの先進安全機構が標準で付いている。このクラスでも必須の装備となりつつあるようだ。ちょっと気になったのは車線逸脱警報システムの発動が遅れ気味だったことだが、これは路面状況が悪くて白線が読み取りにくかっただけかもしれない。
「デミオ」の4WDモデルにも試乗した。最近のマツダ車は顔が似通っているので正面から見るとうっかりCX-3と見間違えそうになるが、並べてみると一回り小さい。全幅で70mmの差は、都市部のユーザーにとっては大きなアドバンテージとなるだろう。アイポイントは結構高く、CX-3から乗り換えても引けをとらない視界が得られた。
こちらも1.5リッターディーゼルエンジンを搭載していたが、CX-3とは微妙にチューニングが異なる。105psという最高出力は同一でも、最大トルクは270Nm(27.5kgm)のCX-3より20Nm低い250Nm(25.5kgm)だ。車両重量が100kgほど軽いので、動力性能としては同等だろう。ロードスターと並んで走っていても、瞬間的な加速では上回っているように感じた。CX-3もデミオも外にいるとディーゼルらしい音が聞こえるが、車内の静粛性は高い。
デミオはガソリンエンジンも選ぶことができるが、ディーゼル+4WDという組み合わせには説得力がある。もちろんディーゼルモデルは安くはないが、デミオは同じグレードのCX-3よりも80万円以上も低価格だ。これって、相当お買い得なのではないだろうか。
(文=鈴木真人/写真=田村 弥)
【スペック】
マツダCX-3 XDツーリング Lパッケージ
全長×全幅×全高=4275×1765×1550mm/ホイールベース=2570mm/車重=1330kg/駆動方式=4WD/エンジン=1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼルターボ(105ps/4000rpm、27.5kgm/1600-2500rpm)/トランスミッション=6AT/燃費=21.0km/リッター/価格=302万4000円
マツダ・デミオXDツーリング Lパッケージ
全長×全幅×全高=4060×1695×1525mm/ホイールベース=2570mm/車重=1220kg/駆動方式=4WD/エンジン=1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼルターボ(105ps/4000rpm、25.5kgm/1500-2500rpm)/トランスミッション=6AT/燃費=22.8km/リッター/価格=221万4000円
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
-
フィアット500トリノ ハイブリッド(FF/6MT)【試乗記】 2026.10.13 電気自動車からエンジン搭載車へと華麗に変身! 日本では珍しい、4代目「フィアット500」のマイルドハイブリッドモデルに試乗。1リッターの自然吸気エンジンを6段MTで駆るイタリアンコンパクトは、今のクルマが忘れてしまった楽しさに満ちていた。
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.10.12 ボルボの電気自動車(BEV)「ES90」のトップモデル「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を駆り、東京から初秋の新潟へ。往復700kmを超えるロングドライブで分かった新型5ドアハッチバックモデルの実力と、BEVで気になる充電環境のリアルな今を報告する。
-
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.10.8 フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。
-
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.7 新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。
-
スバル・レヴォーグ レイバック プレミアムS:HEV EX(4WD/CVT)【試乗記】 2026.10.6 「スバル・レヴォーグ レイバック」にストロングハイブリッド搭載モデルが登場。高効率なパワーユニットが積まれたのはもちろんのこと、既存の純エンジン車とはデザインやボディーサイズも違っているというから興味深い。上位グレードの「プレミアムS:HEV EX」を試す。
-
NEW
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
NEW
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
NEW
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。





































