三菱デリカD:5 Dプレミアム(4WD/6AT)
無双のファミリーカー 2017.01.09 試乗記 今年でデビュー10周年! 三菱のロングセラーミニバン「デリカD:5」で、冬の白根山系をドライブ。「SUVとミニバンのクロスオーバー」という、ユニークなコンセプトを掲げて登場した同車の出来栄えを、雪山で試した。 拡大 |
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実は時代を先取りしていた
三菱にはデリカという名のモデルが3種類ある。ただし「D:2」は「スズキ・ソリオ」、「D:3」は「日産NV200バネット」のOEMモデルだから、純粋に三菱車と呼べるのはD:5だけだ。ミドルクラスの箱型という、ミニバン界でも花形とされるカテゴリーに属するモデルで、今や三菱のラインナップの中で中核を担う存在と言っていい。
ライバル車は「トヨタ・ノア/ヴォクシー/エスクァイア」「日産セレナ」「ホンダ・ステップワゴン」あたりになるはずだが、路線が違うように感じる。サイズが少し大きいこともあるが、ファミリーカー然としたミニバンとは一線を画しているように見えるのだ。先代モデルにあたるのは「デリカスペースギア」で、D:5もSUV的な色合いが濃い。
運転席に座ると、ドライビングポジションが最近のミニバンとは明らかに違う。乗用車的な感覚に慣れていると最初は戸惑うかもしれない。ちょっとした懐かしさを感じる。座面が高いこともあって、前方視界は広々としている。ダッシュボードが質実剛健タイプでトレンドとかけ離れているのは、デビューが2007年なのだから仕方がない。
試乗車は2013年から加わったクリーンディーゼルモデルである。ガソリンモデルより燃費面ではアドバンテージがあり、低回転から十分なトルクを生み出すので発進加速は悪くない。その代わり、高速道路でのスピードの伸びには限界がある。今回は1.4リッターガソリンターボエンジンのコンパクトカーと一緒に走ったのだが、ついていくのは大変だった。低回転を保ってゆったり巡航するのが似合うクルマだ。
乗り心地は最新モデルに比べると苦しいところがある。高速では風切り音が大きく、エンジン音とのコラボでにぎやかなサウンドが車内に満ちあふれる。山道ではスポーティーな運転を望まないほうがいい。
なんだかデメリットばかりを並べているような書き方になってしまった。しかし、乗用車ライクなミニバンばかりになった中で、D:5の運転感覚は新鮮に思えたのも確かである。内装がクラシカルであることも含め、唯一無二の存在なのだ。D:5を選ぶ人は、ユーティリティーの細かい優劣を比較検討するタイプではないだろう。
目的地の群馬県北部に近づくと、ワインディングロードは踏み固められた雪に覆われた。本格的な4WDシステムを持つD:5が真価を見せるステージである。SUVに出自を持つだけのことはある安心感だ。家族が遠くに出掛けて確実に戻ってこられるという意味では、無双のファミリーカーである。
最近では3列シートのSUVも見られるようになった。ミニバンとSUVのクロスオーバーである。D:5のコンセプトは、時代を先取りしていたのだ。
(文=鈴木真人/写真=荒川正幸、webCG/編集=堀田剛資)
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【スペック】
全長×全幅×全高=4730×1795×1870mm/ホイールベース=2850mm/車重=1900kg/駆動方式=4WD/エンジン=2.3リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼルターボ(148ps/3500rpm、36.7kgm/1500-2750rpm)/トランスミッション=6AT/燃費=13.0km/リッター(JC08モード)/価格=405万5400円

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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