第497回:ダウンサイズ&ミニマル志向のキャデラック
新型クロスオーバー「XT4」を解説する
2018.04.21
エディターから一言
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ニューヨークオートショー2018で、キャデラックは新型クロスオーバー「XT4」を世界初披露した。同ブランドの新世代戦略の皮切りに位置付けられるXT4の見どころとは? オートショー開幕前夜にソーホー地区の「キャデラックハウス」で開催されたプレビューの模様をまじえて、詳しく解説する。
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ロウアーマンハッタンに本社を置く
デトロイトからロウアーマンハッタンのソーホー地区にキャデラックがヘッドクオーターを移したのは2015年のこと。「ATS」「CTS」そして「CT6」と、新しい後輪駆動アーキテクチャーを用いたモデル群がそろい踏みしたその頃だ。
それすなわち、ブランドイメージの大胆な変革を志してのものであることは想像に難くない。他例にもれずキャデラックもまた、その伝統と比例しての顧客の高齢化に頭を悩ませている。そういう視点でいえば、中国のような成長市場での伸長が著しいことは明るい兆しだろう。かの地での顧客平均年齢層は30代だという。
時にジェネレーションYともミレニアルとも呼ばれる、そういう世代へのブランディングを示すショーケースとしてキャデラックが本社の傍ら、つまりソーホーの街角に設(しつら)えているのが「キャデラックハウス」だ。ここでは車両の展示はあくまで副次的なものとされ、新進のアーティストがイベントに活用できるギャラリーや先鋭的なアイテムの並ぶセレクトショップ、マンハッタンローカルの人気コーヒーショップなど、カルチャーの交差点としてのスペースづくりが心がけられている。メルセデスやレクサスなどの前例に倣った面もあるだろうが、そこで提案される価値観は想像以上にシンプルでソリッドな印象だ。
若く高感度な層をターゲットに
ニューヨークショーでのワールドプレミアを翌日に控えた夜、そのキャデラックハウスで限られたカスタマー向けにプレビュー的なかたちでお披露目されたのが同社の新しいSUVであるXT4である。会場をびっしりと埋め尽くす招待客の多くは30代前後とおぼしき若者たちで、クリエイティブ的な感度の高さがライフスタイルにも行き届いているのだろう、いわゆるパーティーピープル的なギラギラ感とは明らかに一線を画していた。
女性DJのプレイが会場を盛り上げる中、XT4のアンベールを終えたヨハン・ダ・ネイスンCEOは、このモデルをキャデラックの新世代戦略の皮切りと位置付けるとともに、新しいトリムバリエーションを今後キャデラックの各モデルで採用、多様なユーザーニーズを捉えていくと発表した。そのトップコメントの内容を必死で追うのは紛れ込んだわれわれメディア側で、来場者はともあれお披露目されたXT4をSNSへとアップするのに必死だ。今日的な情報伝達においてきれいにバズらせることは必須であることをあらためて実感させられる。
XT4の狙いはそういった受発信力の高さを自認する若いカスタマー、そして社会と自らの生活との親和性を意識するダウンサイズ&ミニマル志向のユーザーに対するアプローチにある。そのスリーサイズは全長4599×全幅1881×全高1627mm。百花繚乱(りょうらん)のSUVカテゴリーにおいて従来のセグメンテーションは機能しなくなりつつあるも、あえて当てはめるならC~Dセグメント相当といったところだろうか。その車格での商品展開はキャデラックとしては初めての挑戦となる。
日本では2019年以降に発売
採用されるアーキテクチャーは未発表ながら、車格的に近い「シボレー・エクイノックス」とホイールベースを微妙に違えていることや5リンクのリアサスの取り回しなどから判断するに、2016年よりGMがグローバルで展開しているD2XXプラットフォームではなく、「XT5」に採用されるC1XXプラットフォームのスケールダウン版という可能性が高そうだ。
先にダ・ネイスンCEOが語った通り、XT4にはラグジュアリー&スポーツという2つのトリムラインが用意され、それらは内装の仕立てのみならずエアロパーツやグリル周りのフィニッシュでも差別される。XT4に関してはスポーツの側に連続可変式の電子制御ダンパーが採用されるなど、走りにおいても明確な差別化が図られる。
XT4に横置きで搭載されるエンジンはGMのグローバルユニットである2リッター直4直噴ターボで、その最大出力は237hp、最大トルクは350Nmと必要にして十分なもの。自社製の9段ATは悪路の極低速走行から高速巡航までのワイドレンジをカバーする。4WDシステムは2つのクラッチを介して動力を伝達するもので、後輪への駆動配分を完全に遮断することも可能。燃費性能の向上にも一役かっている。
バーティカル&ホリゾンタルというキャデラック伝統のキューを今日的に消化させたデザインもまた、このXT4を皮切りに一歩新しいフェーズへと入ったようで、シェイプはよりタンブル感が強調され、デイタイムライトのグラフィックもそれを表すよう立体的に描かれるようになった。激戦区中の激戦区にあって、その個性は多くのユーザーの目を引き留めることになるだろう。
ちなみにXT4は2019年モデルイヤーの始まる今秋から米国にて販売開始、それを待って日本への導入は来年以降が予定されている。
(文=渡辺敏史/写真=ゼネラルモーターズ/編集=竹下元太郎)

渡辺 敏史
自動車評論家。中古車に新車、国産車に輸入車、チューニングカーから未来の乗り物まで、どんなボールも打ち返す縦横無尽の自動車ライター。二輪・四輪誌の編集に携わった後でフリーランスとして独立。海外の取材にも積極的で、今日も空港カレーに舌鼓を打ちつつ、世界中を飛び回る。
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