ただいま鋭意開発中! 次期「トヨタ86/スバルBRZ」でいま考えられること
2020.03.27 デイリーコラムいよいよ出てきた最終モデル
2020年3月12日、トヨタ86の台数限定特別仕様車「GT“ブラックリミテッド”」が発表されたことで、「86のモデルチェンジ、近し!?」の声がいよいよ高まっている。
ブラックリミテッドとは往年の“ハチロク”すなわち、1983~87年に販売されたAE86型「カローラ レビン/スプリンター トレノ」に設定された特別仕様車にも使われた商品名である。当時のブラックリミテッドはモデルライフ後半のトレノのみに400台限定で用意されたもので、最上級グレード「GT APEX」をベースにして装備を充実させ、ブラックの車体色にホイールやメーター、専用ステッカーなどの要所をゴールドで引き締めたクルマだった。今回の86特別仕様車の内容も、そんなトレノの特別仕様車をモチーフにしている。
中古車になったいまでこそ、漫画『頭文字(イニシャル)D』の影響(や流通台数の少なさ)によってトレノのほうが人気のようだが、新車当時の販売台数は、強力な販売力を誇るカローラ店があつかうレビンの販売台数のほうが明確に多かった。このブラックリミテッドがトレノ専用だったのも、だからスプリンターを販売していたトヨタオート店(後のネッツ店)へのテコ入れの意味もあった。
当時のブラックリミテッドがAE86で唯一にして、モデル末期に発売された特別仕様車なのだが、トヨタが今回発表した公式プレスリリースでは「AE86型スプリンター トレノの最後となる特別仕様車GT APEX“ブラックリミテッド”を想起させるモデル」と、わざわざ“最後”という文言だけが強調されている。このことからも、世の中では「現行86はこれで打ち止め!?」という声が高まっている。
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新型は2021年内にデビュー!?
しかし、思い返してみれば、トヨタとスバルが昨2019年9月27日に合意発表した新たな業務資本提携内容のひとつに「トヨタ86/スバルBRZ 次期モデル共同開発」が明記されたときから、86/BRZのフルモデルチェンジに向けた事前キャンペーンはスタートしていたともいえる。
また、今回のブラックリミテッドに合わせたかのように、86(とBRZ)の開発・生産を担当するスバル側からの情報発信も一気に活気づいた。「BRZファイナルエディション」が欧州(ドイツ)で発表されたかと思えば、企業情報サイトには「SUBARU×TOYOTA いっしょにいいクルマつくろう!」という特設ページが登場したのだ。
今のところ86のGT“ブラックリミテッド”の納車開始は5月21日で、BRZファイナルエディションのドイツでの発売は7月を予定している。これらの発売時期や、いま出回っている情報を総合すると、現行86/BRZの生産は2020年後半もしくは年内いっぱいで終了する可能性が高い。そして、新型コロナウイルスの今後の行方にもよるだろうが、次期86/BRZは2020年末か2021年初頭にベールがはがされて、2021年後半に2022年モデルとして発売……というスケジュール感が現実的か。
排気量アップ必至? ターボ過給はあるのか
次期86/BRZの内容に関してはいろいろなウワサが飛び交っているが、水平対向4気筒エンジンを積むFRスポーツカーで「GRスープラ」の弟分という位置づけは変わらないようだ。そのうえで、土台となるプラットフォームについては「現行の改良型」「トヨタ主導の新型TNGA」、あるいは「次期型『ロードスター』を見越したマツダとの共同骨格!?」などの声が上がっている。これらはすべて「スバルの最新グローバルプラットフォームはFR化を想定していない」という情報からきているのだが、なかでも最も多くのメディアが有力としているのが、現行改良型である。
エンジンは、すでに北米向けの新型「レガシィ」などが使っている新設計2.4リッターの自然吸気版という見立てが主流。そもそも現行の2リッター(FA20型)は今後の主流となる新開発ダウンサイジングターボ(1.6リッターと1.8リッター)とバッティングするので、遠からずフェードアウトの可能性が高い。また、小排気量過給エンジンはメイン市場のアメリカではウケが悪い。ただ、いまの北米向けレガシィにはその直噴ターボ版が搭載されているから、86/BRZもターボでは……という予測も一部にある。もちろんターボのほうが高性能だが、たとえばレガシィの2.4リッターターボは最高出力260PS/最大トルク376N・mに達しており、スープラとの関係を考えると「ターボでは高性能すぎ」といわざるをえない。将来的に限定高性能モデルでの2.4リッターターボの可能性はあるにしても、やはり2.4リッター自然吸気と考えるのが自然だろう。
いずれにしても、すべては予測にすぎないが、こういう「当たるも八卦、当たらぬも八卦」の勝手な物言いも、とくに室内に閉じこもることも多いこのご時世には、クルマの楽しみ方のひとつとしてお許しいただきたい。ただ、次期86/BRZは確実に存在していて、現行型と同じくトヨタとスバルで共同開発中であり、そう遠くない将来に世に出てくる……ということだけは間違いない。
(文=佐野弘宗/写真=トヨタ自動車、スバル、マツダ/編集=関 顕也)

佐野 弘宗
自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。
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