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日本で一番早い!? 「トヨタ・ランドクルーザー」バイヤーズガイド

2023.08.16 デイリーコラム 工藤 貴宏
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まさかの2台同時発表

えっ、そうくるの?

……と驚かされたのが、トヨタが先日行った新型「ランドクルーザー」のワールドプレミアだ。

「新型ランドクルーザー」「ワールドプレミア(世界初公開)」という2つのキーワードが事前に告知されていた同イベント。てっきりモデルチェンジがうわさされていた「プラド」の新型“だけ”が公開されるのかと思っていたら、なんと“70(ナナマル)”の大幅改良版もお披露目。プラド改め“250”と“70”の2台が同時に公開されたのだから、いい意味での期待の裏切りっぷりにランクル(ランドクルーザーの略称)ファンとしては狂喜乱舞状態である。そこでは待望の、“70”の販売再開もアナウンスされた。

日本ではランドクルーザー“250”が来年(2024年)前半から、“70”はそれに先立ってこの冬から再々投入されるという。

“250”と“70”の投入により、日本ではライトデューティーに位置づけられる“250”、ヘビーデューティーとされる“70”、そして快適性が高いワゴンの“300”とランドクルーザーは3シリーズをラインナップすることになる。それは非常にうれしいことなのだが、もしかすると「悩みが増えちゃった。だってどれを選べばいいのか分からないのだから」という人もいるかもしれない。

そこで今回は、そんな人のための「ランクル選び」を考えてみよう。

新しくなった「ランドクルーザー“70”」をお披露目するトヨタ自動車のサイモン・ハンフリーズ チーフブランディングオフィサー。
新しくなった「ランドクルーザー“70”」をお披露目するトヨタ自動車のサイモン・ハンフリーズ チーフブランディングオフィサー。拡大
ステージ上にずらりと並んだ歴代「ランドクルーザー」。
ステージ上にずらりと並んだ歴代「ランドクルーザー」。拡大
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原点回帰の“250”

まず確実なのは、上級感と快適性が欲しいならば“300”を選んでおけば間違いないということ。ランドクルーザーシリーズのフラッグシップモデルで、価格は510万円から800万円。エンジンは排気量3.5リッターのV6ガソリンターボもしくは3.3リッターのV6ディーゼルターボを組み合わせる。王道といっていい存在だ。ただ、相変わらず買えないらしいけれど(トヨタの公式ウェブサイトでは「受注停止中」とされている)。

トヨタによると“250”は「人々の生活と実用を支えるランクルの本質に原点回帰」なのだとか。プラットフォームは“300”と同じ「GA-F」を採用するが、見てのとおりデザインは“300”とは全くの別もの。モダンながらレトロで、カジュアルに徹したまるで“かけそば”のように骨太ながらシンプルな姿がすがすがしい。

パワートレインは全車4気筒エンジンで、海外ではランクルとして初の展開となるハイブリッドも用意されるとのことだが、日本向けは2.8リッターディーゼルターボエンジンと2.7リッターガソリンエンジンになるとされている。

価格的には「“70”以上、“300”未満」のポジション。どんな人に向けたモデルかといえば、「“300”よりも手軽に最新のランドクルーザーを所有したい人」とか「オフロードにもガシガシ入っていきたい人」「豪華さよりもラギッドさを求める人」となるだろう。このデザインなら、ファッションアイテムとしても申し分ない。

新型「ランドクルーザー“250”」。“300”よりももう少し実用寄りのポジションとなる。
新型「ランドクルーザー“250”」。“300”よりももう少し実用寄りのポジションとなる。拡大
「ランドクルーザー“250”」には丸目バージョンも用意される。
「ランドクルーザー“250”」には丸目バージョンも用意される。拡大
こちらがシリーズのフラッグシップである「ランドクルーザー“300”」。デビューからずっと手に入りづらいのが難点。
こちらがシリーズのフラッグシップである「ランドクルーザー“300”」。デビューからずっと手に入りづらいのが難点。拡大

覚悟が必要な“70”

では、“70”はどんな人向けか?

イチオシは「オフロードをガンガン走って使い倒したい人」だ。“70”の特徴は、徹底した実用主義と道具感。それは存在意義と言い換えてもいいだろう。仕事や趣味で、ランドクルーザーの実用性が必要(だけど豪華さや上級感はいらない)という人のクルマだと思えば見誤らなくて済む。

別の見方をすれば「最もリーズナブルに手に入るランドクルーザー」とも言えなくはないが、とはいえ安いからと選ぶのはオススメできない。そんな人は、気軽に手を出すときっと後悔するだろうからだ。

そもそも“70”は1984年デビュー(40年も前!)で基本設計が新しくない。というか古い。電子制御に頼ることなく機械的に悪路走破性が高いのが自慢で、シンプルかつ熟成されたメカは信頼性が高く、電子系のトラブルのリスクだって極めて低い。けれど、日常の快適性&利便性や、高速道路や峠道などのオンロードにおける走行性能は最新のモデルと比べるまでもなく、普通の乗用車感覚で接すると“見解の違い”を感じるかもしれない。

音とか乗り心地の快適面は、これまでの“70”の経験から、はっきり言って「それなりの覚悟」をしないといけない。新型には試乗前だからそのあたりが大規模改良でどれだけ引き上げられているかは分からないけれど、確実に言えるのは“300”や“250”には届いていないってことだ。

だから気軽に触るとやけどするわけで、ネット流に言うと「分かっているやつだけが買っとけ!」となる。

日本では2015年以来7年ぶりに販売される「ランドクルーザー“70”」。今回は6段AT仕様が導入されるため、購入のハードルが低くなっている。
日本では2015年以来7年ぶりに販売される「ランドクルーザー“70”」。今回は6段AT仕様が導入されるため、購入のハードルが低くなっている。拡大
「ランドクルーザー“70”」のダッシュボード。マニュアル式のエアコンなど全体的には古めかしい感じだが、USBタイプCポートが備わっていたり、メーターが液晶式だったりと、適度にアップデートされている。
「ランドクルーザー“70”」のダッシュボード。マニュアル式のエアコンなど全体的には古めかしい感じだが、USBタイプCポートが備わっていたり、メーターが液晶式だったりと、適度にアップデートされている。拡大

ラダーフレーム王国化するトヨタ

というわけで詳細が分からないうちからバイヤーズガイドを進めてしまったわけだが、こうやって概要を見るだけでもランドクルーザーシリーズは「3台あるから悩ましい」ではなく実は「キャラが違うから意外と選びやすい」ってことが分かる。間違っても価格を軸に選ぶのはやめたほうがいいだろう。

それにしても、こうしてランクルシリーズを見てあらためて伝わってくるのはトヨタの強靱(きょうじん)な体力だ。

昨今のSUVは乗用車用のプラットフォームを使ったモノコックボディーがメインとなり、ますますその比率が高まっている。はっきり言ってしまえば、ランドクルーザーのようにラダーフレーム構造のSUVなんてそれほど多く車種をそろえる必要がないように思える。にもかかわらず、車体の違うランドクルーザーを3タイプもそろえるなんてトヨタってすごいなってこと。

さらに北米には「4ランナー」(かつて日本で「ハイラックスサーフ」として売られていた車種)もあるし、ランクル“300”と同じプラットフォームでつくられたトヨタ最大のSUV「セコイア」なんかも用意している。ASEAN地域には「ハイラックス」(トラック)のメカニズムを使う「フォーチュナー」だってあるし、そのうえプレミアムブランドとして「レクサスLX」や「レクサスGX」だってあるわけで、トヨタは一体どれだけフレーム付きSUVをそろえれば気が済むのか。そんな力業は、体力のあるメーカーじゃないとまねできない。トヨタ以外でやっているのはゼネラルモーターズくらいだろう。

というわけで、新型ランドクルーザーの登場でつくづく思う。トヨタってすごいなあ。

(文=工藤貴宏/写真=トヨタ自動車/編集=藤沢 勝)

ピックアップトラックの「ハイラックス」も、日本で手に入るラダーフレーム付きのトヨタ車のひとつだ。
ピックアップトラックの「ハイラックス」も、日本で手に入るラダーフレーム付きのトヨタ車のひとつだ。拡大
こちらは「レクサスLX」。国内未導入の「GX」も合わせて、プレミアムブランドにもラダーフレーム車を2つもラインナップしている。
こちらは「レクサスLX」。国内未導入の「GX」も合わせて、プレミアムブランドにもラダーフレーム車を2つもラインナップしている。拡大
工藤 貴宏

工藤 貴宏

物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。

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