BMW iX2 xDrive30 Mスポーツ(4WD)
見てよし 乗ってよし 2024.10.21 試乗記 フルモデルチェンジで第2世代に進化したBMWのクーペSUV「X2」。そのラインナップに加わったBEV「iX2」のステアリングを握り、一新されたクーペライクなフォルムと、システム最高出力306PSを誇る電動4WDパワートレインが織りなす走りを確かめた。さりげなくBEVに乗りたい人へ
BEV(電気自動車)のモデル展開は自動車メーカーによって異なり、メルセデス・ベンツのように「EQ」と銘打ってICE(内燃機関=エンジン)車と明確に分けているところもあれば、BMWのように同じシリーズにBEVとICE車を設定しているところもある。
実際、BMWでは、BEVのフラッグシップSUVである「iX」を除けば、エントリーモデルの「iX1」からラグジュアリーセダンの「i7」まで、ペアとなるICE車があり、好みやライフスタイルに合わせてBEVとICE車を自由に選べるのがうれしいところだ。
BEVがまだ珍しく、特別なクルマに乗っていることをアピールしたい人にとっては物足りないかもしれないが、さりげなくBEVに乗りたいという人には、こうしたBMWのやり方は受け入れられやすいし、今後、BEVが普及するにつれて、これまでBEVとICE車を区別していた他のブランドも、このスタイルに変わっていくはずだ。
今回試乗したiX2は、iX1と並んで、コンパクトSUVに位置づけられ、ICE版のX2がフルモデルチェンジして2代目となるのを機に、BEV版が登場した。よく見ると、BMWのシンボルであるキドニーグリル内のデザインが異なるものの、遠目にはiX2とX2は区別がつかない。一方、同じコンパクトSUVのiX1や「X1」とは明らかに異なる個性を放ち、先代以上に「SAC(スポーツアクティビティクーペ)」らしさを手に入れたのが、このクルマの一番の魅力ではないかと思う。
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「M35i」をしのぐ高トルク
iX2はコンパクトSUVを名乗るとはいえ、全長×全幅×全高=4555×1845×1565mmと、日本のコンパクトの感覚を大きく上回るのは輸入車の常だ。先代のX2に比べて全長は180mmも延びたが、これは従来のハッチバックスタイルから、伸びやかなファストバッククーペスタイルに変更されたのにともない、リアオーバーハングが延ばされたことによるところが大きい。
その余裕あるボディーには前後合わせて2基のモーターが搭載され、システム最高出力306PS(225kW)、システム最大トルク494N・m(50.4kgf・m)を発生する。ICE版のX2の最上位グレード「X2 M35i xDrive」が最高出力317PS(233kW)、最大トルク400N・m(40.8kgf・m)であり、この「iX2 xDrive30」がいかに高い性能を誇るかがわかるだろう。
パワーの源であるバッテリーは、前後アクスル間のフロア部分に搭載される。総容量は66.5kWhで、一充電走行距離は460km。感心するのはiX2のパッケージングで、たとえばラゲッジルームをチェックすると、フロアボードの上にはX2と同等のスペースが確保されている。BEVだからといってスペースが削られるわけではない。
X2同様、後席では大人が座っても余裕を感じるスペースが確保されている。厳密にはX2に比べてフロアから座面までの高さが数センチ低いのだが、直接2台を乗り比べなければ気づかないレベルであり、これがiX2の購入を諦める理由にはならないはずだ。
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速さと扱いやすさを兼ね備えたパワートレイン
運転席につくと、見慣れた光景が視界に入ってくる。メーターパネルとセンターディスプレイが一体となった「BMWカーブドディスプレイ」が最新のBMW車であることを印象づけている。片持ちのセンターアームレストに小さいシフトスイッチを配置することですっきりとしたデザインにまとめられているのも、コックピットの特徴のひとつだ。
ただ細かいことをいえば、センターアームレスト部分は左ハンドル仕様をそのまま流用しているため、アームレストを兼ねる小物入れのふたのヒンジが運転席側にあり、開けたときに収納スペースにアクセスしにくいのが玉にキズだ。クーペスタイルを採用するため、斜め後ろや後方がやや見にくいのも、気になる部分である。
前置きはこのくらいにして、くだんのセンターアームレストにあるスタートボタンを押してiX2を目覚めさせ、まずはDレンジを選んでクルマをスタートさせる。iX2の場合、ブレーキペダルから足を離すと、いわゆるクリープによりクルマはゆっくりと動きはじめる。ここからアクセルペダルを軽く踏むかぎりは、iX2の加速はスムーズで穏やかなので、扱いにくさとは無縁である。
ところが、アクセルペダルを深く踏み込むと、その性格は一変。背中がシートに押しつけられるほど強烈な加速を味わうことができるのだ。さらにステアリングホイールの左にあるパドルを引くと、10秒間だけよりパワーアップするスポーツブースト機能が作動し、一層伸びのある加速が楽しめる。そう頻繁に使うものではないが、頼もしいことこの上ない。
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BEVでも駆けぬける歓びは標準装備
Dレンジでは、回生ブレーキの利き具合を走行設定メニューで選ぶことが可能で、緩やかに回生ブレーキが利く「低」と強めの「強」、その中間の「中」に加えて、先行車両との距離などに応じて自動的に回生ブレーキの強さを変えてくれる「アダプティブエネルギー回生」が用意される。
一方、Bレンジを選ぶと「強」相当の強い回生ブレーキが得られることに加えて、アクセルペダルの操作だけで停止まで可能なワンペダルドライブに切り替わる。個人的には、Dレンジでアダプティブエネルギー回生を設定し、DレンジとBレンジを適宜切り替えて使うのが便利だと思った。
メーカーオプションの「パノラマガラスサンルーフ」が装着された試乗車の車両重量は、標準車に比べて20kg重い2070kg。しかし、2t超えとは思えないほど、iX2の動きは軽快である。床下にバッテリーを積むことで低重心化が図られるうえ、フロント:1040kg、リア:1030kgという絶妙な前後重量配分が効いているのだろう。SUVスタイルを採用しながら、コーナリング時のロールはよく抑えられており、安定感は抜群。高速走行時のフラット感も上々だ。それでいて乗り心地は十分に快適で、走りと乗り心地のバランスが良いのが、iX2の魅力をさらに高めてくれる。
BEVであっても駆けぬける歓びが堪能できるiX2。スタイリッシュなデザインとあいまって、BEVのエントリーモデルとしては、お世辞抜きにおすすめの一台である。
(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)
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テスト車のデータ
BMW iX2 xDrive30 Mスポーツ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4555×1845×1565mm
ホイールベース:2690mm
車重:2070kg
駆動方式:4WD
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
フロントモーター最高出力:190PS(140kW)/8000rpm
フロントモーター最大トルク:247N・m(25.2kgf・m)/0-4900rpm
リアモーター最高出力:190PS(140kW)/8000rpm
リアモーター最大トルク:247N・m(25.2kgf・m)/0-4900rpm
システム最高出力:306PS(255kW)
システム最大トルク:494N・m(50.4kgf・m)
タイヤ:(前)245/45R19 102Y XL/(後)245/45R19 102Y XL(ハンコック・ヴェンタスS1エボ3)
交流電力量消費率:161Wh/km(WLTCモード)
一充電走行距離:460km(WLTCモード)
価格:742万円/テスト車=793万4000円
オプション装備:ボディーカラー<アルピンホワイト>(0円)/パーフォレーテッドヴェガンザレザー<アトラスグレー×スモークホワイト>(0円)/ハイラインパッケージ(29万円)/ステアリングホイールヒーティング(3万円)/ハイグロスブラックトリム(0円)/パノラマガラスサンルーフ(19万4000円)
テスト車の年式:2024年型
テスト開始時の走行距離:2583km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1)/高速道路(8)/山岳路(1)
テスト距離:236.5km
消費電力量:--kWh
参考電力消費率:5.9km/kWh(車載電費計計測値)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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