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これは欲しい! 日本国内でも売ってほしい海外の日本車5選

2025.06.16 デイリーコラム 工藤 貴宏
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海の向こうにはある!

日本メーカーのクルマで、海外では売っているのに日本では買えない――自動車メーカーはグローバルな商売をしているので、そんなのは多々あること。かつては「日本で売っている車種を海外へも輸出する(もしくは現地生産する)」なんていう時代もあったけれど、今どきは販売地域のニーズに合わせた「日本で売っているのとは違う車種」を用意するのが一般的だ。

例えば、昨今自動車メディアをにぎわわせている「日産パトロール」。「サファリ」として販売していた日本では2007年に販売を終了しているけれど、海外ではその後も販売が続いて2回もフルモデルチェンジを受けているというわけだ(昨今のプロモーション活動の様子をみるとついに日本導入も再開か?)。

今回のコラムでは、そんな“海外では売っているけれど、日本では買えない日本メーカーのクルマ”のうち、日本でも売ってほしいモデルを5台ピックアップ。あくまで個人の独断と偏見で選んだので「これが選ばれているのに、アレが選ばれていないなんてけしからん!」というクレームは受け付けませんのであしからず。

トップバッターは「トヨタC-HR」。気づけば日本からフェードアウトしてしまったC-HRだけど、海外に目を向ければフルモデルチェンジした2代目が存在する。しかも、欧州と米国では別々の進化を遂げているのだから驚くしかないってもんですよ。まさか欧と米で違うクルマになってしまうなんて。

2023年に披露された欧州向けは初代の正統な後継車といえるモデルで、パワートレインはハイブリッドとプラグインハイブリッド。プラットフォームは「TNGA-C」だからメカニズム的にも初代の発展版といっていいだろう。ひとまわり大きな車体の米国向けモデルは、なんとBEV(バッテリー式電気自動車)専用モデル。プラットフォームは「bZ4X」とも同じ「e-TNGA」となっている。つまり欧州向けとは完全に別設計というわけだ。

筆者の好み全開でいえば、日本で欲しいのは欧州仕様。まるで「プリウスのSUV版」といったイメージのクーペフォルムはなかなか魅力的じゃないですか? 生産はトルコのみなので国内導入のハードルは高いし、クーペスタイルSUVの日本でのトレンドは終わってしまった面もあるから厳しいのはよく理解できるけど、日本でも売ってほしい!

2024年9月にデビューした7代目「日産パトロール」は、かつて国内でも「サファリ」の名で販売されていたクロカンの最新型。同モデルについては、日産が「国内販売を前向きに検討中」とアナウンスしている。
2024年9月にデビューした7代目「日産パトロール」は、かつて国内でも「サファリ」の名で販売されていたクロカンの最新型。同モデルについては、日産が「国内販売を前向きに検討中」とアナウンスしている。拡大
トヨタのコンパクトカー「C-HR」は、海外ではフルモデルチェンジした新型が販売されている。欧州向けのモデル(写真)は、前後で塗り分けたボディーカラーをまとい、フロントに「プリウス」や「クラウン スポーツ」などにも見られる“ハンマーヘッド”デザインを採用するなど、個性の強いSUVとなっている。
トヨタのコンパクトカー「C-HR」は、海外ではフルモデルチェンジした新型が販売されている。欧州向けのモデル(写真)は、前後で塗り分けたボディーカラーをまとい、フロントに「プリウス」や「クラウン スポーツ」などにも見られる“ハンマーヘッド”デザインを採用するなど、個性の強いSUVとなっている。拡大
見るからにタイト感のある欧州向け「トヨタC-HR」のコックピット。国内でこの運転席に座れる日はくるのか?
見るからにタイト感のある欧州向け「トヨタC-HR」のコックピット。国内でこの運転席に座れる日はくるのか?拡大
新型「トヨタC-HR」は、米国市場では電気自動車としてラインナップされる。クーペライクなスタイルとダイナミックな走りがセリングポイントで、0-60mph(0-96.6km/h)加速を約5秒でこなす。
新型「トヨタC-HR」は、米国市場では電気自動車としてラインナップされる。クーペライクなスタイルとダイナミックな走りがセリングポイントで、0-60mph(0-96.6km/h)加速を約5秒でこなす。拡大
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日本のニーズに合っている(はず)

そんなC-HRと同様に、日本での販売を終了した“実用性よりスタイル重視のコンパクトSUV”が「日産ジューク」。実は、欧州では正常進化の2代目が販売されていたりする。パワートレインは排気量1.6リッターの自然吸気4気筒エンジンを組み合わせるハイブリッドと、排気量1リッターの3気筒ターボだ。

「コンパクトSUVは実用的な『キックス』があればいいでしょ?」と日産の国内営業は塩対応だけれど、コンパクトSUVは日本でも売れ筋ジャンル。それだけにやっぱり、ジュークのようなデザインコンシャスなモデルも用意して“選択肢”を持たせたほうがいいんじゃないでしょうかねぇ。メカニズム的には「ルノー・キャプチャー」に近いんだけど、そんなの関係ねぇ(古っ!)。日本でも売ってほしい!

ところで日産といえば「キャシュカイ」も日本で売ってほしい海外専用車の一台。キャシュカイは、ひとことで言えば「短いエクストレイル」。だけど現行エクストレイルは値段がガンガン上がって従来モデルオーナーにとっては手が届きにくくなってしまった。だからひとまわり小さなキャシュカイを導入するのはいい戦略だと思いませんか? 日産上層部と国内営業の皆さん。

何を隠そう筆者も先日、最新のキャシュカイに試乗してみてその出来の良さと“ちょうどいい感じ”を実感。ぜひとも日本でも売ってほしい!

キャシュカイもジュークも生産はイギリス……という日本導入にあたって高いハードルとなりそうな事実は、取りあえず気づかなかったことにしておこう。

お次は「インテグラ タイプS」。

えっ……インテグラ!? 実は北米ではインテグラを売っているんですよ。ただし、ホンダじゃなくて「アキュラ・インテグラ」ですが。アキュラとはホンダのプレミアムブランドで、トヨタでいうところのレクサスですね。

インテグラの正体を明かせば「シビック」と共通の構造を持ついわば“シビックの高級版”で、タイプSのメカニズムは「シビック タイプR」に準じたもの。エンジンは排気量2リッターの直4ターボ(最高出力324PS)で6段マニュアルトランスミッションを組み合わせる。ただしエンジンは制御が違って中回転域でのトルク感を重視し、サスペンションもややソフトなセッティング。そのうえタイプRと違って遮音材なども省いていない「快適なスポーツ仕様」なんだとか。「アキュラの販売店がない」なんていう事情は気にせず、日本でも売ってほしい!

2019年に登場した2代目「日産ジューク」も、現時点では日本市場で買えないクルマのひとつだ。このルックスのコンパクトSUVは、今ならヒットする可能性もあると思うが……。海外市場では2022年にハイブリッドモデルを追加。2026年度には100%電動モデルが加わる見込みだ。
2019年に登場した2代目「日産ジューク」も、現時点では日本市場で買えないクルマのひとつだ。このルックスのコンパクトSUVは、今ならヒットする可能性もあると思うが……。海外市場では2022年にハイブリッドモデルを追加。2026年度には100%電動モデルが加わる見込みだ。拡大
こちらは現行型の「日産キャシュカイ」。日本でも「エクストレイル」のコンパクトバージョンという位置づけでリーズナブルな価格で販売したなら、人気を集める可能性はある。
こちらは現行型の「日産キャシュカイ」。日本でも「エクストレイル」のコンパクトバージョンという位置づけでリーズナブルな価格で販売したなら、人気を集める可能性はある。拡大
米国内でアキュラブランドから販売されている「インテグラ タイプS」。ファンに刺さる走りの良さを実現しながら、快適性も犠牲になっていないのがポイントだ。
米国内でアキュラブランドから販売されている「インテグラ タイプS」。ファンに刺さる走りの良さを実現しながら、快適性も犠牲になっていないのがポイントだ。拡大
「アキュラ・インテグラ タイプS」のコックピット。クルマ好きなら見覚えのある方も多いであろう、小ぶりなシフトノブが泣かせる。
「アキュラ・インテグラ タイプS」のコックピット。クルマ好きなら見覚えのある方も多いであろう、小ぶりなシフトノブが泣かせる。拡大

「カッコいい」のが一番

ところで、「マツダCX-50」というモデルをご存じでしょうか。米国や中国で売っているSUVですが、これがなんともカッコいい。

メカニズムは基本的に「CX-30」と共通ですが、スタイリングは明確なワイルド風味。バリッと張り出したフェンダーのマッチョさといったら、それだけで白飯3杯はイケそうなくらいの魅力的じゃないですか。

「全幅が1920mm(「CX-5」より75mmも広くて「CX-60」よりもワイド!)もあるから日本では厳しい」という声も聞こえてくるけれど、そんなのどうってことない。だって全幅が気になるならCX-30やCX-5を選べばいいだけであって、CX-50は「全幅を気にせず本当に欲しい好事家」だけを対象にほそぼそと販売すればいいんだから。

だってほら、このCX-50。みんなが「小さくて運転しやすい」とか言って喜んで東京なんかでは“石を投げれば当たる”くらいの勢いでたくさん走っている「ポルシェ・マカン」と車体サイズはだいたい一緒。そう考えれば、日本でもまったく無理なサイズではないはず。国内導入にあたっては日本でつくっていないのが大きな逆風か……。でも、日本でも売ってほしい! 中国からの輸入車でどうですか?

さて、5台の「日本でも売ってほしい海外専用車」を紹介したわけですが、本命は最後に(そして5台に含まれない特別枠で!)やってくる。というわけで、番外編ながら強いリクエストを送りたいモデルをもう一台。「マツダBT-50」です。

BT-50ってなんだ? 何を隠そう、それはピックアップトラック。タイで生産し、東南アジアをはじめオーストラリア、中近東、アフリカなど幅広い地域へ輸出されているモデルで、かつて国内でも販売していた「プロシード」の後継車といえばわかりやすいでしょうかね。このBT-50がとにかくカッコいい! 日本にも欲しい!

何を隠そう昨今のBT-50は「いすゞD-MAX」をベースとしたOEMモデル。だけど、スタイリングは専用でしっかり“鼓動デザイン”しているのですから、OEMモデルとはいっても見るからに“まごうことなきマツダ車”なのです。

ライバルの「トヨタ・ハイラックス」とか「三菱トライトン」だってタイで生産し、輸入車として日本導入中。そして人気モデルになっている。だったらBT-50だってイケるのでは…!

ところで、どうして「日産だけ2台もあるのか?」って? それは、筆者として日産を応援したい気持ちの表れに決まっているじゃないですか。だって、日産の国内ラインナップはさみしすぎるんだもん。

(文=工藤貴宏/写真=日産自動車、トヨタ自動車、本田技研工業、マツダ/編集=関 顕也)

精力的にSUVのラインナップ拡充を進めているマツダだが、写真の「CX-50」については国内未発売となっている。
精力的にSUVのラインナップ拡充を進めているマツダだが、写真の「CX-50」については国内未発売となっている。拡大
フェンダーの張り出し感が印象的な「CX-50」のリアビュー。全幅1920mmと聞くと大きなクルマに思えるが、実質的には「ポルシェ・マカン」と同程度のサイズ感である。
フェンダーの張り出し感が印象的な「CX-50」のリアビュー。全幅1920mmと聞くと大きなクルマに思えるが、実質的には「ポルシェ・マカン」と同程度のサイズ感である。拡大
「マツダBT-50」は、2006年以来、オセアニアやASEAN、中南米、中近東、アフリカなどを中心に販売されてきたピックアップトラック。2020年にデビューした現行モデル(写真)は、いすゞ自動車から供給されるOEM車となっている。
「マツダBT-50」は、2006年以来、オセアニアやASEAN、中南米、中近東、アフリカなどを中心に販売されてきたピックアップトラック。2020年にデビューした現行モデル(写真)は、いすゞ自動車から供給されるOEM車となっている。拡大
工藤 貴宏

工藤 貴宏

物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。

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