ジープ・レネゲード アルティチュードeハイブリッド(FF/7AT)
三種の神器があればいい 2025.08.11 試乗記 今年でデビュー10周年! 今やジープの最古参モデルとなった「レネゲード」が、パワートレインを刷新する大幅改良を受けた。実車に触れて感じた、このモデルが今日でも根強い人気を誇る理由とは? 今も色あせない、独創デザインの“小さなジープ”を試す。気がつけば10年選手
最初に結論めいたことをいうならば、ジープ・レネゲードはデザインで選ぶクルマである。
レネゲードがジープブランドのコンパクトSUVとしてデビューしたのは2015年のことなので、すでに10年が経過したことになる。プラットフォームは当時の「フィアット500X」と共通のもの。エクステリアデザインはジープのルーツである「ウィリスMB」をオマージュし、丸型のヘッドライト、7スロットグリル、台形のホイールアーチ、ガソリン運搬用のジェリー缶をモチーフにしたX型のリアランプといったエレメントを採用する。
これまでのラインナップを見ると、1.4リッターターボエンジンや1.3リッターターボエンジンのFFモデル、2.4リッター自然吸気エンジンの4WDモデル、そしてジープブランド初のプラグインハイブリッドモデル「4xe」などがあったが、このタイミングで1.5リッターターボエンジン+マイルドハイブリッドの「アルティチュードeハイブリッド」に一本化された。2027年には新型へのモデルチェンジが予定されており、これが現行型の最終仕様になるようだ。
レネゲードはクラシックな要素をうまく取り込んだボクシーなスタイリングが支持され、日本での累計販売台数は2万7000台超(2025年3月末時点)となっている。これはジープブランドにとって「ラングラー」に次ぐ人気モデルということだ。
ジープ初のマイルドハイブリッドとなる「e-Hybrid」のパワートレインは、基本的に「アルファ・ロメオ・トナーレ」のマイルドハイブリッド仕様と共通のもの。1.5リッター直列4気筒直噴ターボエンジンの最高出力は、トナーレの160PSに対して131PSと低く抑えられているが、最大トルクは240N・mと同じ。48Vシステムによって駆動するモーターは7段DCTに内蔵されており、最高出力20PS、最大トルク55N・mを発生。駆動方式はFFとなっている。
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インテリアにみる個性と変更点
エクステリアでの従来モデルとの識別点は、フロントグリル、ドアミラー、ドアハンドルがブラックで統一されていることくらい。レネゲードオーナーでなければわからないくらいのものだ。テールまわりなどにも「e-Hybrid」などのエンブレムは装着されていない。
シートに腰掛けると、インストゥルメントパネルやセンターコンソールまわりにエンジンスタートボタンが見当たらない。周囲を探しまわっていると、ステアリングの裏にあるコラムの右側に隠れていた。ステアリングホイールは新デザインになっており、エアバッグを内包するセンターパッドが小型化され、アダプティブクルーズコントロール(ACC)などの操作ボタンが整理され使いやすくなった。
またセンターに配置されているスクリーンも刷新されている。10.1インチのタッチパネル式で、システムとしては第5世代の「Uconnect 5」にアップデートされている。ナビゲーションソフトはアイシン製で、マップもとても見やすいものだ。またエンジンとモーターの出力フロー、エネルギー回生の履歴なども表示できる。
そしてジープといえばの遊び心で、丸いヘッドランプと7スロットを組み合わせたアイコンが、フロントスピーカーのフレームやセンタースクリーンの裏側にあるステーなどにちりばめられている。フロントウィンドウの端にはウィリス・ジープのシルエットも見える。
やさしい運転をしたくなる
ステランティスのマイルドハイブリッドシステムの特徴は、15~20km/hくらいの低速であれば電動走行が可能なこと。地下駐車場をスタートすると静かにEV走行し、出口に向かって急坂を上るシーンでモーターの負荷が高まると、エンジンが始動した。その際も大きなショックとノイズが生まれ、というようなことはない。シームレスでノイズレスとまではいわないが、EV走行からエンジン走行へと自然につながっていく。モーターは加速時にはアシスト機能を果たし、また減速時には制動エネルギーから回生を行い、燃費性能を向上させる仕組みだ。カタログ燃費は17.7km/リッター(WLTCモード)となっている。
サスペンションは前後ともにストラット式のコンベンショナルなもの。タイヤは17インチの60偏平と、いまどきほほ笑ましく思えるサイズで、タイヤ交換の際の財布への負担も小さい。試乗車はブリヂストン製の「トランザT005」 というコンフォートタイヤを装着していた。
乗り心地はいたって常識的なもの。いまどきのコンパクトSUVは、乗用車的な、いわばスポーティーな動きをするものが多いが、そういう点でみればラングラーに近く、ゆったりとロールを許容する。すべてのクルマがキビキビと動く必要はないわけで、そういうものだと思えば、まったくもって飛ばそうという気にならないし、運転がやさしくなる。
気になる点をひとつだけ挙げるとするなら、車速が30km/hを切るとACCの制御をやめてしまうこと。これは、ひと世代前のACCによくみられたもので、ストップ&ゴーを繰り返すような渋滞時には使えない。パワートレインもインフォテインメントも最新世代にアップデートされているのだから、ここもなんとかできなかったのかと惜しまれる。
実際のところ、レネゲードユーザーの多くは指名買いしているという。フィアットやアルファ・ロメオとは比べないのだ。多くのユーザーは丸いヘッドライト、7スロットグリル、スクエアなスタイリングという三種の神器にほれて選んでいるのだろうし、それでいいのだ。サイズ感や街なかでの取り回しのしやすさもちょうどいい。
しかし、あらためて現在のジープのラインナップを見ると、先の三種の神器を備えているモデルは、ラングラーとそのピックアップトラック版の「グラディエーター」、そしてこのレネゲードしかない。あの方にご助言さしあげるとするならば、「ラングラーミニ」か「ラングラージュニア」か、車名はともかく、できるだけラングラーに似たデザインのコンパクトモデルをつくれば、日本でももっとアメリカ車は売れますよと。
(文=藤野太一/写真=向後一宏/編集=堀田剛資/車両協力=ステランティス ジャパン)
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テスト車のデータ
ジープ・レネゲード アルティチュードeハイブリッド
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4255×1805×1695mm
ホイールベース:2570mm
車重:1500kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:7段AT
エンジン最高出力:131PS(96kW)/5250rpm
エンジン最大トルク:240N・m(24.5kgf・m)/1500rpm
モーター最高出力:20PS(15kW)/6000rpm
モーター最大トルク:55N・m(5.6kgf・m)/2000rpm
タイヤ:(前)215/60R17 96H/(後)215/60R17 96H(ブリヂストン・トランザT005)
燃費:17.7km/リッター(WLTCモード)
価格:544万円/テスト車=575万2160円
オプション装備:デュアルペインパノラミックサンルーフ(16万3000円) ※以下、販売店オプション フロアマットチェーンループ(4万5760円)/ドライブレコーダー付きディスプレイミラー(10万3400円)
テスト車の年式:2025年型
テスト開始時の走行距離:6504km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4)/高速道路(6)/山岳路(0)
テスト距離:262.1km
使用燃料:19.01リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:13.8km/リッター(満タン法)/15.1km/リッター(車載燃費計計測値)
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藤野 太一
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