長く継続販売されてきたクルマは“買いの車種”だといえるのか?
2025.11.17 デイリーコラムご長寿カーは国産車にも
先日開催されたジャパンモビリティショー2025ではいくつかの新型車のお披露目があり、次期「日産エルグランド」も大きな話題となった。現行型のデビューは2010年8月で、2026年夏とされる正式発表まで含めて計算すると約16年間も放置されている……のではなく、つくり続けられていることになる。「16年間放置」はさすがに言いすぎだけれど、2020年10月のマイナーチェンジ以降、ほぼ手が入っていないのが現実だ。
同じく日産では、2025年8月に生産終了した「日産GT-R」のデビューは2007年でさらに歴史が長い。デビューの年に生まれた子どもが運転免許証を取得できる年齢に達するまでつくり続けられるなんて、よく考えてみれば結構すごいことである。
鋭い人はジャパンモビリティショー2025の三菱自動車ブースに置いてあった「デリカD:5」が実は既存モデルではなく、(もうすぐ正式発表されるらしい)未発売の最新型だと気がついたかもしれない。そんなデリカD:5が発売されたのも2007年1月で、2019年2月に大規模マイナーチェンジを受けているとはいえ、デビューからもうすぐ19年を迎えるご長寿モデルとなっているのだ。
しかし世の中には“もっと上”がいて、“200系”と呼ばれる「ハイエース」のデビューは2004年8月。「商用車だから乗用車と比べても仕方ないでしょ!」という意見もあるかもしれないが、余裕の20年超えはなかなかの貫禄というほかない。
というわけで今回のテーマは、「そんな息の長い商品は買ってもいいのか?」というもの。「どうせ買うなら新型車がいい」という人にはどうでもいい内容なので、どうか華麗にスルーしていただきたい。
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単なる“放置”か“熟成”なのか
これはもう「クルマという商品をどう考えるか」という価値判断でしかない。「気に入ったなら気にせずに買えばいい」というのも正論だし「クルマは新型車に限る」というのも間違いではないからだ。考え方次第である。
ただ、筆者が思うには「買ってもいいご長寿モデル」と「自動車ライターとしてはあまりおすすめできないご長寿モデル」がある。違いは明確で、「適時アップグレードされ、しっかりと熟成が進んでいるモデル」は買ってもいいだろう。例えばGT-Rは幾度かのアップグレードが行われ、しっかりと進化が図られた。そういうモデルは買う価値がある。
いっぽうで「放置」となっていて進化していないモデルは、あまりおすすめできない。そこが「クルマ好きにとって推奨できるか」と考えたときの判断基準だと筆者は考える。
とはいえ、「商品」として考えた場合はそんな筆者の考え方だけが正解というわけではないのが問題をややこしくしているところだ。昨今は製造コストの上昇により新車価格のアップが著しいが、長くつくり続けられているモデルは(フルモデルチェンジしたモデルに比べると)車両価格が控えめになる傾向がある(あくまで“傾向”であってすべてがそうとは限らないけれど)。「熟成なんてどうでもいいからお買い得にクルマを手にしたい」というなら、そういうモデルを狙うのもクルマ選びとしては間違いではないだろう。
そのうえで、「新型車なら絶対に継続生産車よりも優れているか」といえばそんなこともないからまた話は複雑だ。例えばマツダ。「CX-60」の初期モデルよりも、熟成が進んだ「CX-5」の後期モデルのほうがいろんな部分で完成度が高かったというのは有名な話(実はそんなCX-5自体もデビュー当初のモデルに対して1年後くらいの仕様ではずいぶんアップデートされていた)。初期モデルは「時として開発上の未消化部分」があったりするから、デビューから1年くらいたってからのほうがおすすめだったりするのはよくあること。
というわけで、息の長い商品もクルマによっては積極的に買ってもいい。ただし、クルマ好きとしてはしっかり進化を重ねて熟成が進んでいるクルマに限る。それが結論だ。ちなみにデビューから10年たつ「マツダ・ロードスター」は、ここへきて複数の自動車ライターが新たに新車で購入していて、何を隠そう筆者もそのひとり……とだけお伝えしておこう。それではよいクルマ選びを!
(文=工藤貴宏/写真=日産自動車、三菱自動車、トヨタ自動車、マツダ、webCG/編集=関 顕也)
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工藤 貴宏
物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。
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