アナタのETCが使えなくなる? ユーザーに負担を強いる「ETC 2030年問題」を断罪する
2026.02.20 デイリーコラム費用はもちろんアナタ持ち
一部のETC車載器が、近い将来使えなくなる。……というウワサ(?)が蒸し返されている。
数年前に話題になったのは、ETCの2022年問題というやつだった。これは、2005年の電波法関連法案改正により、2022年12月1日以降、2007年以前の旧スプリアス規格に基づいて製造されたETC車載器を使用すると、電波法違反にあたることになった、というもの。「旧スプリアス規格ってナニ?」って感じだが、とにかく古いETC車載器の一部が使えなくなるってことで、「ユーザーのみなさん、自分のETC車載器を確認してくださいねー」みたいな呼びかけが行われた。
ところが新型コロナ感染拡大のため、当該機器の使用期限が延長され、コロナ禍が終息した現在も使える状態が続いている。つまり、「そのうち古いのは自然消滅するだろうし、もういーや」ってことになったのだろうか?
そんな感じで、2022年問題すら結局まだ発生していないのですが、今度は2030年問題で、現在われわれが使用しているETC車載器が使えなくなるかもしれない、らしい。
今回の問題は電波法の改正ではなく、ETCのセキュリティー機能向上を目的とした、規格変更によるものだという。使えなくなるかもしれないのは、19ケタの車載器管理番号の左から1文字目の数字が「0」の旧セキュリティー規格モデル。「1」の新セキュリティー規格対応モデルは大丈夫だそうです。なので、自分の車載器が該当するかどうかを確認のうえ、該当する場合は、早めに車載器を交換しておきましょうね(もちろん有料です)、みたいな趣旨の記事が、複数のメディアに掲載されている。
私に言わせれば、「フザケルナ!」のひとことだ。
セキュリティー機能を強化するのは勝手だが、それで使えなくなる車載器が発生するなら、規格を変更する側、あるいは製造した車載器メーカーが、草の根を分けても探し出し、無償で交換すべきだ。
拡大 |
トラブルが起きたら誰が責任を取るのか
この件に関しては、旧規格のETC車載器を使用中のユーザーには、まったく、なんの落ち度もない。それを自分の都合で使えなくしたうえ、「お早めに交換を」なんて、いったい誰が言い出した話なのだろう。ユーザーの持ち物を勝手に欠陥品にするんだから、PL法に該当するも同然。責任持って回収・返金するのが理屈である。
私は以前、当時乗っていた大手国産メーカーの自転車について、「欠陥があることがわかりました」という通知が来たことがある。そのメーカーはたいそうなダンボールを送ってきて、後日、宅配便のトラックでわざわざ回収していきましたよ。自転車みたいなデカい商品を回収するのは大変だよなぁとしみじみ同情したけど、回収・返金してくれるというので、じゃあお願いします、となりました。
今回のETC 2030年問題も、もし本当に発生するなら、同じような扱いをすべきであって、該当する車載器のユーザーはデカい顔で使い続けて当然である。
日本のETCは、世界で最も高級な料金自動収受システムだ。なぜこれほど高度なシステムにしたかといえば、日本は高速道路料金が世界一高く、かつ、エラーを許さない国民性だからである。青森から鹿児島まで特大車で走ったら、一発で7万円くらいかかる。そんな高額なお金を頂くからには、ミスは許されないし、セキュリティー対策にも万全が期された。実際、誤作動は極めて少ない。当初は車載器の価格の高さもあって、大不評だったETCだが、現在はすっかり世のなかに溶け込み、空気のような存在になってる。
その空気の一部を、どちらさまかの都合で「毒」にするというのなら、そちらで回収するのが当然だ。われわれユーザーは、自らアクションを起こす必要など一切ない。こんなふざけた話を本当に実施し、ある日突然、全国のETCゲートでトラブルや事故が多発したら、その責任は誰が取るのか? そう考えると、今回の2030年問題も、オオカミ少年で終わるような気がする。
(文=清水草一/写真=webCG/編集=堀田剛資)
拡大 |

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
メーカー団体もついに本気になった? 日本における「自動運転」の未来と現在地 2026.10.2 日本の自動車メーカー14社で構成される日本自動車工業会が、記者会見で「自動運転」の普及・実装へ向けた取り組みを発表した。彼らは、どのようなロードマップで自動運転の社会実装を考えており、そこにはどのような課題があるのか?
-
安いのは分かってる 軽スーパーハイトBEV「BYDラッコ」のお買い得度を検証する 2026.10.1 BYDの軽スーパーハイトBEV「ラッコ」がいよいよ日本の道を走り始めた。すでに各所で報じられているとおり安いのは間違いないが、装備内容等も考慮したうえでの買い得度はどんなものか。ライバル車との比較を通じて検証した。
-
目指したのは“さらなるスポーティーセダン” 新型「BMW 3シリーズ」の技術的ハイライトを読み解く 2026.9.30 BMWが「i3」に続いて「3シリーズ セダン」の新型を公開した。かたや電気自動車、かたや内燃機関搭載車とはいえ、どちらも同じ3シリーズなのだが、どうも世間の受け止めはそうではないらしい。それはともかく、「Mスポーツ プロ」も設定された新型の技術的ハイライトを解説する。
-
目指せ国内生産100万台! 日産の国内事業再編にみる思惑と狙い 2026.9.28 日産が将来の成長へ向けた国内事業の再構築を発表。国内生産100万台を実現すると表明した。赤字に工場閉鎖と、暗いニュースが続いていた日産だが、現状の4割増しというこの大胆な目標は、達成可能なものなのか? そもそも日本での事業にこだわる理由とは?
-
あのクルマはなぜ売れている? 自販連のデータから“日本車の今”を読む 2026.9.25 ここ数年の自販連のデータからは、国内市場におけるトヨタのゆるぎない強さが見てとれる。ではその実績から、人々にどんなクルマが求められているといえるのか? 統計や数字の裏にある消費者マインドを探ってみよう。
-
NEW
スズキ・ジムニー ノマドFC(前編)
2026.10.4ミスター・スバル 辰己英治の目利き「スズキ・ジムニー」初の5ドアモデル「ノマド」に、辰己英治さんが試乗! スズキが誇る小さなオフローダーは“ミスター・スバル”の目にどう映るのか? ラダーフレームに前後リジッドアクスルという、古式ゆかしきクロスカントリー車の走りをリポートする。 -
ホンダN-BOXカスタム ターボ コーディネートスタイル2トーン(FF/CVT)【試乗記】
2026.10.3試乗記フロントグリルとメッキパーツの面積が大きくなって迫力が増した最新の「ホンダN-BOXカスタム ターボ」に試乗。マイナーチェンジで進化した内外装の仕上がりと、軽四輪車の販売で11年連続の首位を誇る“絶対王者”の走りを報告する。 -
思考するドライバー 山野哲也の“目”――ランボルギーニ・テメラリオ編
2026.10.2webCG Moviesレーシングドライバー山野哲也が「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。プラグインハイブリッド化によってさらなる高性能を手にした、ミドシップスーパースポーツの走りを語る。 -
第876回:“ヨコハマ史上最高”が目白押し SUV向けスタッドレスタイヤの新製品「アイスガード8 SUV」を試す
2026.10.2エディターから一言2026年9月1日に販売が開始された横浜ゴムのSUV用スタッドレスタイヤ「アイスガード8 SUV」。従来製品との比較で氷上性能を14%、雪上性能を4%、耐摩耗性能を11%アップさせたというその実力を、一足先に冬のテストコースで確かめた。 -
メーカー団体もついに本気になった? 日本における「自動運転」の未来と現在地
2026.10.2デイリーコラム日本の自動車メーカー14社で構成される日本自動車工業会が、記者会見で「自動運転」の普及・実装へ向けた取り組みを発表した。彼らは、どのようなロードマップで自動運転の社会実装を考えており、そこにはどのような課題があるのか? -
安いのは分かってる 軽スーパーハイトBEV「BYDラッコ」のお買い得度を検証する
2026.10.1デイリーコラムBYDの軽スーパーハイトBEV「ラッコ」がいよいよ日本の道を走り始めた。すでに各所で報じられているとおり安いのは間違いないが、装備内容等も考慮したうえでの買い得度はどんなものか。ライバル車との比較を通じて検証した。

