ボルボV70 DRIVe(FF/6AT)【ブリーフテスト】
ボルボV70 DRIVe(FF/6AT) 2012.01.08 試乗記 ……504万円総合評価……★★★★★
ゆとりのボディーと経済的なエンジンを併せ持つ、ボルボのワゴン「V70 DRIVe」。デザインや仕様に小変更が加えられた最新型で、その実力を試した。
買って得、乗って得
いろいろと目新しい新車が出回るなか、時間がたつほどに、この「V70」はクラシックな印象を抱かせるモデルになってきている。しかしながら、大型のボルボ車がもつ魅力は、簡単に色あせたりはしない。大きなボディーに小排気量エンジンの組み合わせは、むしろ最新技術の象徴と言える。
クルマとしての基本的な造りは6気筒エンジンを搭載する高価格モデルと変わらず、エンジンだけは小さな4気筒。実際の動力性能に不満はなく、さらに省燃費とくれば、言うことなし。この内容で449万円はお買い得だ。
とはいえ、ボルボの本当の魅力はそこではなく、「長年付き合っても飽きない」ことにこそ、重要な意味がある。せっかく欲しかったクルマを買っても、数年・数万キロで手放す人は多いが、それは必ずしも、クルマがへたって乗れなくなってしまったからではない。「飽きてしまったから」というのも、他のクルマが欲しくなる理由なのである。
また、乗るたびにドライバーがストレスを伴う例も多い。ボルボはその種のストレスがごく少ないクルマだ。詳しいテスト結果は項目ごとに後述するとして、「何十年、何十万キロ使っても飽きない」というボルボの不思議な魅力、読者諸兄も味わってみてはいかがだろうか。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「ボルボV70」は、「ボルボ850」の後継車種として1996年に誕生したワゴンモデル。現行型は3代目にあたるもので、日本市場では2007年10月の東京モーターショーでデビュー。翌11月から販売が開始された。
現在ラインナップしているボルボのワゴンとしては、「V50」「V60」を上まわる、最も大きな車格を有する。とりわけ大型化を果たした現行型は、「メルセデス・ベンツEクラス」や「BMW 5シリーズ」といったドイツの高級車と顧客を分かつ。
2011年10月にはマイナーチェンジが実施され、ステアリングのコントローラーでカーナビゲーションなどの機能を操作する新しいインターフェース「Volvo Sensus(ボルボ・センサス)」を追加。さらに、板状のセンターコンソール「フローティングセンタースタック」を特徴とするインテリアのデザインも一新された。同時に、時速30km以下で衝突の危険を自動的に回避、軽減する運転補助システム「シティセーフティ」も全車標準に。安全性能は、変わることのない大きなセリングポイントとなっている。
(グレード概要)
今回のテスト車「V70 DRIVe」は「V70」シリーズのエントリーモデルにあたる。大柄なボディーであるにも関わらず、ボルボ車の中で最も排気量が小さい、1.6リッター直4ターボエンジンを搭載。1600rpmの低回転域から5000rpmまで最大トルクを発生しながら、10・15モードで13.2km/リッターの燃費を実現するなど、走りと環境性能の両立がうたわれる。
2012年1月現在、日本市場における「V70」シリーズは、この「V70 DRIVe」(449万円)のほか、「V70 T5 SE」(499万円)、「V70 T6 AWD TE」(699万円)の3本立てとなっている。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
マイナーチェンジを機に、ダッシュボードの奥からセンターコンソール上部へと場所を移されたカーナビは、見やすくスッキリしている。他のボルボ車でもおなじみの、フローティングセンタースタック裏の収納も便利だ。
「V70 DRIVe」のメーターは黒地のシンプルなものだが、かえって見やすく、落ちつく。カーナビをはじめ多くの操作は、ステアリングホイールの周りでコントロールできるようになった。便利なのはもちろん、インストゥルメントパネルやセンターコンソール盤面のレイアウトもスッキリとした。さらに、自動的にブレーキが利く安全機能「シティセーフティ」も標準装備となる。
(前席)……★★★★★
辺りは広々としていて、座っていて気持ちがいい。長距離走行でも疲れない。乗っていて飽きがこないのは、この座り心地とポジション、いい眺めによるものだろう。幅広く長いボディーであるが、狭い道でのすれ違いも苦にならず、大型トラックの集団に囲まれていようとも、不思議と安心していられる。こんなクルマはそう多くはない。また寒い時期になると、オプションのシートヒーターがエアコン以上にありがたい。
(後席)……★★★★
前方の眺めは、前席以上に広々感がある。さらに乗員の後部にも広々とした空間が続くおかげで、心理的にくつろげる。一方で、ヘッドレストにも工夫が施されているが、その折り畳める構造ゆえか、やや平板な印象。背面も同様に平板で、包み込まれるような感覚が削(そ)がれてしまい、落ちつかない。それでもクッションストロークが不足する感覚はなく、体重にあわせて沈み込んでくれる。短時間の後席試乗で評価できるのはここまでだが、あるいは、もっとくだけた姿勢で眠り込んでしまった場合など、印象は好転するかもしれない。
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(荷室)……★★★★★
ステーションワゴンの荷室として、これ以上望むものはなさそう。トノカバーも使いやすいし、内張りの仕上げも丁寧だ。先代モデルでは、折り畳み式の3列目シートも選べたと記憶するが、いまでは需要がないのだろう。ただ、そんな可能性をも思わせるだけの空間が確保されている。ピラーは細めで、斜め後方の視界が妨げられにくい工夫がなされている。なお、スペアタイヤは持たない。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
1.6リッターエンジンはボディーの大きさに比してパワー不足なのではないかと心配する向きもあろうが、まったくの杞憂(きゆう)にすぎない。6段のツインクラッチ式ATは、加速と高速クルージングのいずれについても、動力性能上の不満はない。唯一心配な点は、急勾配の長い下り坂などにおけるエンジンブレーキだが、これも2速まで落とせば十分補える。フットブレーキの制動力も、信頼に足りる。燃費は期待にたがわず、箱根のテスト走行と東京から福島への往復を含めた841.9km の総平均で12.9km/リッターと優秀な値を示した。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
長距離走行でも疲れない乗り心地や安心して操れる操縦安定性は、ボルボ長年の蓄積によるもの。信頼を裏切らない。ボディーはガッシリと強固に構築されており、路面からの入力をしっかり受け止める。遮音材は過度になりすぎない範囲で用いられており、路面によってはロードノイズも侵入するが、今どんな道を走っているかという“路面感覚”を得るうえで適度である。
ステアリングのレスポンスは、クイックすぎず自然。大舵角(だかく)ではよく切れるが、絶対的にホイールベースが長いため、昔のボルボのようには小回りがきかない。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2011年11月10日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2011年型
テスト車の走行距離:1670km
タイヤ:(前)205/60R16(後)同じ(いずれも、ミシュラン・エナジーセーバー)
オプション装備:レザーパッケージ(30万円)/セーフティパッケージ(25万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(6):山岳路(2)
テスト距離:841.9km
使用燃料:65.27リッター
参考燃費:12.9km/リッター

笹目 二朗
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