マツダ6セダン MZR2.5(FF/6MT)【海外試乗記】
持続可能なZoom-Zoomって? 2008.03.03 試乗記 マツダ6セダン MZR2.5(FF/6MT)マツダが2007年3月に“サスティナブルZoom-Zoom”を宣言してからというもの、デミオに次いでデビューしたのが新型セダン、2代目アテンザである。その欧州仕様たる「マツダ6」にフランス・サントロペで試乗した。
『NAVI』2008年2月号から転載。
アテンザではない
我々が南仏サントロペを訪れたのは次期マツダ・アテンザに試乗するため──ではないことを教えられたのは試乗当日の朝だった。今回の試乗はあくまで欧州仕様の新型マツダ6であって、2008年初頭に日本に導入される次期アテンザではない、と広報担当者に念を押された。
サントロペ港の南にある小高い丘の上のホテルが試乗の起点だ。エントランスにマツダ6“セダン”が並んでいる。初代同様にセダン、ワゴン、ハッチバックがラインナップされるが、試乗車はあえて最小シェア(24%)のセダンである。2代目はセダンが主力? 否。生産時期がもっとも早かったためで、セダン推進戦略の表れではないと関係者が教えてくれた。
切れ上がったヘッドライトがデミオに続く最新マツダを感じさせる。ボンネットの峰と、フェンダーの峰がフロントのボリュームを強調してグラマラスだ。マツダ6は実際グラマーで長い。現行型アテンザとセダン同士で較べて60mm長く、15mm幅広く、10mm高い。
軽いドアを開けて乗り込み、マツダ初採用のスマートキーによるスタータボタンを押すと、レクサスを彷彿させる、しかしややシンプルな電子音とともにエンジンがかかった。Kカメラマンに指摘されるまで、その音色が「ズームズーム」を表現していると気がつかなかった。
改善された電動パワステ
今回試乗するマツダ6は左ハンドルの6段MTだが、日本仕様の右ハンドルにもMTが用意されるというから、欧州仕様とはいえ、まるで別世界の話でもなさそうだ。
クラッチと同様に車体が軽い。試乗した2.5リッターモデルの車重は1320kg。このクラスでは異例に軽い。ボディ拡大を勘案すれば90kg程度増加してもおかしくないというが、要所に高張力鋼板を用いることで現行アテンザ・セダン(2.3リッター、5段AT)より60kgも軽い。近年ではモデルチェンジ毎に車重が増えるのは必然だが、これがマツダのエンジニアリング・フィロソフィーだ。デミオにはじまるサスティナブル・ズームズームは、まず軽量化ありきかもしれない。
試乗コースは海岸線に沿って続く市道から一気に山岳路へ迂回してアンティーブまで走る160km。ホテルを出て石畳を駆け下りる。足まわりはしなやかで乗り心地は良好だ。もともと日本車離れしていたが2代目はフランスのミドルクラス・サルーンテイストに並んだように感じた。まわりの風景に大いに影響された結果かもしれないが。
郊外に出て、アベレージ速度が上がると、ステアフィールが大幅に改善されたことに気づく。ステアリングの手ごたえは良好で、初代の違和感ある重さはない。RX-8に採用されたラックドライブ型電動パワステを改良して、フリクションを最小限に抑えたという。路面からのインフォメーションも豊富だから、山道を飛ばしても不安感が少ない。
だからこそエンジンの非力さが残念でならない。2.3リッターから拡大された2.5リッターは4気筒ながら不快な振動が少なく、洗練された印象だが、排気量なりのアウトプットを体感するには4000rpmが必要だ。200ccの排気量アップで出力よりも低中回転域のトルクを増したというが2500rpm以下のトルクが物足りない。
軽量化による良好な燃費
中間地点の寒村に到着した。見晴らしがよく、雰囲気のある街路は交通量も少ないので撮影に最適だ。しかし古い街並みの道幅はたいてい狭く、小型車でもすれ違うのに気を使う。1795mmという全幅で、この撮影に意外なほど時間をくってしまった。試乗会スタッフがナビに入力した試乗コースをたどると、到着が大幅に遅れるとわかり、最短距離で目的地に向かう。
ここで役に立ったのが新たに搭載されたクロス・ファンクショナル・ネット(CFネット)と呼ばれるステアリング・スイッチだ。操作感や使い勝手がすこぶるいい。携帯電話をイメージしたという小さなスイッチは上下左右と「エンター」だけながら、走行中でもナビの操作をすばやく行うことができた。某iドライブと比較しても視線移動の少なさや操作の簡単さから操作時間が20〜30%短縮したという。さらにラジオやエアコンの調整も可能だ。
ルートを設定し直すことで20kmも短縮できた。新たに設定されたのはツイスティなワインディングロードだったが、軽量ボディとステアリング・ゲインの高さからボディサイズがワンサイズ小さいかの錯覚を起こさせる。ただしステアリングギア比はスローで、タイトコーナーなど速度が落ちる場面ではステアリング操作が煩雑だった。
低燃費走行は意識しなかったが、往復約300kmの試乗を終えたオンボードコンピューター上の表示は12km/リッター近い燃費を記録した。スペック上は2.3リッターモデルと較べて6.9%も燃費が向上したという。軽量ボディもそうだが、エンジンから後端までフロアをフラットにしたことなどで、Cd値を0.27まで下げた空力も奏効しているだろう。
日本の主流であるATモデルはFFに5段、4WDに6段が搭載されるが、燃費を重視するなら今回試乗した6段MTモデルを選ぶといい。渋滞のわずらわしさもあるから、一概に言い切れないが、ある程度流れのいい郊外ならハイブリッド車よりも簡単に効率的に燃費を伸ばすことができると思う。
2002年に登場した初代アテンザはマツダがズームズームを唱えた最初のモデルだ。現在はそのズームズームも進化して、サスティナブル・ズームズームとなった。ズームズームを持続可能にするにはどうしたらいいか? まずは軽量化、そして空力。新型マツダ6はそれをよく表したマツダらしいクルマであると感じた。
(文=吉岡卓朗/写真=小林稔/『NAVI』2008年2月号)

吉岡 卓朗
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