ランボルギーニ・ガヤルド・スーパーレジェーラ(4WD/2ペダル6MT)【短評(後編)】
軽くて速いだけじゃない(後編) 2008.02.26 試乗記 ランボルギーニ・ガヤルド・スーパーレジェーラ(4WD/2ペダル6MT)……2973万6000円
小型・軽量でハイパフォーマンスをねらった「ランボルギーニ・ガヤルド・スーパーレジェーラ」だが、普段使いに不満はあるのだろうか。その実用性に注目する。
実用性の高さは911同等
乗り心地は硬質で、スタンダードよりアルミフレームらしい乾いた感触が目立つものの、強固なボディがショックを瞬時に収束させるおかげで、予想したほどはツラくない。エンジンに気難しさはまったくなく、6速2000rpmからでも普通のクルマ並みの加速を示す。
全長4300mmと「ポルシェ911」より短く、全幅は1900mmあるものの派手なフェンダーフレアがないボディは、見切りが容易。スイッチでフロントの車高を上げられるので段差も気にならず、リバースに入れるとカーナビのモニターに後方映像を映し出す装備まで選べる。
スーパースポーツを足に使いたいと思うユーザーに、ガヤルドのこの実用性の高さはささるはず。僕も街乗りをしたが、強力すぎるブレーキが低速ではうまく扱いづらい部分以外に不満はなかった。911のライバルとして、もっとその姿を見かけていいと思ったほど。そしてこのスーパーレジェーラならコンペティティブなムードに浸りつつ、シティクルーズできるというわけである。
エンジン音はアウトロー
でも街を流すために生まれたクルマではないことは明白。高速道路に乗り入れたのでパドルを弾いてマニュアルモードに切り替え、スロットルペダルを踏み込むと、短く低い車体はカタパルトから弾かれたように飛び出していく。加速のツキのよさに軽さを実感。しかも10psパワーアップしたV10は、4000rpmであきらかに伸びを鋭くしたあと、7000rpmでもう一度炸裂するというドラマを持っているのだ。
5気筒にも通じる不協和音的なビートに、フォーンとヌケのいい排気音が混じったサウンドは、一般的な快音とはちょっと違うけれど、ランボルギーニらしいアウトローな響きだ。右足に力を込めるとボリュームが一気に高まって、エンジンの中にいるような雰囲気。
スポーツモードを選ぶと、スロットルやギアチェンジのレスポンスがさらに鋭くなる。レブリミットで自動的にシフトアップしない点もノーマルモードとの違いだ。でもここまで速いと、シフトアップしてくれたほうがありがたかったりする。
進んだスーパースポーツ
直進性は速度を上げるほど安定性を高めていく。フロントはもう少し接地感が欲しいと思ったけれど、リアのスタビリティは根が生えたように磐石だ。コーナー入口で強めのブレーキを掛けると、さきほどとは裏腹に、踏力に応じた制動力を強烈に発揮してくれる。街中では鈍いと感じたステアリングはリニアな感触になり、その後の動きで車体の軽さを実感できる。コーナーではリアのV10の存在を重さとして感じるが、4WDのおかげもあって公道でそれ以上のコトは起こらない。すべてのメカニズムが超高速に照準を合わせているのだ。
でもそれは今日の多くのスーパースポーツに共通すること。ガヤルド・スーパーレジェーラで興味深いのは、パワーアップを10psにとどめる代わりに、ウェイトを100kgもダウンさせた事実だ。ガヤルドのライバル、「フェラーリF430」の高性能版「スクーデリア」も、期せずしてマイナス100kgを謳っている。
日本やドイツの高性能車がパワーにまかせてスピードを追求するなか、イタリアン・スーパーカーは軽さで速さを手にする方向にシフトしつつある。地球環境を考慮に入れての選択、か?
軽くて速いだけじゃない。ガヤルド・スーパーレジェーラは進んだスーパースポーツでもある。
(文=森口将之/写真=郡大二郎)

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
-
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】 2026.6.3 「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。
-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
NEW
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.6.5試乗記「ホンダ・インサイト」が電気自動車(BEV)として復活! ……というよりは中国工場製BEVにその名が与えられて日本にやってきた。さまざまな事情により、国内で販売されるのはわずか3000台のみ。日本人は“限定”に弱いとされるが、果たしてこの場合はどうか。 -
NEW
KTM 990 RC R(6MT)
2026.6.5JAIA輸入二輪車試乗会2026今年も開催された「JAIA輸入二輪車試乗会」より、魅惑のバイクを一挙紹介! 先陣を切るのは、この4月に発売されたばかりの「KTM 990 RC R」だ。オーストリアの雄が放つ最新鋭のスーパースポーツは、意外や“速さ”以外にも見どころの多い一台だった。 -
NEW
空冷の「スポーツスター」が復活!? ハーレーダビッドソンの定番商品はどんなバイクとなるのか
2026.6.5デイリーコラムハーレーダビッドソンが、一度は廃止した空冷の「スポーツスター」の復活を発表! 伝統の一台はなぜ絶版の憂き目にあい、そしてよみがえることとなったのか? ファンに愛される定番車種を刷新する難しさと、新型に課せられた使命、そして課題を考察した。 -
第290回:商用バンで砂漠を行く親子が向かうのは天国か地獄か 『シラート』
2026.6.4読んでますカー、観てますカー失踪した娘を探して親子はモロッコの砂漠へ。砂漠で開催されていたレイブパーティーが最高潮に達した頃、軍隊がやってきて中止させられる。親子が乗るFFの商用バンは次のパーティー会場にたどり着けるのか……。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(前編)
2026.6.4あの多田哲哉の自動車放談ひさびさに日本市場に戻ってきた、ホンダを代表するSUV「CR-V」。最新世代の仕上がりを、トヨタの車両開発者だった多田哲哉さんはどう評価する? まずは、ワインディングロードを走らせた第一印象から。 -
第964回:フィアットグッズのコレクターから学ぶ人生訓
2026.6.4マッキナ あらモーダ!イタリア在住の大矢アキオが、トリノで著名なフィアットグッズのコレクターを取材。若き日の苦労を経て大成した人物が語る、人生で大切なものとは? フィアットやイタリアの歴史を物語る、貴重なコレクションの数々とともに紹介する。
























