ルノー・トゥインゴGT(FF/5MT)【海外試乗記(後編)】
小さな弾丸(後編) 2007.08.14 試乗記 ルノー・トゥインゴGT(FF/5MT)新型「ルノー・トゥインゴ」に試乗。初代トゥインゴを所有していたリポーターが、その走りの進化と使い勝手を報告する。
ストレスフリー
2007年の夏に、本国フランスで発売された「ルノー・“ヌーベル”トゥインゴ」に乗ることができた。今回試乗したのは、最上級モデルの「GT」だ。このグレードのみが、新しい1.2リッターターボ「TCE」ユニット(100ps、14.8kgm)を搭載する。
トゥインゴGTのエクステリアには、控えめなエアロパーツが装着される。フロントスポイラーにルーフウイング。スポイラーにはGTの文字が刻まれる。
とはいえ、全体的には“ノーマル”トゥインゴから大きく変わったわけではない。だから、オートルートでGTとは知らずに挑みかかったクルマは、意外な速さに驚くことだろう。
0-100km/hは9.8秒、0-400mは17秒と、スペック上は目の覚めるような速さではないが、実用上はなかなか快足。新しいトゥインゴは、160km/hからでも余裕で加速する。これは、わが国と比較して圧倒的に流れが速い欧州の高速道路でも、ストレスなく走れることを意味する。
圧倒的な加速感
わたしは、長い間初代トゥインゴを所有していた。1.2リッター60psの非力なエンジンで、130〜140km/hクルージングを苦もなくこなす。それでも、同じようなスピードでひとクラス上のクルマに前を走られると非常にストレスを感じたものだ。
抜こうにも抜けない。並ぶけれど、上り坂にかかると車速が落ちて、また後ろにつけなければならない。そんなことがよくあった。
ヌーベル・トゥインゴなら、そんなストレスともおさらばだ。
試乗車のトランスミッションは5段MT。2速、3速、4速とシフトアップするたびに小気味良く吹き上がるエンジン。スピードの上昇に合わせて身体がシートに押し付けられるのがわかり、特にターボが利き始める3000rpmからは、コンパクトハッチとは思えない圧倒的な加速感を実感できる。
走り始めにはすいぶん軽い印象のあったステアリングも、車速が上がるにつれ手応えが安定していく。
リッター17km
全長×全幅×全高=3600(175)×1654(24)×1470(35)mmと、初代よりサイズアップした新型トゥインゴは広い(カッコ内は先代比)。大人4人が乗っても余裕だ。
スポーツタイプのシートはホールド性がよく、後席は、左右個別にスライドできる。足元とトランク、必要に応じて大きなスペースをつくることが可能で、初代のいい部分がさらに伸ばされた。
インテリアは、トゥインゴらしくいたってシンプルだ。ステアリングホイールの間から顔を覗かせるのはアナログ式のタコメーターだけで、デジタル表示のスピードメーターと他の警告ランプ類はダッシュボード中央に配置される。
基本レイアウトは全車同じで、GTはスポーツシート、イニシアルは革シートとなる。
世界的に環境が重視されるなかで、自動車メーカーは、「CO2の削減」や「燃費のよさ」と、「高出力」や「ドライバビリティ」とのバランスをうまく取らなければならない。
トゥインゴGTに積まれたTCE100psエンジンは、1,2リッターエンジン並みのCO2排出基準(140g/km)を満たして、欧州で実施される「ユーロ5」の基準をすでにパスしている。
燃費は、平均5.9リッター/100km(リッター17.0km/市街地20km、市内・都市部13.2km)とスペック表には記される。“ヌーベル”トゥインゴは、小さなボディにエコとスピードをみごとに融合させた小さな弾丸なのだ。
(文=沼口高幸/写真=野間智)

沼口 高幸
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