「4WD車の前輪と後輪で最終減速比が違うのはなぜ?」
2007.03.24 クルマ生活Q&A トランスミッション「4WD車の前輪と後輪で最終減速比が違うのはなぜ?」
フルタイム4WDのクルマに乗っていますが、スペックを見て驚きました。前輪と後輪で、最終減速比の数値が違っているのです。これは、エンジンの軸回転がタイヤに伝わると、前と後ろで回転数が違うということになりますよね?
お答えします。最終減速比というのは、文字通りエンジンの回転がタイヤに伝わる際の最後の段階、ディファレンシャルにおける入力と出力の比率のことを言います。
その数値が違っていれば、確かに前輪と後輪で回転数が一致しなくなりそうですね。
でも、「最終」というくらいですから、その前にも「減速」の場面はあったわけです。具体的に言うと、トランスミッションから回転を取り出して、それを前後に分けるトランスファーがあります。ここでの減速比と最終減速比を掛け合わせた数値が前後で同じであれば、タイヤの回転数は同じになりますね。
なぜこんな面倒なことをするかというと、FFベースの4WDの場合、どうしても前輪のデフのスペースが限られてしまうので、あまり大きなギアを使うことができないという事情があるのです。余裕のあるリアには大きなデフを使うので、こういった数字の違いが現れるわけなのです。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。