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【スペック】 全長×全幅×全高=5100×1955×1840mm/ホイールベース=3075mm/車重=2530kg/駆動方式=4WD/5.5リッターV8DOHC32バルブ(387ps/6000rpm、54.0kgm/2800-4800rpm)/価格=1280.0万円(テスト車=同じ)

メルセデス・ベンツGL550(4WD/7AT)【試乗記】

巨大SUVのドイツ的解釈 2007.01.13 試乗記 大川 悠 メルセデス・ベンツGL550(4WD/7AT)
……1280.0万円

2006年10月4日に発売された、メルセデス・ベンツの新型SUV「GLクラス」。すでにSUVモデルを揃えるベンツが新たに追加した3列シート7人乗りの大型ラクシャリーモデルに試乗する。
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よりオンロード向きな高級SUV

大きいとは聞いていたけれど、荒天の箱根山中、霧の中から現れたうすらでかいシルエットが次第にクルマの形になってきたとき、ちょっと不気味な感じがした。

ここのところ狂ったように上下左右にモデルレンジを広げているメルセデスの中で、「Rクラス」よりさらに大きなプレミアムSUVというか、巨大クロス、それが「GL」である。最初は「Gクラス」、つまりゲレンデバーゲンの近代化なのかと思ったが、狙いは違う。Gが最高級クロスカントリーであるのに対し、GLはフルサイズ・ラクシャリーSUVというのがメーカーの説明である。
つまりより乗用車的、よりオンロード向けで、加えてより豪華なモデルと受け取ればいい。

5ドアボディの外寸は5100×1955×1840mmと小山のように大きい。無論Gクラスよりはるかに長く幅広く、Gほどいかつくはないが、それでも威風堂々としている。

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至れり尽くせりの内装

このGLの売り物はフル7シーターであることだ。本革内装の3列シートを持つが、座った瞬間に巧みな演出が施されているのに気が付いた。
通気穴付きのフロントシートはスポーティな形状になっているだけでなく、メルセデスにしてはかなりタイトでフィット感、サポートが良く、あくまでもドライバーズ・シートとしての能力を第一に追求する。

パワースイッチはメルセデス乗用車のようなドア内側のシート形状を模したものではなく、シートクッション横にあるが、ランバーサポートのスイッチをはじめとした凝った機構を操作しているうちにルフトハンザ航空のビジネスクラスのシートを思い出した。

一方、2、3列目はあくまでも快適性を重視した設計で、革の表面も通気式ではなくてソフトなグレインを出している。2列目はサイズ的にたっぷりしているし、シートヒーターも与えられる。3列目も大人二人には充分なスペースが確保される。さらにグラスサンルーフはドライバー上に加えて3列目上にも設置されているし、3列目用サイドウィンドウもパワーで開閉可能である。

無論この2、3列のクッションとバックレストを畳めばテールゲート下端に沿ったフラットで広大な荷室が生まれるが、特に3列目はリアドアから電動で畳めるようになっているのは腰痛持ちにとってはうれしい発見だった。

つまりは結構至れり尽くせりの豪華ピープルムーバーなのだ。

予想外のリファインメント

「Sクラス」のようなセレクターを操作して走り出すと、これが予想外に快適だった。5.5リッターのV8は387psと54kgmだから決して非力ではないし、特に中低速トルクは怒濤の如くとは言えないまでも、相当な力量で2.5トンの重量に対抗する。決して軽快とはいえないし、霧の山の中ではその実力はつかめなかったが、意外とハイウェイでは豪快なクルーズを演じるのではないかと感じられた。

全体的にリファインされているのも想像以上だった。振動や路面騒音は巧妙に遮断され、外の荒れた天気など全く意に介さず、乗員はまったく別世界のような豪奢な室内でくつろげる。太いタイヤがバネ下でどたばたすることもない。

一度サイズさえ掴んでしまえば、ドライバーも楽である。ステアリングはメルセデス流に多少重いし、各コントロールもそれなりにきちんと扱う必要があるが、その気になれば山の中でもちっぽけな乗用車群を追い回すことができるだろう。

結局はアメリカの巨大なSUVのドイツ的解釈で、デトロイト・アイアンに比べるなら遙かに洗練された高級SUVになっている。ただし個人的には、その価値は理解しても、どうしても好感は抱きにくかった。

(文=大川悠/写真=高橋信宏/2007年1月)

大川 悠

大川 悠

1944年生まれ。自動車専門誌『CAR GRAPHIC』編集部に在籍後、自動車専門誌『NAVI』を編集長として創刊。『webCG』の立ち上げにも関わった。現在は隠居生活の傍ら、クルマや建築、都市、デザインなどの雑文書きを楽しんでいる。

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