キャディラックCTS 2.6(5AT)/CTS 3.2(5AT)【試乗記】
誰にも似ていない 2003.03.20 試乗記 キャディラックCTS 2.6(5AT)/CTS 3.2(5AT) ……495.0万円/595.0万円 「長い」「デカイ」「四角い」高級車が通用するアメリカ市場から、グローバル市場に展開を図るキャディラック。その第1弾として、エントリーラクシャリーセグメントに属する“小さな”キャディラック「CTS」が、日本に導入されることとなった。神奈川県で開催されたプレス向け試乗会で、webCG記者が乗った。ニューキャディ、495.0万円から
説明会で、街頭インタビューの様子がビデオで流された。質問に応える人は口々に、「デカイ」「古くさい」「長いボディ」「四角い」と、キャディラックのイメージを語る。ところが、ニューモデル「CTS」を見た後は、「カッコイイ!」「スポーティな感じ」と、コメントがポジティブに一変。その後流れる、落ち葉を吹き飛ばして激走するCTSのイメージ映像……。
2001年9月のフランクフルトショーで正式デビューし、同年の東京モーターショーにも出品されたキャディラックのニューモデル「CTS」。2003年3月8日から日本に導入された。街頭インタビューでのネガティブイメージ……大きなボディサイズや古くさいデザインを払拭、高い走行性能をもち、グローバル市場で通用するクルマを目指して開発された、新世代キャディラックの第1弾である。特に、走行性能向上に力が注がれ、同社では1978年以来という新開発のFR(後輪駆動)レイアウト「シグマアーキテクチャー」を採用、独ニュルブルクリンクのオールドコースを走り込んで、シャシーを仕上げたという。
日本でのラインナップは、2.6リッターV6(182ps、24.9kgm)を積む「CTS 2.6」と、3.2リッターV6(223ps、30.4kgm)の「CTS 3.2」の2種類。2.6リッターは北米仕様には搭載されない輸出専用ユニットで、3.2リッターはオペル由来のエンジン。トランスミッションは、GM製の5段ATのみ。本国には、キャディラック史上50年ぶりの5段MTも設定されるが、日本への導入は見送られた。ハンドルは、左右どちらも選べる。価格は、2.6が495.0万円と、ついに500万円の大台を割った! 3.2は、595.0万円となる。
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独特の威圧感
リポーターはセビルSTSに乗ったことがあるが、全長4995mm、全幅1905mmの大きなボディを、混雑した都内で取りまわすのには気を遣った。一方、普通に走っているのに道を譲られることが多く、押し出しの強さには感心したが……。
それに較べたら、CTSのボディサイズ、全長×全幅×全高=4850×1795×1460mm、ホイールベース=2880mmは小さい。メルセデスベンツ「Eクラス」やBMW「5シリーズ」、国産ではトヨタ「アリスト」などと同クラスだから、日本ではそれなりに大きいともいえるが、少なくとも今までよりずっと国際的(?)なサイズである。
エクステリアは「アート&サイエンス・デザイン」と呼ばれる、これからのキャディラックを象徴するもの。ステルス戦闘機のようにクッキリした線と面で構成される、硬質な外観だ。大きな盾型グリル、ギョロっとした縦目のヘッドライトが、CTSに独特の威圧感を与えていて、後ろから迫られたらたぶんコワイ。押し出しの強さは健在。ナンバープレート周囲をブラックアウトしたリアビューは、さらに強烈。でも、デザインの似たクルマが思い当たらない点で、かなり個性的だ。守旧派のキャディラックファンがどう思うかはさておき、新鮮さが感じられる。
まず、輸出専用の2.6リッターモデルに乗った。インテリアは、エボニーという黒内装。サイドサポートの大きいピチっと張った革張りシートが、オシリと背中にピッタリフィットし、少々事務的な感触がクールで心地よい。タワー型パソコンみたいなセンターパネルの質感は、プラスチック然として安っぽいが、ウッドパネルをバリバリ使って高級を演出するより、現代的に洗練された印象だ。
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人とは違う“プレミアム”
2.6リッターは試乗時間に余裕があったので、撮影を兼ねて箱根の山を目指す。フロントに縦置きされる2.6リッターユニットは、高級サルーンというほどのトルクはない。しかし、スムーズな回転の高まりと5段ATの絶妙かつ素早いシフトが、スポーティにドライバーを盛り上げる。特に、4000rpmを超えてからのサウンドはなかなか勇ましく、カッコイイ。
乗り心地やハンドリングは、デザインと同じく独特に思えた。日本仕様のサスペンションは、本国でいうところのスポーツサスペンションが標準。やや締まっており、一般に“アメ車”と聞いてイメージされる「フワフワした乗り心地」とは一線を画しており、特に低速では路面状況を素直に伝える一方、速度が高まるにつれて安定感と乗り心地が向上する。ステアリングホイールの動きには特に敏感に反応しないが、しかし思った通りに曲がるし、山道もそこそこのペースで走れる。軽快とも重厚ともつかない、微妙なところでバランスしたような、不思議な印象だった。敢えていうと、ドイツ車を学んだアメリカ車……!?
3.2リッターに乗り換えると、さすがにトルクに余裕がある。豪快なエンジンサウンドは2.6リッターに輪をかけて、加速は、0-100km/h=7.9秒のスペックに納得できるもの。試乗時間が少なかったため撮影に時間を取られ、短い時間しか乗ることができなかったが、2.6リッターより悠々とした、いわゆる高級サルーンに近い感覚は、古いキャディラックが好きな人にもとっつきやすいかもしれない。
試乗後、少ない知識で何のクルマに似ているかを考えようとしたが、CTSは誰にも似ていない。デザインは、街ではかなり目立つであろうスゴイものだが、キャディラックならでは(?)の押し出しがあり、スポーティセダンの名に恥じない“走り”もある。
最近のセダンは差別化やプレミアム性を与えるため、スポーティを標榜するクルマが多い。その点はCTSも同じながら、乗ってみるとどのクルマにもないフィールがあり、デザインは明らかに独特だ。人とは違う“プレミアム”が欲しい方に、CTSはオススメできる。
(文=webCGオオサワ/写真=高橋信宏/2003年3月)

大澤 俊博
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