フォルクスワーゲン・ポロ1.6スポーツライン(FF/6AT)/クロスポロ(FF/6AT)【試乗速報(後編)】
普通がいちばん(後編) 2006.09.09 試乗記 フォルクスワーゲン・ポロ1.6スポーツライン(FF/6AT)/クロスポロ(FF/6AT) ……244万2000円/264万2000円 フォルクスワーゲン「ポロ」に、日本初登場となるオールアルミ製1.6リッターエンジンを搭載するモデルが追加された。スタイルの違う2つのモデルの乗り心地を検証する。クロスポロはスタイルで買うクルマ
メカニズムは、新たに導入された1.6リッターエンジンと6ATを除けば、標準のポロとほとんど変わらない。駆動方式もFFのまま。変更点といえば、20mm上がった最低地上高と215/40R17サイズのタイヤに対応するため、サスペンションがよりハードな味付けになったことくらいか。
実際に乗り込んでみても、アイポイントはほとんど変わらないし、走り出したところで、背の高さを感じさせるような動きは上手く抑えられていた。箱根のワインディングロードをドライブする場面でも、ロールが抑えられた落ち着いた挙動は、標準モデルよりも好ましいくらいである。
ただ、215/40R17タイヤを採用したため、荒れた路面では凹凸を確実に拾い、乗り心地にも落ち着きがなく、また、道路の継ぎ目などではショックを遮断しきれないのはいただけない。ステアリングは明らかに重いし、ロードノイズも気になるレベルだ。
そして、気をつけなければならないのが、車高が(若干)高いのをいいことに安易に段差越えするとホイールを傷める恐れがあること。街なかで乗るにはいいが、行動範囲を広げるなら、ロープロファイルのタイヤではなく、もっと細いM+S仕様のタイヤが望ましいと思う。
まあ、スタイルが気に入った人には、乗り心地など些細なことかもしれないが。
これなら加速も十分
注目のパワートレインは、ドイツ本国でも追加されたばかりの組み合わせだ。まず、GTIを除くと、ガソリンエンジン最強となる1.6リッターエンジンは、105ps/5600rpm、15.1kgm/4500rpmの実力を持つ。ちなみに、「ゴルフE」に搭載される1.6リッターエンジンはこのFSI(直噴ガソリン)仕様にあたり、こちらは116ps/6000rpm、15.5kgm/4000rpmというスペックである。組み合わされるオートマチックは、すでにゴルフなどに搭載されているアイシン製の6AT。ゴルフ同様、マニュアルシフト可能なティプトロニックが付く。
この新しいパワートレインを搭載したクロスポロは、従来の1.4リッターと4ATの組み合わせに比べて、高回転域まで元気に回るのがうれしい点だ。これまでは、加速したい場面でキックダウンしても、必要なトルクが発揮されず、もどかしい思いをすることがあった。が、それがこの1.6リッターでは、4000rpmあたりから多少の盛り上がりを見せながら、レブリミットの6200rpmまで、頭打ちすることなく頑張ってくれるのである。
一方、低回転域でも1.4リッターに比べてトルクの充実が図られてはいるものの、最終減速比が高めに設定されているせいもあり、力強いという感じは乏しい。最高速、走行スピードともに低い日本では、もう少し最終減速比を低くしてもいいのではないかと思った。
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スポーツラインの必然性はどこに?
クロスポロと同じパワートレインを搭載するのがポロ1.6スポーツラインである。スペックを見ると、最終減速比を含めたギア比も同一、さらに車両重量も同一だった。
デザイン以外の違いは、最低地上高が標準モデルより15mm低くなるスポーツサスペンションが装着されること、そして、タイヤが195/55R15となることだ。当然、走りっぷりは変わってくるわけで、クロスポロと比較すると明らかに乗り心地は上である。
そうはいっても、スポーツサスペンションはノーマルに比べるとややハード。路面の荒れも完全に遮断することはない。それでも、十分許容できる範囲に収まっているし、見かけによらずどっしりと落ち着いた乗り心地はVWらしい。
ワインディングロードでは、とりたててシャープというわけではないが、ロールは小さく、ポロならではの軽快な身のこなしを味わうことができた。
ポロ1.6スポーツラインは、新しい選択肢としてはまずまずだと思う。けれども、果たしてスポーティな仕様にする必要があったのか、という疑問を私は抱いた。確かにスポーツを謳うほうが、市場の食いつきはいいのだろうが、本来、VWの良さは標準モデルが持つ基本性能の高さや快適性にあると私は思っている。スポーツラインではなく、1.4の4ドア同様、快適性重視の仕様でよかったのではないか? ニッチモデルやスポーツモデルばかりに人気が集まるVWにいま必要なのは、普通に乗れるクルマを充実させることだと私は思う。
(文=生方聡/写真=郡大二郎/2006年9月)
・フォルクスワーゲン・ポロ1.6スポーツライン(FF/6AT)/クロスポロ(FF/6AT(前編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018604.html

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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