第203回:ニュー「アウディA6アバント」にスペインで試乗!こりゃ結構、日本人向きかも?
2005.03.30 小沢コージの勢いまかせ!第203回:ニュー「アウディA6アバント」にスペインで試乗!こりゃ結構、日本人向きかも?
■キモはデザインにあり
♪あー、ババンバ、バンバンバン〜タマには海外取材もいいなぁ……とか思ってたら先日、生ハムとガウディの国、スペインに行って来ちゃいました。「アウディA6アバント」、つまり2005年7月に国内発表予定の、A6のステーションワゴン版の試乗でね。つくづく俺って恵まれてるよなぁ。ガハハ!
さて、このクルマ最大のキモはデザインにある。それはまず04年に出たA6セダンが、アウディにおいて“何年に一度”というデザイン改革を、最初に行ったモデルであるということ。さらに、そのデザインを担当したのがデザイナー界の“中田英寿”とも言うべき和田智さん、つまりこのコーナーにも何回か登場していただいた日本人デザイナーだからである。元が日産で今アウディだから、横浜マリノスからACミラン(!?)に移籍したようなもの。気になる要素が多いクルマなのよ。
■デザインに販売戦略を見た!
というわけで、最初に気になったのはA6アバントを誰がデザインしたかってことだけど、残念、別の方でした。スタジオでは和田さんとは机を並べてるってハナシの、ユルゲン・ロフラーさん。身長が2m(ウソ)ぐらいありそうな背の高いドイツ人で、和田さんの後輩らしい。
本題に入るが、デザイナー氏曰く、A6アバントの最大のポイントは「スポーティ」であること。「セダンがアグレッシヴさを狙ってるとしたら、ワゴンは明らかにスポーティさを狙ってる」という。そしてこの言葉がA6アバントのすべてを語っているのだ。
俺は正直、A6アバントを見たときに「意外と普通だなぁ」と思った。屋根が低くて、カッコいいことはカッコいいのだが、セダンのような“なんだこれ? 感” はすくない。フロントマスクこそ、れいのシングルフレームグリルを持つ、個性派だけどもっとオーソドックスで普通にカッコいい。“ヤバい感じ”はしないのだ。
だが、冷静に考えてみると、結構見事な販売戦略である。
というのも今後、日本の高級車市場はかなりの激戦区になる。やはりメルセデスベンツ、BMW有利で、トヨタも年内にはレクサスを立ち上げる。アウディぐらいの歴史と知名度があっても、そうそう簡単なマーケットではないはずなのだ。
そこで新型A6は、まず最初にアグレッシヴデザインのセダンを持ってきてインパクトを与え、次にもうちょい無難でカッコよく、実用性の高いワゴンを持ち込んで販路を広げる。俺の見解では、高級ワゴンの世界はセダンに比べてまだ確固たる定番が存在しない。当然、ビジネスチャンスもあるんではあるまいか。
しかもこの関係、ヨーロッパ市場を考えても悪くない。ヨーロッパと日本では新しいデザインに対する許容度が違うから、A6セダンの評価はかなり高いようだし、逆にワゴンをフォローに使う方が相応しい。なーんちゃって。直感的な戦略分析だけどね。
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■価格も戦略的
肝心のインプレッションだが、当然のことながらセダンと大差はない。日本に入ってくるのは大雑把に3つのモデルで、2.4リッターV6がFF、3.2リッターFSI と4.2リッターV8がクワトロのみの設定。外観上も大した違いはなく、個人的にはハンドリングはFFが断トツに素晴らしく、逆に4.2リッタークワトロが乗り心地は一番重厚で操作系も滑らかだった。つまりマニア向けなのは2.4リッターFFで、リッチな方は4.2リッタークワトロでしょう。
一方、全長はセダンに比べて2センチほどしか長くなってないので、取りまわしはそうそう悪くない。ラゲッジ容量はVDA測定値で先代モデルを65リッター上まわる455リッターとまあまあ。メルセデスベンツなどに比べると若干落ちるが、「そういうところで勝負してない!」ということでしょう。これまた正しい戦略じゃないでしょうか。
知名度と無難さを考えるとベンツかBMWだけど、アウディのトレンディさも捨てがたい。俺だったらコッチ買っちゃうかも! っていっても、もはやお金ないですけど……。
(文=小沢コージ/写真=アウディジャパン/2005年4月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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