マツダ・ロードスターターボ(6MT)【ブリーフテスト】
マツダ・ロードスターターボ(6MT) 2004.10.15 試乗記 ……273万円 総合評価……★★★ ギネスブックにも載っている、世界で一番売れた2座オープンスポーツ「マツダ・ロードスター」。軽量ボディをそこそこのパワーで走らせるクルマに、ターボチューンを施した「ロードスターターボ」はどうなのか? 350台の限定モデルに、自動車ジャーナリストの生方聡が乗った。“特別”にあとすこし
「ロードスターターボ」は、1.8リッターターボエンジンと、それに相応しいシャシーを手に入れた限定モデル。全国で350台のみ販売される、まさに特別なロードスターである。
それでふと思い出したのが、初代「ロードスター」の時代に300台限定で発売された「M2 1028」。エンジンのパワーアップこそ控えめだったが、ボディ剛性の強化や軽量化に取り組んだ硬派モデルだった。
当時、たまたま身近にこのクルマがあり、乗る機会も多かったのだが、バランス取りされたエンジンの気持ちよさや、軽快感溢れる身のこなしなど、速度域や走る場所によらず、いつもドライバーを楽しませてくれる性能がとても印象的だった。
そんなM2 1028に比べると、このロードスターターボはパワーで勝り、速さも備わっているが、どうもワクワクしないのである。たぶん、私がロードスターに求めているのは、絶対的なスピードではなく、心地いい“スピード感”だからだろう。
ロードスターターボは価格も手頃で、速さをバランスよく手に入れるにはいいと思うが、“特別なロードスター”というにはすこし物足りない存在というのが、私の印象である。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
世界的に大ヒットした、マツダの2座オープンスポーツが「ロードスター」。現行モデルは、1998年1月8日、8年ぶりにモデルチェンジを果たした2代目となる。衝突安全性向上のためボディ構造を変更、それに伴う重量増を抑えるため、ヘッドランプがリトラクタブルから固定式になった。4輪ダブルウィッシュボーンのシャシーは継承しセッティングを煮詰めた。エンジンは、1.6と1.8リッターの2種類。4ATのほか、前者には5MT、後者には6MTが組み合わされる。
2000年7月18日のマイナーチェンジで、1.8リッターユニットには可変バルブタイミング機構が搭載された。最高出力は、ピークパワー発生回転数を500rpm引き上げ、従来比15psアップの160ps/7000rpm、最大トルクは、0.7kgm太い17.3kgmを、やはり500rpm高い5500rpmで発生する。
なかでも「RS-II」は、もっともスポーティなモデル。ボディ各部が補強され、ねじり剛性約22%、曲げ剛性約16%アップを果たしたという。
(グレード概要)
「ロードスターターボ」は、「ライトウェイトスポーツの真価である人馬一体の走りを、よりダイナミックに楽しみたいと願う人々に向けて」特別に開発されたモデルで、2003年12月から350台限定で発売された。目玉はもちろん、1.8リッター直4にターボチャージャーを付与したエンジンにある。チューンの方向性は、低回転域から高回転域までフラットなトルクを発生するもので、ベース車に比べて20%以上トルクアップ。高トルクに対応すべく、強化クラッチ&トランスミッション、強化ドライブシャフトや、トルセンLSDを採用。ギア比も、最終減速比が3.909から4.100と、高速側に振られる。足まわりは、専用チェーンを施したローダウンサスペンション、シルバー塗装のブレーキキャリパーなどを装着する。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
室内を覗き込んでまず目に入るのは、中央部をレッド、外側をブラックとしたファブリックシート。ドアトリムにもレッドをあしらうこの配色は、ロードスターターボ標準仕様車の特徴であるが、運転の楽しさを予感させるには格好の演出である。
一方、メーターパネルやセンターパネル、そして、エアベントのベゼルなどはシルバーに塗られ、ペダル類もアルミ製として、スポーティな印象をつくりあげているが、“特別なクルマ”というにはやや物足りない感じがある。
(前席)……★★★★
一見、スポーティなデザインのシートだが、実際に座ってみるとその感触はソフトで、ドライバーを包み込んでくれる印象だ。一方、現代のクルマとしては低い位置に設定されたシートポジションのおかげで、走りへの期待は高まっていく。レッドステッチがアクセントの本革巻きステアリングホイール/シフトレバー/パーキングブレーキレバーもこの手のクルマには欠かせない演出である。
大型のグラブボックスとセンターコンソール、ドリンクホルダーなど、オープン2シーターとしては必要十分なだけの収納スペースが用意されているのもうれしい点だ。
(荷室)……★★★
手動で開閉する幌を持つロードスターは、ボディサイズのわりには使いやすいラゲッジスペースが確保されている。また、幌を下ろしてもラゲッジスペースを浸食しないのも助かる。
けっして広くはないが、開口部が広いために、荷物の出し入れは容易である。なお、ラゲッジスペースの床下にはテンパータイヤが収まっているが、パンク修理剤などを載せてテンパータイヤを下ろしておけば、多少、荷室の拡大が図れるはずだ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
このクルマのハイライトともいえるエンジンは、“馬力よりもトルクに重点を置いた”という言葉どおり、全域でトルクが豊かで、扱いやすく力強い特性を示す。
アイドリング付近でクラッチをつなぎ、軽くアクセルペダルを踏むだけでスーっと発進するロードスターターボは、まるで2リッター超のエンジンを積んでいるような逞しさだ。試しにアクセルペダルを深く踏み込んでやれば、やや低められた最終減速比のおかげもあり、あっというまにレッドゾーンまで吹け上がり、2速、そして3速へのシフトアップを急かされる。
一方、高いギアで巡航中に加速しようとアクセルペダルを踏み込むような場面では、ターボが利き始めるまでワンテンポ遅れる。もちろん、こまめにシフトダウンすれば済むことだが、ターボといえどもズボラな運転では楽しさは半減してしまうのだ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
エンジンの高性能化に対応して、ロードスターターボの足もとにはそれなりの強化策が施される。205/40R17サイズのタイヤを採用し、ビルシュタイン製ダンパーとスプリングはよりハードなセッティングに変更された。その結果、低速では明らかに硬い乗り心地を示し、荒れた路面ではツライのだが、ある程度スピードが上がってくると、どっしりとした乗り心地に変わってくる。
ハンドリングについては、今回の試乗は街なかと都市高速のみだったが、ステアリング操作に対してクルマが素直に、しかも、即座に反応する性格を感じ取ることができた。ロールの安定感なども申し分なく、バランスの取れたセッティングといえる。
(写真=峰昌宏/2004年10月)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2004年9月22日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:1万3404km
タイヤ:(前)205/40R17 80W(後)同じ
オプション装備:パワードアロック&キーレス(3万1500円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(5):高速道路(5)
テスト距離:207.9km
使用燃料:29.4リッター
参考燃費:7.1km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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