マツダ・ベリーサ(4AT)【試乗記】
良好な印象 2004.07.22 試乗記 マツダ・ベリーサ(4AT) ……222万750円 「車格という従来の概念を打ち破る新しいクルマ」としてリリースされた「マツダ・ベリーサ」。上質なコンパクトを標榜するそれは、どうなのか? 自動車ジャーナリストの笹目二朗が、第一印象を報告する。
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第一印象は小さなカイエン
「マツダ・ベリーサ」は、“シンプル・クオリティ・コンパクト”を標榜するニューモデル。エンジン、ボディは、5ドア、1.5の1種のみ、レザーシートや外観を飾るドレスアップパッケージなど、オプションを豊富に用意して多様な用途に対応する。
5ドア・ハッチバックの「デミオ」(ということはフォード・グループ内では「フィエスタ」とプラットフォームを共用する)をベースに、内外装をより高級にしたつくりを特徴とする。これは「アクセラ」へと上級移行してしまった従来の「ファミリア」の市場をカバーする役目も担う。
最初に実車を見たときの感想は、ふたまわり小さな「ポルシェ・カイエン」といったもので、「SUVっぽい雰囲気も与えられている」と思った。もしこれにバリエーションを追加するなら、同じグループ内の「ボルボXC70」を模した、「XC30」(!?)だろう。モーターで後輪を駆動する4WD仕様も用意されているから、XC30は、比較的簡単に実現できるはずだ。
良好な足まわり
試乗会場の北海道大沼周辺はあいにくの雨だったが、走り出した初期の印象もドイツ車っぽいものだった。好評のデミオに比べてスタビライザーをやや細く、ダンパー減衰力は縮み側を強く、伸び側を低める傾向でチューンされたという。
この乗り心地対策はおおむねうまくいっており、骨太な足まわりを想像できた。現地は冬季に荒れたアスファルトのデコボコや段差などもあり、それらを効果的に処理してくれた。ブッシュ類のコンプライアンスも適切で、ある種のドイツ車のように、ソフト過ぎて停止時にブレーキ操作に気を遣う嫌な傾向はない。また、ロードノイズの遮断には特別に配慮されたといい、実際、その辺もよくチェックが行き届いていた。
スタビライザーを細くしたための弊害はなく、ロールはそれほど気にならない。微細な見方をすれば、ステアリングを切った瞬間に外輪に前後同時に荷重のかかるアルファロメオのようにはいかないが、これも伸び/縮みの減衰力設定をすこし詰めれば改善されるだろう。
ウェットな路面ではオプションの「205/50R15」タイヤでも接地荷重が不足している気配はすくなく、まずまずの接地感であった。ノーマルサイズは「185/55R15」である。そちらの方が、さらに乗り心地は有利だし、ウェット路面でも走りやすいだろう。もっとも試乗車は写真の露出を考慮して「見た目」を気にしているが、本来の実力を偽るものではない。
注文をつけると……
内装の仕上げは、100万円台後半という価格帯を考慮すれば上々で、安物感はない。ベースフレームを上級の「アテンザ」と共用するシートは、サイズがたっぷりしている。両サイドの盛り上がりは横Gにも耐えて、ホールド感もまずまずである。ひとつ注文をつけるならば、座面の後傾斜角が足りないことだ。座面のハイトコントロールは後部を高める方向にしかなく、後部を下げる方向が追加されれば容易に解決するだろう。
これは最近のクルマの傾向のひとつで、ルーフを高く採って立ち気味に座るシート設定が増えているが、ちょこんと腰かけ的に短時間座るだけなら問題ないが、長距離長時間の運転では腰が疲れる設定である。なぜなら上体の重さをすべて腰部で受け止めることになるからで、一方、シートクッションを後傾させれば、上体の重さを背面にも分散できる。たとえば「フォルクスワーゲン・ゴルフ」は、この辺、よく考えられている。もちろん、ダメな欧州車もなかにはあるが。
短距離の試乗ではあったが、マツダ・ベリーサには特に目につく難点はなかった。今後、よりきめ細かな改良を受けることで、魅力的なモデルとなりうるクルマである。
(文=笹目二朗/写真=荒川正幸/2004年7月)

笹目 二朗
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