スバル・アウトバック3.0R(5AT)【ブリーフテスト】
スバル・アウトバック3.0R(5AT) 2004.05.06 試乗記 ……378万5250円 総合評価……★★★★ 世界統一名称となった、クロスオーバーコンセプトの先駆け的存在「スバル・アウトバック」(旧名ランカスター)。3リッターフラット6搭載モデルの「3.0R」に乗った自動車ジャーナリストの笹目二朗は……。 |
次の目標は……
期待して乗り込んだけれども、ちょっとがっかりした。3リッターフラット6のフィールは良好、ボディスタイリングにも好感をもった。しかし、シャシーの旧式なチューンにガッカリである。ベストセラーワゴンとしての風格も出てきた「レガシィツーリングワゴン」シリーズは、いまやライバルに追われる立場にあり、安閑としてはいられないはずだ。しかし、サスペンション関連分野は、いまだ取り残されている感がある。
ディメンションとしては、さらなるホイールベースの延長、Cピラーの位置も後退させたいところかもしれない。旧型のイメージもそこそこに残さなければならない売れっ子のモデルチェンジゆえ、致し方ないところもあるのだろう。適当に新しさもあり、シャープになった表情は、好ましい変身と受けとれる。
水平対向6気筒エンジンはスバルとしての強烈な個性を発散し、有名な4気筒ユニットに続く将来性が期待される。地道な努力と経験の積み重ねにより4気筒の完成度は高く、その技術の蓄積を応用して6気筒もかなり洗練されてきた。スムーズにまわるようになったいま、次の目標はトルクとレスポンス向上か。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「レガシィ・アウトバック」は、「ツーリングワゴン」をベースに、ロードクリアランスを50mm高い200mmとし、オールシーズンの大径タイヤなどを与えたSUV風モデル。いわゆる“クロスオーバーコンセプト”の先駆け的存在として、1995年に「グランドワゴン」としてデビューした。1997年に「ランカスター」へ改名、4代目レガシィで世界統一名称の「スバル・アウトバック」となった。
アウトバックのラインナップは、3リッター水平対向6気筒を積む「3.0R」(5AT)と、2.5リッター水平対向4気筒の「2.5i」(4AT)の2種類。それぞれに、アイボリーレザー内装の「アイボリーレザーセレクション」が設定される。駆動方式は、スバルお得意の4WD「シンメトリカルAWD」。エンジンによって方式が異なり、3.0Rは、前45:後55のトルク配分を走行状況に応じて変化させる「VTD-AWD」を、2.5iは、60:40をベースにトルク配分を行う「アクティブトルクスプリットAWD」となる。
(グレード概要)
アウトバックは、グレード間の装備差がすくない。3.0Rにのみ備わるのは、オーディオコントロール付きMOMO製ステアリングホイール、前席8ウェイパワーシート、イモビライザー、リアゲートオートクロージャーなど。車両安定性を高める「VDC」と、クルーズコントロールも、3.0Rにのみオプション設定される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
豪華ではないがすっきりと簡潔にまとめられ、しかもポイントは外していない。メーター類は小ぶりでも判読しやすいが、正面2眼の周囲のスケール帯は邪魔。ハンドルは楕円断面のグリップが握りやすい。ナビゲーションシステムは操作しやすく、画面の位置も適当。オーディオ/空調もそつなく収まっている。スバルらしい味が醸しだせれば、新しい伝統がつくりだせるだろう。
(前席)……★★★★
シートはサイズ的にやや小ぶりだが、電動アジャストは上下動もあり、ほぼ満足のいくポジションが得られる。ランバーサポート調整レバーは左にあるが、センターコンソールに挟まれて隙間が狭く、操作しにくかった。右のBピラー下部間は余裕があるから、移設可能か? ペダル類の足元に余裕があり、3リッターの排気量ながら、コンパクトな水平対向エンジンのメリットが活かされたフロアだ。
(後席)……★★
Bピラーの付け根、Cピラーの位置や角度、鴨居、敷居などによって規制されてしまう間口の狭さが気になる。乗降性もあまりよくないが、ヘッドクリアランスなどスペース的には広い。座面前後長は短く、背面は角度的に寝過ぎでせっかくの2段リクライン装置も活きない。寝かせればいいとは言えず、腰が前にずれてくるし、いろいろ体勢を変えているうちに疲れていたたまれなくなる。足元も狭く、前席下に靴先も入らなかった。
(荷室)……★★★★★
サスペンションの張り出しがすくなく、フラットなフロアは効率よく使える。フロアを持ち上げれば、小物の収納スペースもあって便利だ。折り畳めるリアシートと相まって、かなり大量のカーゴスペースをつくりだせる。フロアはバンパーの高さにあり、荷物の出し入れも楽そうだ。ホイールハウス後部の横方向スペースには長尺物も収まるなど、見るからに使い勝手がよさそう。ゲートは雨の日の屋根にもなるし、開閉に後方スペースを要さない絶妙な角度が選ばれている。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
3リッターフラットシックスは、閑かな感じでゆったり走れる。5ATはDレンジでもマニュアルシフトでも、シフトショックはすくない。そうした洗練は、一方で、ややシャープな切れ味に欠けるような気もするが、ワゴンとしてのキャラクターには合っている。速いクルマにも楽々ついていけるし、動力性能の実力は高い。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
以前の「グランドワゴン」、もしくは「ランカスター」に見られたフラットで快適な乗り心地は失われ、キャラクターを理解していない味付けにガッカリ。硬められたサスペンションは、ロールがすくないことが取り柄である。とはいえ、目地段差でビシっと突き上げる乗り心地は、アウトバックとしてはいかがなものか。コーナリングの挙動はアンダーステアだが、スロットルのオンオフによる姿勢変化が大きいのも気になるところ。ゼロスクラブによる路面フィールの不足もあって、M+Sタイヤの弱点を補いきれていない。
(写真=郡大二郎/2004年5月)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2004年1月14日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:6241km
タイヤ:(前)215/55R17 93H(後)同じ(いずれもヨコハマ GEOLANDER G900)
オプション装備:クリアビューパック(LEDリヤフォグランプ/ヒーテッド ドアミラー/フロントワイパーデアイサー)/VDC〔ビークルダイナミクスコントロール〕/クルーズコントロール/OUTBACKマッキントッシュ・サウンドシステム[MD+6連奏インダッシュCD&AM/FMチューナー、13スピーカー]/OUTBACKビルトインDVDナビゲーションシステム/UVカット機能付濃色ガラス(リヤドア・リヤクォーター・リヤゲートガラス)(63万5250円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(5):山岳路(3)
テスト距離:347.8km
使用燃料:45.4リッター
参考燃費:7.7km/リッター

笹目 二朗
-
アストンマーティンDBX S(4WD/9AT) 2026.5.13 英国の老舗、アストンマーティンのハイパフォーマンスSUV「DBX」がさらに進化。名前も新たに「DBX S」となって登場した。シャシーを煮詰め、最高出力を727PSに高めるなどの手が加えられたその走りを、クローズドコースで確かめた。
-
マセラティMCプーラ チェロ(MR/8AT)【試乗記】 2026.5.12 イタリアの名門が放つ、ミドシップのオープンスポーツ「マセラティMCプーラ チェロ」。スーパーカーの走りとグランドツアラーのゆとり、そしてぜいたくなオープンエアドライブを同時に楽しめる一台からは、マセラティがクルマに込める哲学が、確かに感じられた。
-
ロールス・ロイス・ゴースト エクステンデッド(4WD/8AT)【試乗記】 2026.5.11 「ロールス・ロイス・ゴースト」が「シリーズII」へと進化。先進性の強化とともに目指したのは、ブランド史上最もドライバー志向のサルーンだという。ロングホイールベース版の「エクステンデッド」で雲の上の世界を味わってみた。
-
スズキeビターラZ(FWD)【試乗記】 2026.5.9 スズキが満を持して投入した、コンパクトSUVタイプの新型電気自動車(BEV)「eビターラ」に試乗。スズキの将来を占う量販BEVの第1弾は、「よいものを手ごろな価格で」という彼らのポリシーにたがわぬ一台に仕上がっていた。
-
ジープ・アベンジャー4xeハイブリッド アップランド(4WD/6AT)【試乗記】 2026.5.6 ジープのなかでも最も小柄な「アベンジャー」に、4WDのマイルドハイブリッド車「4xe」が登場。頼りになるリアモーターと高度なマルチリンク式リアサスペンションを備えた新顔は、いかなる走りを見せるのか? 悪路以外でも感じられる、その恩恵を報告する。
-
NEW
第289回:最強の格闘家は破壊されるクルマに自分を重ねた 『スマッシング・マシーン』
2026.5.14読んでますカー、観てますカードウェイン・ジョンソンが映画化を熱望した伝説の格闘家マーク・ケアーの栄光と没落の人生を描く。東京ドームで行われた総合格闘技イベント、PRIDEグランプリ2000を完全再現! -
NEW
第961回:海賊エンツォ・フェラーリ 敵に取り囲まれる
2026.5.14マッキナ あらモーダ!F1における、フェラーリとイギリスのコンストラクターの戦いにフォーカス。「トリノ自動車博物館」でスタートした企画展「ドレイクの敵たち—エンツォ・フェラーリと英国のチーム」を、イタリア在住のコラムニスト、大矢アキオがリポートする。 -
NEW
プジョーが「ターボ100」を発表 電動化をうたう一方で進めていた新エンジン開発の背景とは?
2026.5.14デイリーコラム電動化を強力に推進するその陰で、しっかりとエンジンの開発を継続していたプジョー。姿を現した新たな1.2リッター直3ターボエンジン「ターボ100」の特徴を確かめながら、プジョーのパワーユニット戦略をあらためて分析する。 -
NEW
三菱デリカD:5 P(後編)
2026.5.14あの多田哲哉の自動車放談改良を重ねつつ長年にわたって現役を続けている「三菱デリカD:5」。その商品としての最大の魅力はどこにあるのだろうか? トヨタ、そして三菱のOBでもあるエンジニア、多田哲哉さんが試乗を通して語る。 -
アストンマーティンDBX S(4WD/9AT)
2026.5.13試乗記英国の老舗、アストンマーティンのハイパフォーマンスSUV「DBX」がさらに進化。名前も新たに「DBX S」となって登場した。シャシーを煮詰め、最高出力を727PSに高めるなどの手が加えられたその走りを、クローズドコースで確かめた。 -
企画から開発までを一気通貫で レクサス&GRの開発現場「トヨタ・テクニカルセンター下山」の設備群を見学
2026.5.13デイリーコラムトヨタ本社の北方に位置する「トヨタ・テクニカルセンター下山」はレクサスとGRの一大開発拠点だ。ここで鍛えて開発された「レクサスTZ」の世界初披露のタイミングで、一部のメディアに内部が公開された。その様子をリポートする。































