「ダブルコーンシンクロとは?」
2001.09.07 クルマ生活Q&A トランスミッション「ダブルコーンシンクロとは?」
カタログによると「プリメーラはトランスミッションの2速と3速にダブルコーンシンクロを採用して、素早いシフト操作が可能となり、エンジンとの結合剛性も増している……」との説明があります。ダブルコーンシンクロにした場合のメリットとして一番大きいのでしょう? 2速や3速で急加速したときの耐久性が、普通のものと比べて高いということでしょうか?(埼玉県・STさん)
お答えします。ダブルコーンシンクロメッシュは、通常のシングルメッシュに比べて、ギヤ同士の回転の差をシンクロナイズ(同調)させることが早くスムーズにおこなえます。したがって素早いギアチェンジが可能になります。
コーンタイプのシンクロメッシュは、押し付けられる摩擦によってお互いのギヤの回転を合わせ、ギヤチェンジをスムーズにします。しかしながら2速や3速は、4速、5速に比べると、エンジン回転が上がっていることが多く、シンクロメッシュにかかる負担が大きくなります。
そこでより強力なシンクロメッシュがあれば素早いシフトでスムーズな走行をすることが可能になります。ダブルコーンタイプは、シングル機構をもう一つ組み込んだものです。トランスミッションの部品点数も多くなり構造上は複雑になります。
昔はギアチェンジの際に、アクセルやクラッチを使ってエンジン回転数を合わせ、シンクロが弱い部分を補っていました。今はヒトではなく、機械側の技術で補うという方向のようです。なにごとも、楽な方にすすみたくなるのは仕方ないことでしょうが、ちょっぴり寂しい気もしますね。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。