フォルクスワーゲン・ポロTSIコンフォートライン ブルーモーション テクノロジー(FF/7AT)【試乗記】
「定番」揺るぎなし 2012.05.30 試乗記 フォルクスワーゲン・ポロTSIコンフォートライン ブルーモーション テクノロジー(FF/7AT)……218万円
ブルーモーション テクノロジーが採用されて、JC08モードで21.2km/リッターを達成した「ポロ」。もっと“いいもの”になった?
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燃費が約9%改善
エコカー減税を前面に押し出すテレビコマーシャルがあふれて辟易(へきえき)とさせられているなかで、「いいものを長く」というキャッチフレーズが一服の清涼剤のように爽やかな「ポロ」。
もっともそれは、非の打ち所がないほどに”いいもの”であることを、誰しもが認めているポロだからすんなり腑(ふ)に落ちるのだ。しっかりとしたボディーにクラスを超えた品質感、燃費とパフォーマンスの高次元なバランスなど、あらゆる面で優等生。国産車の同クラスと比較すると圧倒的な高みにある。
日本市場での価格こそ200万円オーバーと国産車に比べれば割高ではあるが、TSIエンジンにDSGミッションという高度なパワートレインを搭載し、各種装備も充実していることを考えれば納得がいく範囲だ。
ちなみに、欧州でのポロと日本車の同クラスを同じようなパワートレイン、装備で比較するとポロのほうが安いぐらい。それじゃあ、欧州で日本メーカーが苦戦しているのも当然と思えてしまう。
そのポロに新たに加わったのが「TSIコンフォートライン ブルーモーション テクノロジー」。この「ブルーモーション テクノロジー」とは低燃費技術の総称で、本国には「ブルーモーション」というモデルも存在するが、それは燃費トップランナーを目指した仕様でディーゼルのMT。テクノロジーが付くとトップとまではいかないが、そこそこの低燃費仕様ということになる。
今回のポロでは、自動アイドリングストップ機構の「Start/Stopシステム」と、減速エネルギーを利用して12Vバッテリーを充電し、加速時はオルタネーターの負担を抑える「ブレーキエネルギー回生システム」の2つを装備。JC08モード燃費はスタンダードなTSIコンフォートラインが19.4km/リッターなのに対して、21.2km/リッターまで改善されている。
小さな違いは大きな違い
ポロに試乗するのは久しぶりだが、エクステリアは相変わらずシンプル。ボディーの精度の高さやシャープなキャラクターラインなどでビシッと締まった印象はあるものの、オーバーデザインを嫌ってクリーンに見せているところに好感が持てる。
インテリアも奇をてらったようなところはない。至ってシンプルな造形に見やすいメーター類。マルチファンクションインジケーターには燃費など豊富な情報量を巧みに整理して表示されるのもうれしい。ブルーモーション テクノロジーではステアリングやシフトノブ、ハンドブレーキグリップがレザーとなっており、スタンダードなコンフォートラインに差をつけている。5万円高となるが、この装備と燃費改善分を考えれば買い得だろう。
ドライバーズシートに腰掛けてみると、フォルクスワーゲン車としてはほんの少し着座位置が高く感じられたが、特に従来と変更はないという。シティーカーとしてはやや高めぐらいのほうが望ましいとの判断なのだろう。その分、座面下に小物が収容できるトレーがあるのがメリット。シートもステアリングも調整幅はたっぷりととられているのでポジションに不満はない。
ブルーモーション テクノロジーだからといって、運転するのに特別なことは何もない。あえて言えば、アイドリングストップ機構のオフスイッチがシフトノブ前方についているが、よほどのことがなければ操作する必要はないだろう。今回はもちろん、オンのままエンジンを始動してスタート。従来の「コンフォートライン」とハード的には変わらないので乗り味も同じだと高をくくっていたが、より一層洗練されている印象を受けた。
さらに“いいもの”へ
パワートレインには、以前との違いを見いだすことはなかったが、乗り心地はしなやかさが増しているように感じられる。特に街中など低速域がスムーズでまろやか。登場当初よりも生産部門が慣れてくることによって、ボディーの造りが多少なりとも良くなり、結果的にアシの動きも良くなるのはあり得る話。いわゆる熟成されたというやつだ。
以前は、状況によってリアの突っ張り感が気になることもあったが、それもなくなっている。ただそのかわりに高速域でもソフトめ。国産車に比べれば安定感は格段に上だが、フォルクスワーゲンとしては期待するほどビシッとしていない。高速域重視なら「ゴルフ」に手を伸ばしたくなるだろう。
DSGのようなクラッチ発進タイプは、アイドリングストップからの再始動でスムーズさを確保するのがトルコンに比べると難しいものだが、今回の試乗ではほとんど違和感を覚えなかった。坂道発進で急にアクセルを踏みこむなど少々イヤらしい乗り方も試してみたがガクンとすることはなし。始動時の音・振動はそれなりに発生するが、不快なほどではなく十分に許容範囲だ。
輸入車はカタログ燃費と実用燃費の乖離(かいり)が少ない傾向にあるが、最近ではエコカー減税の影響か、インポーターもカタログ燃費に力を入れてきているので、乖離は少々生じるようになってきている。それでもポロは低回転からトルクフルという特性によって、カタログ燃費の計測より負荷が大きい実用燃費域で強いことは間違いない。
高品質感や乗り味の良さはもちろんのこと、燃費計の数字を日々チェックしても満足度が高いブルーモーション テクノロジー。いいものだからこそ長く付き合いたくなるはずだ。
(文=石井昌道/写真=小林俊樹)

石井 昌道
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