第3回「マクラーレンMP4-12Cスパイダー」
2013.06.21 水野和敏的視点クルマは故郷の道が育てるもの
ジャーナリストの皆さんはマクラーレンの「MP4-12C」を、そろって高く評価していますね。僕は今日、雨の箱根で初めてMP4-12Cのスパイダーモデルを運転して、まずは「いかにもイギリスのクルマらしいな」と感じました。やはり、クルマには、その国の文化や道路事情が色濃く反映されるのです。今回は、少しこの話をさせてください。
クルマというのは、当然のことながらどこで走らせるかによって作り方がずいぶん変わってきます。例えば、ドイツといえば何といってもアウトバーン。昔に比べれば速度無制限区間はずいぶん減りましたが、それでもいまだに残っているし、何よりも「速いクルマが先に到着する」という大原則が現在も息づいています。
だから、ドイツのクルマは速く走ることが得意。それも曲がりくねったところよりは、直線もしくは緩くカーブした道に合わせたクルマ作りになっています。ハンドリングも高速時のスタビリティー重視だし、乗り心地だってそう。ドイツ車は安全性の高さにも定評がありますが、それもアウトバーンがあればこそといえるでしょう。
それに比べるとイタリア車には、小さくて、すばしっこいクルマが多い。イタリアには狭い道が多いからでしょうか。
一方、フランス車は乗り心地がゆったりしているといわれますが、これは街路樹が石畳の下に根を張って、路面が強くうねってしまっていた頃の名残だなんて話もあります。
では、これまでも多くのスポーツカーを生み出してきたイギリスはどうでしょうか。イギリスもまた、一般道の流れは高速道路に負けず劣らず速い場合が多いため、イギリス人の多くは高速道路を使って遠回りするくらいなら、一般道で近道をする方を選ぶなんていわれます。
もっとも、いくら流れが速いといっても、もともとは獣道(けものみち)のようなものが発展していった道路でしょうから、直線ではなく緩やかなカーブが連続します。そこに、イギリス特有の丘陵が重なり、カーブとアップダウンがほどよく組み合わされた、気持ちのいいワインディングロードが続いています。
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