第30回「スズキ・スイフトスポーツ」

2013.12.27 水野和敏的視点

古典的な成り立ち

「スポーツ」をキーワードに、各国の個性派モデルを取り上げている「水野和敏的視点」。今回は、待っていた読者の方も多いのではないでしょうか? わが国のホットハッチ市場で、孤軍奮闘している感のある「スズキ・スイフトスポーツ」です。

おなじみのイエローのボディーカラー。欧州では3ドアモデルも用意されますが、国内は5ドアのみ。スポーツハッチといえども、今や実用性が最優先なんですね。日本のユーザーの多くが生真面目に、「スタイルが良くスポーティーな3ドアモデルよりも、“いざ”という時にはドアが4枚ある方が便利」と、きっと考えているのでしょう。このクラスでは、もはや“スポーツステータス”という市場キーワードがなくなってしまったのが現実なのかもしれません。

以前は、トヨタも日産もこのマーケットに多彩なモデルを用意していました。日産には「マーチ スーパーターボ」(930ccの直4エンジンにターボチャージャーとスーパーチャージャーを装着していた)という個性派も存在していたのですが……。
このような中で、市場に存在しているだけでもスイフトスポーツには価値があると思います。

エンジンは、1.6リッターの自然吸気。可変吸気システムと吸気側のバルブタイミング&リフト量を変化させるVVTを併用して、136ps/6900rpmの最高出力と、16.3kgm/4400rpmの最大トルクを発生します。燃費は、6段MTモデルが14.8km/リッター、CVT車が15.6km/リッターです(いずれもJC08モード)。試乗車は、3ペダルの6段MT。いわゆる“テンロク”の、いまや古典的な存在のホットハッチといえます。早速乗ってみると……。

うーん……、最初に気になるのが、フロントシートのつくりです。座面(シートクッション)や背面(背もたれ)の形は一見、俗に言うスポーツシートですが、ハッキリ言って中身がない「見かけだけ」です。シートクッションの前端が角張りすぎていて、クラッチを踏むとひざの裏が痛いし、クッションそのものもフィット感やストローク感がなく、平板で硬い。腿(もも)の付け根とひざの裏の間が中途半端に浮いてしまうばかりか、シート生地が極端に滑りやすいため、体に合わないだけでなく、サポートやホールドもできない、文字通り「すわりが悪い」シートです。

スポーツシート風の見てくれだけでなく「機能」と「性能」について、開発担当はもう一度、原点に返って考え直してほしい。改良されて出てくることを期待したいと思います。

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