第37回「ランドローバー・レンジローバー スポーツ」
2014.02.21 水野和敏的視点ステアリングはもっと“スポーツ”でもいい
今回はランドローバーの最新モデル「レンジローバー スポーツ」に乗ってみましょう。
「ポルシェ・カイエン」に対抗する、ランドローバーのスポーティーなポジションに位置するSUV。先代は「ディスカバリー3」のインテグレーテッド・ボディー・フレームの上に、母屋たるメインボディーを載せていましたが、昨2013年3月のニューヨーク国際モーターショーで発表された新型は、「レンジローバー」同様、オールアルミのモノコックとなりました。
日本に輸入されるのは、スーパーチャージャーで過給する5リッターV8(510ps)を積んだ「オートバイオグラフィー ダイナミック」(1260万円)と、3リッターV6スーパーチャージド(340ps)の「HSE」(903万円)、そして同「SE」(798万円)です。いずれも、トランスミッションは8段ATになります。
今回の試乗車は、最上級の5リッターモデル。「コマンド・ドライビング・ポジション」と呼ばれる、着座位置の高い運転席に座ってみると、シンプルなインテリアが目の前に広がります。全体にハイクオリティーで、キレイにまとまっています。さすがに、ブランドとしての造り込みと風格がにじみ出ています。
全長は4855mm、全幅は2mに迫る1985mmで、全高は1800mm。車体寸法のわりには小径のステアリングホイールを握って動き始めると……。
20km/h以下の低速域では、ステアリング操作に対するボディーの反応がひどく遅れますね。ハンドルを切ってその後、何の反応もなく、しばらくはそのまま。後になってグイッと鼻先が曲がってきます。「アレ!? 切り足りなかったかな?」と思うくらい遅れがひどく、後から曲がりだすので、どうかするとハンドルを切りすぎてしまい、後で戻すぐらいの操作になっちゃいますね。
これがランドローバーなりの“味つけ”なのでしょうけれど、個人的には「ものすごい違和感」を覚えます。本当にこれで、ぬかるみからの脱出や雪道轍(わだち)路走行での微妙なハンドル操作ができるのでしょうか?
私はとかくスポーツカー人間と思われがちですが、実はスポーツSUVの開発も相当やってきたのです。砂漠のアドベンチャードライブやデトロイトのスノーモービルコースでの雪道脱出など、世界中のいろいろな場所で走ってきました。
その中で出した私の結論は、「ステアリングのキックバックを処理する際、低速でのステアリングは遊びがなく、反応が良いほど、雪道や泥濘(でいねい)や砂からの緊急脱出において、前後の揺り返し走行での脱出操作はしやすい」です。
また、高速道路や山岳路で走りを楽しむためにも、片手運転でステアリング操作したときの機敏性はすごく大事なことだと思いました。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
この記事は会員限定公開です。webCGプレミアムプラン会員に登録すると<月額550円(税込)>、続きを読むことができます。
登録初月無料! | クレジットカードで会員登録いただくと、ご契約いただいた日からその月の末日までが無料になります。いつでも解約可能です。 |
---|
- 毎月20本以上、新型車の試乗記が先取りで読める!
- 人気のさまざまな連載エッセイも、いち早く読める!
- 100車種超! 「谷口信輝の新車試乗」がぜんぶ読める!
- あの漫画家・池沢早人師の特集記事も堪能できる!
- 頭脳派レーシングドライバー山野哲也の車評が分かる!
- 『日刊!名車列伝』で世界の名車に毎日触れられる!
- 自動車メーカー関連グッズのプレゼントに応募できる!
- 話題のニューモデルのアツい走りが動画で見られる!
-
ランドローバー・ディフェンダー130 X-DYNAMIC HSE D300(4WD/8AT)【試乗記】 2023.5.27 試乗記 2023年モデルとして導入がスタートした3列シート8人乗りの「ランドローバー・ディフェンダー130」に試乗。5人乗りの従来型「90」や7人乗りの「110」との違い、そして330mm延長された全長がもたらす広々とした室内空間の特徴をリポートする。
-
-
ランドローバー・ディフェンダー130/ディフェンダー110/ディフェンダー90【試乗記】 2023.4.17 試乗記 ランドローバーのクロスカントリーモデル「ディフェンダー」に追加された、3列シート8人乗りのロングバージョン「130」。このニューモデルを含むディフェンダーの現ラインナップに、緑豊かな三宅島で試乗。オンロード/オフロードの両方で、その実力を確かめた。
-
ランドローバー・ディフェンダー110 X D300/ディフェンダー90 HSE P300【試乗記】 2021.7.15 試乗記 ランドローバーの本格クロスカントリーモデル「ディフェンダー」に、魅力的な2つの仕様が追加された。3ドア・ショートボディーの「90」と、最大トルク650N・mを誇る3リッター直6ディーゼル。日本に導入されたばかりの、両モデルの走りをリポートする。
-
先代「ランドローバー・ディフェンダー」のレストア販売モデルに30台の限定車が登場 2023.5.15 自動車ニュース ランドローバー・クラシックが「クラシックディフェンダー ワークスV8アイラエディション」を30台限定で販売する。先代「ディフェンダー」のレストア車両をベースに、ランドローバーの創設者が所有していた「シリーズIIA」をモチーフにした内外装を施している。
-
ランドローバー・ディフェンダー110 X D300(4WD/8AT)【試乗記】 2021.9.3 試乗記 「ランドローバー・ディフェンダー110」の最上級ディーゼルモデル「X D300」に試乗。悪路をものともしないタフなパフォーマンスと、ラグジュアリーモデルもかくやという内外装の組み合わせは、果たしてドライバーをどんな世界にいざなってくれるのか。