第4回:特濃な魅力にクラクラ!
輸入車チョイ乗りリポート~650万円から1000万円編~
2014.03.05
JAIA輸入車試乗会2014
排気量6リッターオーバーの怪物に、硬派極まるミドシップスポーツ……。お値段も3ケタ万円の後半になると、「さすが国産車とは違うね!」というだけではその魅力を語れない、特濃な面々が集うようになる。中でも編集部が注目したのがこちらだ。
癒やし系BMW
BMW 523dツーリング……671万円
皆さんは、先代「BMW 3シリーズ」のCMを覚えているだろうか? カラスが「割ってちょうだい」と路上に落としたクルミを、ドライバーがひょいっとかわして見せるやつ。あのCMのイメージもあって、私はBMWと聞くと、いまだにハンドルを切ったら「スパッ」と反応して「シャーッ」と旋回するクルマを想像してしまう。クルマの進化に、記憶の更新が追い付いていないのである。
だから「523dツーリング」に乗って「おお?」と思ってしまった。このクルマ、ドライバーを刺激したり、驚かせたりするようなことがない。
車内空間は快適そのもの。2リッターのディーゼルターボは「根は優しくて力持ち」で、西湘バイパスの70km/h走行を7速、1400rpmで粛々とこなす。乗り心地についても、接地感のないふわふわした感じではないのに、外からの入力は「タン、ターン」と情報だけ伝えて衝撃は受け流す。対応がオトナ。見習いたい。テスト車はオプションのアクティブサスを装着していたので、それもあるのかも。
ここで「あ、『ドライビング・パフォーマンス・コントロール』(BMWの可変制御システム)がずっと『コンフォート』だった」と気づき、「スポーツ」モードを試してみる。ギアが1段落ち、70km/hでの回転数が1700-1800rpmあたりに上がる。エンジンが最大トルクを発生する回転域の入り口だ。アシも適度に固くなるけど……うーん。なんというか、コンフォートモードの方が、このクルマ本来の姿な気がした。
意外にも癒やし系。こういうBMWも大いにありです。
(文=webCG 堀田/写真=峰 昌宏)
4シーターオープンの白眉
メルセデス・ベンツE250カブリオレ……699万円
カブリオレ(カブリオ)やコンバーチブルは、字義どおりに解釈すれば ルーフが転換可能な(convertible=to be converted)クルマのこと。つまり、クルマの基本形はオープン状態ではなく、クローズド状態と考えるべき。
というわけで、まずはトップを閉じたままで西湘バイパスに出た。「Eクラス」のクーペとカブリオレはメカニズム的にはその多くを「Cクラス」から受け継いでいるそうだが、そのメカニズムの「許容量」はよほど大きいらしい。しかもチューニングが巧みなようだ。あらためて乗る「Eクラス カブリオレ」は、Eクラス的な滑らかさとしなやかさがしっかり演出されていて、なかなかにラグジュアリーな乗り味であった。
一方で、Eクラスのセダンより10cmあまり短いホイールベースがもたらす足どりは小気味いい。足まわりは重厚にすぎず、軽快にすぎず。まとまりとしては「E」でなければ「C」でもない、独特なタッチとテンポ感を持つクルマに仕上がっている。そして室内が、期待以上に静かだったのも印象的だ。
(文=webCG 竹下/写真=峰 昌宏)
モテキはすぐそこ?
ジープ・グランドチェロキーSRT8……724万5000円
いまどき「クルマでモテたい」なんて、ナンセンスなことらしい。でも女性に“乗せてもらいたいクルマ”を聞くと、イメージはあるらしい。いわく、背が高い、中が広い、快適、ゴージャス、遅いのはヤダ、などなど。(※個人の感想です)
なら「グランドチェロキーSRT8」は相当期待できる(何が?)。でっかいラグジュアリー・ジープの最高峰、ハイパフォーマンスモデルなんだから。悪路のことは、さておいて。
見どころは、何といっても6.4リッターV8エンジン(468ps、63.6kgm)。ボンネットの“穴”だけでも迫力満点だ。さらには、凝った大径ホイール。情熱の赤いブレーキ。革とカーボンのインテリア。女はどうだか知らないが、男たちにはグッとくる(はず)。
その加速ときたら……実は、目をむくほどは速くない。2.4トンありますから。300km/hのメーターも、ホントのところは“なんちゃって”。出せても240km/h程度だ。でも構わない。出さないから。流してるだけで気持ちいいから。
一方、ハンドリングは意外にしっかり。腰高だけれど、これなら安心して乗れる……と思ったら、ステアリングやパワートレインは専用仕立てであるそうだ。
聞けば、日本で売れるのは年100台程度と、それほど多いわけじゃない。ライバルは「ポルシェ・カイエン」だというけれど、あちらはどれも1000マン以上。価格と装備を考えると、もっとモテてもよさそうだけれど……え? 自動車税? 重量税? 燃費はどうかって? ……そこはなんとか、広い心で。
(文=webCG 関/写真=峰 昌宏)
潔いまでに硬派
ロータス・エキシージS……850万円
相当に敷居の高いクルマであります。比喩的な話だけじゃなくて、実際にも。なにせサイドシルがぶっというえに嵩(かさ)があるものだから、速やかに乗り降りするにはネコ並みの柔軟さが必要になる。
乗り込んでみても、内装はボディー構造に必要な備品を据え付けただけ、といった風で、850万円のお値段を疑いたくなるほど素っ気ない。タイトなペダルレイアウトは革靴やブーツの類いを完全拒否。バケットシートはホールド感抜群。抜群すぎて、体のゆるいドライバーに暗にダイエットを意識させるほどだ。
走りだしても安楽とは程遠い。アシストなしのステアリングからは路面と前輪の状況がバシバシ手のひらに伝わってくるし、操舵(そうだ)に対する忠実さも「あくび厳禁、くしゃみしたら車線変更」なレベルで、ドライバーに常に運転に集中することを求めてくる。
乗り心地は「運転席は気持ちいい(楽という意味ではない)けど助手席は悪夢」の典型的なパターン。少なくとも今回試乗した「レースパック+ピレリPゼロ トロフェオ」仕様のクルマは、デートに使うべきではないでしょう。
乗用車的な快適性はもちろん、この価格帯のスポーツカーに求められる「モテ」とか「イバリ」といった要素さえ一顧だにせず、すべてが走ることだけにフォーカスしている。例外はエアコンと、申し訳程度に備えられたオーディオだけ。
潔いまでに硬派。荒木飛呂彦風に言うと、そこにシビれる、あこがれる。
(文=webCG 堀田/写真=峰 昌宏)
※価格は、いずれも5%の消費税を含む。

堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
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