レクサスGS F(FR/8AT)
サーキットが本籍 2016.03.25 試乗記 477psの5リッターV8エンジンを搭載するレクサスのハイパフォーマンスセダン「GS F」に試乗。サーキットで鍛えられた走行性能は、その一方でごく日常的な走りの場面において、どのような味わいをもたらしてくれるのだろうか。高性能の“日常領域”をチェック
プレスリリースによれば、レクサスGS Fは「日常からサーキットまで、誰もがシームレスに走りを楽しめる」クルマであるという。オプション込みで1200万円という価格もさることながら、340km/hまで刻まれた速度計をみても、サーキット走行などを想定した、破格の高性能車であることがうかがわれる。自然吸気の5リッターV8エンジンは477psと54.0kgmを発生し、トランスミッションは8段ATというスペックからも、タダの4ドアセダンではないことが想像できる。
あいにく筆者はそうした高速性能をチェックできる立場にはないので、ここでは公道上の法定速度内での印象に限り、この手の高性能車に求められる、高度な直進性や乗り心地についてチェックしてみた。写真や数値から判断できることは、読者ご自身の感想の方が確かだと思われる。
運転席に座った印象は、シートのサイズ感やホールド性もまずまずで、想定されるユーザー層にこびて、肥満気味の体形に合わされていないところがイイ。メーターに目をやれば、340km/hまで詰め込まれた速度計の目盛りは数字が小さくて読みにくい。高速になればメーターを見る時間は限られるから、しっかり確認するためには時間がかかりすぎてしまい危ないのでは? このメーターでは、速く流れる外の景色からパッと視線を移して瞬時に読み取るのは大変だ。水温や油温などのメーターも同様に表示が小さい。
最近はパソコンとか電子機器系の表示もことさら小さな文字を多用するのが流行らしいが、逆にやや大きめにしたほうがこのクルマの目的にはかなうと思う。もしくはハイテクを誇示するなら、表示をまったくなくしてしまって警告ランプのみにしてしまうのも、ドライバーの判断に頼らないというメーカーの自信を示すやり方かもしれない。