クライスラー300S(FR/8AT)
アメ車本来のうま味がある 2016.04.21 試乗記 マイナーチェンジを受けた、クライスラーのセダン「300S」に試乗。化粧直しが施された内外装や、新たに追加された運転支援システムがもたらすドライブフィールを報告する。孤軍奮闘のセダン
日本の正規ディーラーで買える数少ないアメリカンセダンのひとつが、「クライスラー300」である。数少ないというか、「ATS/CTS」のキャデラック系と、これしかない。
キャデラックATSのベンチマークは、「BMW 3シリーズ」である。CTSもメルセデスの「Eクラス」あたりを意識したフシがうかがえる。その点、クライスラー300は見た目からして、より正統アメリカンである。
FRのフルサイズクライスラーセダンとして登場したのは、ダイムラークライスラー時代の2004年。現行型は2011年にモデルチェンジを受けた2代目だが、プラットフォーム(車台)は変わっていない。チョップトップふう上屋を持つボディーの基本フォルムも同じだ。
2代目ではステーションワゴンが消滅するなど、SUVの荒波にのみ込まれるばかりかと思われたが、“押し出し”のわりにお値ごろ感が高いこともあって、絶滅危惧種の米国ラグジュアリーセダンとしては最も健闘している。2016年に入ってからの米国内セールスは、月平均5300台。キャデラックCTSの4倍、メルセデス・ベンツEクラスの2倍近く売れているのだから、立派なものである。
6.4リッターV8の「SRT8」(756万円)もあるが、今回試乗したのは3.6リッターV6の300S(577万8000円)。キャデラックと違って、いずれも右ハンドルで乗れるのが300のアドバンテージである。
2015年秋に国内導入された最新モデルは、内外装が見直され、機能面ではアダプティブクルーズコントロールや車線逸脱警報を標準装備するなど、安全装備がアップデートされている。