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第346回:電気自動車でジムカーナ? 
「日産リーフ」のスポーツ性能を試す

2016.05.31 エディターから一言
ジムカーナコースで熱い走りを見せる「日産リーフ」。
ジムカーナコースで熱い走りを見せる「日産リーフ」。拡大

「日産リーフ」でジムカーナに挑戦! そこで垣間見た、”電気で走るクルマ”のワイルドな一面とは? 「ノート」との比較で体感した、“ふつうのコンパクトカー”との違いと併せてリポートする。

ジムカーナ試乗会が開かれたのは千葉県の「ロングウッドステーション」。ダム湖と森に囲まれた自然豊かな場所である。
ジムカーナ試乗会が開かれたのは千葉県の「ロングウッドステーション」。ダム湖と森に囲まれた自然豊かな場所である。 拡大
「リーフ」での走り方をレクチャーする日産自動車 車両実験部の河本晃一さん。河本さんは、全日本ジムカーナに参戦する現役のドライバーでもある。
「リーフ」での走り方をレクチャーする日産自動車 車両実験部の河本晃一さん。河本さんは、全日本ジムカーナに参戦する現役のドライバーでもある。 拡大
まずはガソリン車の「ノート」でコースを試走する。
まずはガソリン車の「ノート」でコースを試走する。 拡大
ダッシュボードにはコース図が貼られているものの、当然ながら走行中に確認する余裕はない。
ダッシュボードにはコース図が貼られているものの、当然ながら走行中に確認する余裕はない。 拡大

エコカー=退屈というイメージを変えたい

「日産リーフのジムカーナ試乗会に行きませんか?」
編集部から最初にこの話をいただいたときは、一瞬「はぁ?」と思ったけれど、すぐに「なるほど!」という気持ちに変わった。

電気自動車のリーフは、床下全面にリチウムイオンバッテリーを敷き詰めているので、重心が低い。しかも前輪を駆動するモーターは同じクラスのガソリン車が積むエンジンよりも軽いので、ノーズの動きも軽快だ。おまけにモーターは超低回転で最大トルクを発生するので、急旋回からの立ち上がりで有利。満充電での航続距離の短さも、競技時間が短いので問題ない。

考えれば考えるほど、ジムカーナに向いているのではないかと思ったのだ。今回はメディア向けのイベントだったけれど、本気で挑戦しても面白いのではないだろうか。

コースが設定されたのは、千葉県にあるロングウッドステーションという場所。2年前に話題になった、米国のミュージシャンが某社のパーソナルモビリティーに乗りながら歌い踊る様子をドローンで一発撮りしたミュージックビデオの舞台でもある。

日産社内には、「フェアレディZ」で全日本ジムカーナに挑戦している現役ドライバー車両実験部の河本晃一氏がいて、コース設定は彼の手になる。エンジン車との違いを体感してもらうべく、同じコースを「ノート」でも走った。どちらもタイムを計測して、感覚的な部分だけでなく、数字でも速さを知ってもらおうという内容だった。

そのねらいは、「エコカーはつまらない」と言われるけれど、電気自動車はそうではないことをアピールしたかったのではないかと思われる。テレビCMでは、0-400m加速でかつてのスポーツクーペ「180SX」に勝つシーンを流して賛否両論を巻き起こしたけれど、相手がノートなら非難は受けずにすみそうだ。

誰でも簡単にロケットスタートが決められる

まずはノートで挑戦。「右足でアクセル、左足でブレーキペダルを踏み、アクセルを軽く踏み込んだ状態でブレーキから足を離すとスタートダッシュが決まります!」というアドバイスを受けたものの、発進加速はおっとりしていて、この瞬間だけでもジムカーナに不向きであることが分かる。

おかげで(?)ブレーキに不満はなかったが、コーナーに入ると今度は、前輪のグリップレベルの低さに驚かされる。過去に所有したホットハッチの経験を思い出し、ブレーキやステアリングを駆使して後輪を振り出しつつ、とにかく前輪に最大限の仕事をさせようと自分なりに考えながらドライブしたけれど、立ち上がり加速はおっとりしているし、やっぱりジムカーナ向きじゃないんだと痛感させられた。

続いてリーフへ。こちらはアクセルペダルを全開にしたまま止まっていられる。先ほどと同じようにブレーキから足を離すと、ロケットスタートでコースにはじき出された。エンジン車ではここまでの突進は難しいだろう。

コーナーでのグリップレベルもノートとは段違い。ただし身のこなしが軽快というわけではなかった。ノートより約400kg重い1.5t近い車両重量が伝わってきたことも事実だ。

それとともに、古典的なドライビングテクニックが通用しにくいクルマであることも知った。低重心で前後の重量配分が良いからだろう、ブレーキやステアリングをきっかけにして向きを変えるようなアクションには、あまり応えてくれないのだ。

360度ターンに臨む「日産ノート」。ドライバーの必死さとは裏腹に、その動きはゆったりとしている。
360度ターンに臨む「日産ノート」。ドライバーの必死さとは裏腹に、その動きはゆったりとしている。 拡大
タイムは光電管を用いて100分の1秒まで計測される。
タイムは光電管を用いて100分の1秒まで計測される。 拡大
「ノート」に続いて、今回の主役「リーフ」でスタート。発進時から最大トルクを発生するEVの特性もあって、スタートダッシュはかなり鋭い。
「ノート」に続いて、今回の主役「リーフ」でスタート。発進時から最大トルクを発生するEVの特性もあって、スタートダッシュはかなり鋭い。 拡大
コーナーでのグリップレベルも「ノート」とは段違い。低重心であることも効いているようだ。
コーナーでのグリップレベルも「ノート」とは段違い。低重心であることも効いているようだ。 拡大

昔ながらの運転では実力は引き出せない

身のこなしについては、発売直後のリーフに公道で乗ったときの記憶と比べても、軽快感が薄れているように感じた。デビュー2年後の2012年、モーターやインバーター、コンバーターなどを小型軽量化したうえで、リアの荷室下からフロントのモーター上に移動したことが関係しているかもしれない。

広報資料によると、それでも前輪荷重は870kgから860kgへと軽くなっており、後輪荷重は650kgから620kgへと30kgのダイエットに成功している。しかし前後重量配分は57:43から58:42に移行しており、ガソリンエンジンの前輪駆動車に近づいているのである。

もうひとつ実感したのはVDC、つまり横滑り防止装置のオン/オフで、走り味が激変することだ。VDCを作動させた状態で走ると、限界の手前から出力をかなり絞ってくる。ところがカットすると、コーナーの立ち上がりで内側の前輪を激しく空転させながらダッシュしていく。想像以上にワイルドな一面を持っていた。

終了後に発表された結果を見てがくぜんとした。リーフでの順位は21人中11位とほぼ真ん中だったのに対して、ノートでは3位だったのだ。いかに昔ながらのテクニックに頼っていたかが分かろう。モダンなクルマにはモダンなドライビングをもって接するべきであることを、貴重な体験で教えられた。

(文=森口将之/写真=郡大二郎)
 

スキール音だけを響かせ、パイロンを次々とクリアしていく「リーフ」。VDCをカットしているため、コーナーの立ち上がりでは前輪から白煙が上がる。
スキール音だけを響かせ、パイロンを次々とクリアしていく「リーフ」。VDCをカットしているため、コーナーの立ち上がりでは前輪から白煙が上がる。 拡大
今回試乗した「リーフ」は2015年末に発売された最新モデル。30kWhの駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離をそれまでの228kmから280km(ともにJC08モード)へと向上させている。
今回試乗した「リーフ」は2015年末に発売された最新モデル。30kWhの駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離をそれまでの228kmから280km(ともにJC08モード)へと向上させている。 拡大
「日産リーフ」とジムカーナ。一瞬「はぁ?」という取り合わせに思えたものの、電気自動車の持つ“ワイルド”な一面を垣間見ることができた。
「日産リーフ」とジムカーナ。一瞬「はぁ?」という取り合わせに思えたものの、電気自動車の持つ“ワイルド”な一面を垣間見ることができた。 拡大
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