第352回:走る楽しさと快適性を両立
横浜ゴムの新製品「アドバン フレバV701」を試す
2016.06.25
エディターから一言
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横浜ゴムのフラッグシップブランド「ADVAN(アドバン)」から、新製品「FLEVA(フレバ)V701」が登場。2016年8月に発売される。「楽しいハンドリング」という明快なコンセプトのもとに開発された新製品の狙いとは? その出来栄えをテストコースで試した。
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タイヤ業界におけるブランド戦略の先駆者
長時間の高速走行に強いタイヤ、悪路でもバーストしにくいタイヤ……と、その程度の分類はなされていても、まだ「タイヤに対するブランド戦略」などは誰も思いつかなかった時代。国内トップメーカーであるブリヂストンが今へと続く「ポテンザ」を立ち上げるよりも早く、1978年に「アドバン」なるブランドを発表したのが横浜ゴムだった。
当時としては、“常識外れ”でさえあった圧倒的に高いグリップ性能により、たちまちスポーツ派ドライバーの羨望(せんぼう)を集めたのが、初のアドバン製品である「HF」。学生の身分ながら、バイト代のすべてを注ぎ込んで、早速当時の愛車であった「KP61スターレット」に装着。意気揚々と筑波サーキットへと乗り込んだものの、ウルトラ高いグリップ力と引き換えの走行抵抗などが災いしてか、コーナリングスピードは高まってもラップタイムはさして変わらず。そんなことをやっている間にたちまち溝はなくなり、程なく“か細い標準タイヤ”に戻さざるを得なくなった……なんていう個人的な思い出も、実はこのブランドにはあったりする。
そんなアドバンから、この8月に新しいモデルが追加される。「フレバ」というサブネームが与えられた「V701」というタイヤがそれだ。
現在のアドバンブランドは、ハイパワースポーツカーなどへの装着を念頭に置いたグローバルフラッグシップの「V105」を擁する「ADVAN Sport(アドバン スポーツ)」、絶対的なスピード性能を追い求めたリアルスポーツモデルの「NEOVA(ネオバ)」、そしてコンフォート性能を追及した「dB(デシベル)」という3本柱で構成されている。
そこに、「楽しいハンドリングで、走る歓(よろこ)びを提供する」という新しいテーマと共に投入されるのが、このアドバン フレバV701となる。
グリップ力はもちろん快適性にも配慮
前述のように、当初は「バリバリのスポーツタイヤ」というイメージが強かったアドバンブランド。けれども、現在のアドバンが掲げるのは、タイヤにおける“グローバル・フラッグシップブランド”なる価値観だ。
実際、このV701はハイパフォーマンスでスポーティーなアイテムではありつつも、「サーキット走行を目指すユーザーまでは、ターゲットとはしていない」と言い切る。
クルマに趣味性は求めても、エンジンをチューニングするほどではなく、純正オプションや社外品のエアロパーツを装着したり、ローダウンサスペンションを組み込んでドレスアップを図ったり……と、その程度の“ライトチューン”に興味を示す層までを狙った新タイヤ、と理解をすると分かりやすいかもしれない。
構造上のベースは、前出のフラッグシップモデルであるV105。タイヤの基本的な性格を決定させるプロファイル(断面形状)はV105のものを継承しながらも、実際に路面と接触して摩擦力を生み出すトレッドコンパウンド(ゴム)には、雨天時のグリップ力と燃費に寄与する転がり抵抗低減により配慮をした、V105用とは異なる材質を採用したという。
ハイパフォーマンスタイヤを連想させる、大きなブロックと太いストレートグルーブを基本に構成されたトレットパターンは、いかにもスポーツタイヤがその発祥であるアドバンの一員という印象。ただしそのデザイン要素には、摩耗時でもノイズが急増しないようにする工夫なども、ひそか(?)に採用されているという。
静かで快適、しかも十分に楽しめる
ツインリンクもてぎにほど近い、日本自動車研究所(JARI)のテストコースで開催されたイベントでは、主に事実上の前任モデルにあたる「Sドライブ」と比較するカタチでV701の実力を試してみた。
まずはSドライブ装着の「フォルクスワーゲン・ゴルフ」で走行し、次に同じルートに同じゴルフのV701装着車でコースイン。すると、走り始めてすぐに実感できたのが、快適性が明確に向上したこと。Sドライブで感じた低速でのゴロゴロとしたザラつき感や、ロードノイズのレベルがV701ではハッキリと小さい。その他の車両での印象も同様で、個人的にはまず、「静かで快適なタイヤ」というのがV701の第一印象を得た。
一方、同じくV701とSドライブを装着した2台の「トヨタ86」で散水路でのフルブレーキングやパイロンスラロームを試みると、今度はV701のウエットグリップ力の高さや、ハンドリングの自由度の高さが明確になることに。いわゆるウルトラ・ハイグリップタイヤほどの“鬼グリップ力”は持たないものの、スキール音の発生ポイントも比較的遅く、「ワインディング路をちょっと飛ばす」程度のペースであれば、十分に楽しめるタイヤであることは間違いない。
軽快でちょっとスポーティーな走りは楽しみたいけれど、日常シーンでの快適性や燃費性能は犠牲にしたくない……そんな欲張りなユーザーに向けた車種を選ばないアドバンが、新登場のフレバV701といえそうだ。
(文=河村康彦/写真=横浜ゴム、webCG)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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