第29回:ディーゼルはまだ死なず!
2017.02.14 カーマニア人間国宝への道Eクラスディーゼルがあった!
2年半前欧州で乗った不正ディーゼルエンジン搭載の「フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアントTDI」は、これまで私が体験したすべてのディーゼルエンジン中、最良といえるフィーリングであった! ということを、先週は書かせていただきました。
が、もうそんなクルマは入手できない。
お手ごろ価格のディーゼル乗用車は2リッターまでの4気筒エンジン搭載だが、まっとうなエンジンはどれもこれも性能やフィーリングは似たり寄ったり。よってディーゼル乗用車選びの決め手はスタイリングやインテリア! という投げやりな結論になりつつあるが、実はつい最近、「これは!」という4気筒ディーゼルに出会いました。
そのエンジンは、まるであのフォルクスワーゲン不正ディーゼルのようなシャープな吹け上がりと回転落ちを見せつつ、さすがの分厚いトルクで決して軽くない車体を軽々と加速させ、JC08モード燃費で20.0~21.0km/リッターをマークするエリートなヤツである。
搭載車の名は、「メルセデス・ベンツE220d」。私が乗った個体は「E220dステーションワゴン アバンギャルド スポーツ(本革仕様)」という長ったらしい車名だった。
新型「Eクラス」のディーゼルが日本に導入されたのは昨年11月。私もつい先日JAIA大試乗会で初めて乗ることができ、かなり衝撃を受けました。
63歳まで待てないッス!
先代まで、ディーゼルに関しては主に3リッターV6を積んでいた日本仕様のEクラスだが、新型では現状2リッター4気筒のみ。その排気量で194ps/400Nm(40.8kgm)を発生させする。この数字、今や「ちょいパワフル系の2リッターディーゼル」の範疇(はんちゅう)で、飛び抜けたスペックとはいえないが、194psってちょっと前のガソリンターボのソレだよね? こんなもんをたったの3800rpmでたたき出された日にゃ、ガソリンエンジンの立つ瀬がない! 快適性もレスポンスもガソリンエンジン並みなんだから!
そんでもって1870kgのボディーを軽々と引っ張って、20.0km/リッター(JC08モード)をたたき出しちまう。私の試乗はほんのチョイ乗りだったが、全開加速も含め17km/リッター台だった。
日本経済新聞を読んでいると、もはやディーゼルに未来はない、全世界の主要自動車メーカーは電動化に力を入れている、という論調で確定的である。
確かに将来的にはそうなのだろう。いずれ自動車は全面的な電動化に行き着くのだろう、たぶん。しかしそれはまだ先のこと。少なくともリチウムイオンを超える革命的な電池が安価に登場するまでは、全面的な電動化はないと確信している。
一方、終わったはずのディーゼルエンジン技術は、まだ進歩を続けている。このE220dに乗ると、そう感じずにはいられない。
つってもですね、このE220dステーションワゴン アバンギャルド スポーツ(本革仕様)の車両本体価格は832万円! んなもん買えるワケねぇ!
これが300万切るのは何年後か。8年後くらいですカニ? そん時俺は63歳。もう自動車の全面的な電動化も間近に迫ってるかもしれん。
うおおおーーっ、そんなに待てないッス!
衝撃のリッター100馬力!
もう1台、これはスゴイと思ったのは、「CARBOX横浜」が並行輸入した新型「ルノー・エスパス」の1.6リッターディーゼル搭載モデルだ。
このクルマ、もちろん正規では日本に導入されていない。なにせ右ハンドル仕様自体がなく、イギリスにすら輸出されないのだ。
それにしても1.6ディーゼルとは思えないパワーとトルク、プラス静粛性&快適性&レスポンスに度肝を抜かれた。トランスミッションがツインクラッチ6段というのもスゴイし。
この巨体(車重1660kg)をこんなに走らせる1.6ディーゼルっていったいナニ? とスペックを調べると、160ps/4000rpm 380Nm(38.7kgm)/1750rpmとある。1.6だよ!? リッター100馬力じゃんか!
メカ的には、低速用と高速用ふたつのタービンを備えたツインターボを採用。低速域で力強いのはディーゼルとして当然だが、高回転域でもタレを見せずにシュオーンと吹け上がり、もはやレーシングエンジンの香りすら漂っていたのである。
ディーゼルはやれる。まだまだやれる! コストをかければだが……。
このルノー・エスパス、「イニシャルパリdCi160」という最上級グレードで549万円とのこと(CARBOX横浜の並行輸入新車販売価格)。メルセデスE220dよりはだいぶ安いが、それでも乗り出し約600万円。私にはとても手が出ない。
(文=清水草一/写真=清水草一/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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