フェラーリ812スーパーファスト(FR/7AT)
自在に操れる800ps 2017.08.01 試乗記 車名の「812」とは“800psの12気筒”の意。FRのロードゴーイング・フェラーリとしては、史上最強かつ最速を掲げる「812スーパーファスト」。その実力をフェラーリのホームグラウンド、フィオラーノ・サーキットで解き放った。これが最後の“ピュアNA”?
2016年春のジュネーブショーで正式に披露された812スーパーファストは、「F12ベルリネッタ」の後継モデルである。弟分「458イタリア」→「488GTB」や「カリフォルニア」→「カリフォルニアT」との関係にも似て、プラットフォームを共有するビッグマイナーチェンジの新型車。とはいえ、見た目にF12との共通パーツはほとんどなく、エンブレムとフロントスクリーンまわり以外は全くの別物。
ジュネーブで何よりも衝撃を受けたのは、長いノーズのナカミだった。前軸よりきっちり後ろに収まった6.5リッターV12の自然吸気(NA)エンジンが、なんと800psを発生させるというから、尋常じゃない。ちまたでは、これが“ピュアNA”、つまりターボや電気モーターの力を借りない最後のモデルになるのではないか、とウワサされている。
車名の数字812は、800psの12気筒という、シンプルなアピールだ。これもまた、フェラーリとしては異例のことで、ランボルギーニが馬力を車名にうたうことをやめた途端だったから、これまた面白い。
800psの12気筒NA。これだけは初試乗のチャンスを逃してはならぬ、と、ショーで見たときから勝手に思いを寄せていた。まだ乗りもしない段階から、とある雑誌の今年イチバン欲しいクルマ投票で1位にランクしたりもした。もう、期待で胸が張り裂けんばかり。それゆえ、マラネロで試乗会開催の案内がくると、その日程がアメリカでのグレートレース参戦期間とかぶっていたにも関わらず、アメリカ~イタリアをアクロバチックに往復してまで参加すると決めたのだった。