【フランクフルトショー2017】それぞれに存在感を示した日本メーカー
2017.09.18 自動車ニュース![]() |
フランクフルトモーターショーにおける、日本メーカーの出展をリポート。ホンダの新しいEVコンセプトカーや、このショーで世界初公開された「スズキ・スイフトスポーツ」などに加え、2018年発売予定の電動スーパーカーも大いに注目を集めていた。
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意外にも“EV一辺倒”にあらず
世界の5大モーターショーのひとつに数えられるIAA、通称フランクフルトモーターショー。今年は、開催前にドイツ連邦議会で「2030年に化石燃料エンジン車の新車登録を禁止する」という法案が可決されたことから(英国とフランスは2040年に化石燃料を使用するクルマの販売を禁止)、会場はEV一色なのでは? と思って臨んだのだが、意外にも内燃機関の新型車、それもSUVのお披露目が多く、少し安心したというのが偽らざる印象だった。
そんななかにあって、日本メーカーの展示はどのようなものだったか。今回フランクフルトにブースを構えたのは、トヨタ/レクサス、ホンダ、マツダ、スバル、スズキという陣容。日産や三菱、ダイハツは参加していないが、参加メーカーはいずれもそこそこに大きなブースを構え、日本ブランドを積極的にアピールしていた。
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注目は「ランクル プラド」と「スイフトスポーツ」
ひとつひとつ追っていくと、まずトヨタ(欧州トヨタ)は、このショーで「新型『ランドクルーザー』を発表する」と予告。いよいよ「ランクル300」の登場か? それも欧州で? と期待が(勝手に)高まったが、果たして登場したのは「ランドクルーザープラド」のマイナーチェンジモデルだった。実はトヨタは、欧州市場では“プラド”をランドクルーザーのネーミングで、“200”を「ランドクルーザーV8」というネーミングで販売している。冷静に考えれば分かりそうなものだったが、あまりにも期待値が高かったためにがっかり感もひとしお。会場の広さも相まって、ボディーブローのように効いた。
そのプラドだが、大掛かりなマイナーチェンジは現行となってこれが2度目。日本でも発表済みの通り、フロントグリルやLEDヘッドランプ、リアではテールランプやガーニッシュが新意匠となっている。インテリアは、ダッシュボードやステアリングホイールを一新。「Toyota Safety Sense P」と呼ばれる安全運転支援システムも導入される。パワープラントは2.7リッター直4ガソリンエンジンと、2.8リッター直4ターボディーゼルエンジンに加え、日本仕様では廃止されて久しい4リッターV6ガソリンエンジンも、こちらでは健在だ。同車のほかにもトヨタでは、20インチホイールを採用するなど内外装をスポーティーに変更し、よりパワーのある新しいハイブリッドシステム(詳細は未公表)を搭載した「C-HRハイパワーコンセプト」も展示された。
こうしたトヨタの出展車に対し、スズキのハイライトはスイフトスポーツの“ワールドプレミア”(世界初公開)だろう。1735mmという全幅から、日本では「スイフト初の3ナンバー」と話題のようだが、実は現行スイフトは、日本以外では標準モデルもこのサイズ。インドで売られる“スイフトセダン”「ディザイア」も全幅は1735mmあり、むしろ日本仕様がナローなのだ。エンジンは最高出力140psの1.4リッター直噴ブースタージェットで、最大トルクは230Nmと相当スポーティーに仕上がっている。エンジンはもちろんのこと、グローバルサイズのワイドトレッドがもたらす走りに今から注目である。
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主要メーカー以外にも注目すべき存在が
なにかと話題が多かったのはホンダだ。EVのコンセプトモデル「アーバンEVコンセプト」のほか、「CR-Vハイブリッド」のプロトタイプ、そしてNSXのレーシングモデル、「NSX GT3」を出展。アーバンEVコンセプトは、往年のホンダファンにどことなく初代「シビック」を想起させるデザインも話題で、2019年に市販モデルの欧州市場投入を予定している。
一方、今回が欧州初公開となるCR-Vハイブリッドは、ホンダのSUVとして初となる2リッター直4 VTECエンジンと2つのモーターを組み合わせた「i-MMD」の搭載が注目。NSX GT3はカーボンむき出しのボディーが、いかにも本籍地はサーキットですと言わんばかりの迫力ある存在感を示していた。主に欧州のGT3カテゴリーのレース(現在開催中のレースではブランパンGTシリーズが人気)で、活躍が期待できそうだ。
このほかにも、一風変わった日本からのニューモデルもフランクフルトで脚光を浴びていた。それが「ASPARK OWL(アスパーク・アウル)」である。技術系の人材派遣会社が開発したEVで、なんと0-100km/h加速が2.0秒というウルトラハイパフォーマンスカー。2014年から開発をスタートし、2018年には市販化も予定しているという。その価格は4億円程度を見込んでおり、50台の生産を考えているとのこと。ちなみにアウルという車名は猛禽(もうきん)類のフクロウから取ったもの。大きく上に開くドアが、そうしたイメージをデザインからも伝えている。日本発のEVスーパーカーの開発状況にも、今後は注目すべし、である。
(櫻井健一)
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