ヤマハXSR900(MR/6MT)
楽しみ方はさまざま 2017.10.14 試乗記 “ザ・パフォーマンス・レトロスター”をコンセプトに開発された、ヤマハの大型バイク「XSR900」に試乗。既存の車種の枠を超え、新しい価値を提供するとうたわれる、ニューモデルの走りを報告する。心をゆさぶる3気筒
ヤマハは最近、いろいろなことにチャレンジしている。その中のひとつが3気筒エンジンだ。4気筒にはない低中速のトルクを生かし、独特のワイルドなエンジンフィーリングと排気音でライダーを魅了する。3気筒を搭載した最初のロードスポーツ「MT-09」は、個性的なロードスポーツとして人気になった。このMT-09をベースとした新しいラインナップがXSR900。ヤマハ初の4ストロークマシン「XS1」をデザインのモチーフとしてアメリカ在住のコンストラクター木村信也氏とヤマハとのコラボで生まれた。木村氏は海外でも絶大な人気を誇るカスタムビルダーで、これまでも数々の話題作を発表してきている人物である。
正直な話、XSR900からXS1のイメージはまったく感じられないのだが、レトロな雰囲気が実に上手に感じられるようになっている。このマシンにヤマハの名車「RZ250」などのペイントを施した外装セットも用意されていて、これが見事なまでに似合う。これも木村氏が70年代イメージを取り入れることに成功したからにほかならない。
このマシン、エンジンを始動した瞬間に3気筒の迫力あるサウンドに包まれる。ひたすらスムーズな4気筒とは異なり、一回一回の爆発が細かいパルスとなって体に響く。そして回転が上がっていくとひときわ甲高くなり、体の芯を突き抜けいくような素晴らしくエキサイティングな排気音となる。
4気筒のようにどこまでも回っていくような高回転での伸びはないけれど、サーキットならともかくストリートで楽しむのであればXSRでもまったく不足はない。「ストリートで900ccのおいしい部分を現実的に楽しもうとしたら4気筒よりも3気筒だよな」とこのマシンで走りだすと思う。