アウディA6 3.0TFSIクワトロ(4WD/7AT)/2.8FSIクワトロ(4WD/7AT)【試乗記】
優等生すぎる 2011.08.31 試乗記 アウディA6 3.0TFSIクワトロ(4WD/7AT)/2.8FSIクワトロ(4WD/7AT)……1026万円/792万円
第7世代へと進化した、伝統のミドルクラスセダン「アウディA6」。最新モデルの魅力はどこにあるのか? 巨匠 徳大寺有恒がチェックする。
二転三転、40年
松本英雄(以下「松」):今日の試乗車は、6年ぶりにフルモデルチェンジしたアウディのアッパーミドルセダン、新型「A6」です。
徳大寺有恒(以下「徳」):新型で「A6」は何代目になるんだい?
松:前身となる初代「アウディ100」から数えると7代目ですね。
徳:そうか。最初の「100」はメルセデスみたいなクルマだったよな。ということは、あの時代、アウディはまだダイムラー・ベンツの支配下だったのか?
松:いいえ。初代「100」が登場した1968年には、アウディはすでにフォルクスワーゲンの傘下にありました。しかし、おっしゃるように初代「100」はそれ以前、1959年から64年までアウディの前身であるアウトウニオンを支配していたダイムラー色が濃いクルマでしたね。
徳:エンジンはダイムラー設計の、ちょっと変わったクロスフローのOHVだったし、スタイリングも俗に言う縦目のコンパクトによく似ていた。
松:インテリアもすごくベンツっぽかったですよね。
徳:それが2代目「100」になると、一気に フォルクスワーゲン化するんだよな。
松:そうなんです。以後アウディセダンの伝統となる6ライトウィンドウを採用したセダンは後の「フォルクスワーゲン・サンタナ」、5ドアハッチハッチバックの「アバント」は「フォルクスワーゲン・パサート」の兄貴分といった雰囲気でした。
徳:ああ、そうだったな。
松:そもそも2代目は、フォルクスワーゲンの最上級モデルとして開発されたらしいですよ。でも、上級車種はアウディブランドからというフォルクスワーゲングループ内の決定に従って、途中から「100」になったとか。
![]() |
![]() |
![]() |
徳:なるほど。で、エアロルックの3代目になって、ようやく今日に通じる「純アウディ」としてのアイデンティティが確立されたというわけだな。言うなれば初代は「FF版コンパクト・メルセデス」、2代目は「フォルクスワーゲン・デラックス」みたいなものだったわけだから。
松:1982年に登場した3代目「100」は、かなり衝撃的でしたよね。もっともあのエアロルックは、69年にアウディと合併した「NSU」の「Ro80」が下敷きになっていると思いますが。
徳:今考えると、「Ro80」はものすごく進んでたな。デビューは67年だから、3代目「100」より15年も前にあの姿で出てきたんだから。
松:ですね。ところで巨匠はその3代目「100」に乗ってたんでしょう?
徳:ああ。あまり乗らないうちに手放しちゃったんだが。当時、寄稿していた総合誌の編集者が「なんかいいクルマないですか?」と言うので貸したら、えらく気に入って、「ぜひ譲ってほしい」というので。
松:巨匠は頼まれると断れないから。(笑)
徳:アウディでよく乗ったのは、最初の「クワトロ」だな。ウチにあったのは1年くらいだけど、その間はもっぱらクワトロに乗ってた。
松:アウディの歴史を変えた、通称「ビッグ・クワトロ」も所有していたんですか。さすが、抑えるべきところは抑えてますね。