マツダの美祢試験場を行く、スカイアクティブX搭載の試験車。
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マツダの次世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X(スカイアクティブX)」搭載車に山口県の美祢試験場で試乗した。近未来のマツダはますます面白いことになりそう。そんな実感を得た試乗であった。
徐々に明らかになる次世代技術
東京モーターショーのマツダブースは、予想通り、他社と比べて大勢の人でにぎわっていた。みんなのお目当ては言うまでもなく2台のショーカー、「魁(カイ)コンセプト」と「ビジョン クーペ」である。
グレーメタリックのビジョン クーペは、次世代のデザイン言語を世に問うことを目的とした純粋なデザインプロポーザルと見ていい。しかし、赤いボディーの魁コンセプトの見どころはそれだけではない。ビジョン クーペと同様に、これまでマツダが実践してきた魂動デザインの進化形を見せながら、新しい2つの技術を提案する“ショールーム”でもあるのだ。その2つの技術とは、圧縮着火技術を用いたまったく新しいガソリンエンジンであるスカイアクティブXと、次世代プラットフォームの「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー)」である。
スカイアクティブXの「X」には、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの美点を「クロスオーバー」させるという意味が込められている。つまり、ガソリンエンジンならではの伸びの良さはそのまま維持して、軽油を圧縮着火して回すディーゼルエンジンの特長である燃費の良さやトルクの大きさ、レスポンスなどに優れたエンジンであることがうたわれている。
燃費がどれくらい良くなるのかというと、マツダの現行ガソリンエンジンであるスカイアクティブGと比べて20%改善されるという。とりわけ低車速での使用頻度が高い地域では、リーンバーンを超えるスーパーリーン燃焼の活用によって最大で30%もの改善が可能とのことで、概して最新のスカイアクティブD(ディーゼル)と同等以上が期待できるのだそうだ。スカイアクティブXは軽負荷域の燃費改善率が大きいため、「大排気量エンジンは燃費が悪い」という既成概念を切り崩せるだろうとマツダは意気込む。スカイアクティブGとスカイアクティブDに並ぶ第3の内燃機関として、2019年の実用化を目指している。