アウディQ8 50 TDIクワトロ(4WD/8AT)/Q8 55 TFSIクワトロ(4WD/8AT)
未来感たっぷり 2018.08.21 試乗記 アウディの新たなフラッグシップSUV「Q8」に試乗。ラグジュアリークーペのようなスタイリングとSUVの多用途性を両立させるというニューモデルは、どんな走りを見せるのか。南米チリの砂漠地帯から報告する。価格もフラッグシップ級
Q8はアウディ初のSUVクーペである。「SUVにクーペなんか必要あるのか?」という議論はさておき、これだけSUVが世の中にまん延すると、時代の最先端を突き進む人たちの中に「他人とは違うSUVに乗りたい」と思う向きが現れるのは世の常かもしれない。
そうした市場からの要望にいちはやく応えたのがBMWの「X6」や「X4」であり、これに追随したのがメルセデス・ベンツの「GLCクーペ」や「GLEクーペ」だった。つまり、アウディはやや遅れてこの市場に参入したわけだが、それだけに先駆者たちとは異なるキャラクターが求められたともいえる。そうした方向性はエクステリアデザインにはっきりと表れているのだが、これについては後述することにしよう。
そのモデル名からもわかるように、Q8はアウディのSUVシリーズである「Q」ファミリーの頂点に位置する。ドイツでの価格は7万ユーロ(約880万円)を軽く超え、ベースとなった「Q7」よりおよそ1万ユーロ(約126万円)高い(同じエンジンを搭載したモデルで比較)。それなのに全長はQ7より66mm短く、全高は38mm低い。
ボディーサイズは小さいのに、モデル名の数字が大きいからといって高い値付けをしていいのか? 独アウディの担当者に冗談半分でそう尋ねると、「例えば『A4』と『A5』の間でも同じようなことは起きています」との答えが返ってきた。実際に調べてみると、たしかに日本でも全長が35mm短いA5のほうがA4より30万円以上高い(同等モデルで比較)。つまり、一般的にいってセダンよりクーペのほうが小さくても高いことはあるのだ。まあ、そんなことは当たり前かもしれないが……。
一方、Q7とQ8は「MLBエボ」と呼ばれる同じアーキテクチャーを用いるものの、インフォテインメントシステムや運転支援装置などは最新の「A8」に準じたものが採用されており、Q7よりひと世代新しい。その意味でいえば、Q8の値付けはさほど不自然なものとはいえないだろう。