第18回:アウディA8(後編)

2018.12.26 カーデザイナー明照寺彰の直言
アウディA8
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メッキの装飾やプレスラインで、すっかりコテコテになった新型「アウディA8」。新しい挑戦を始めたライバルの中で、アウディのこのデザインは後れをとっているのか? 現役のカーデザイナー明照寺彰が、持論を開陳する。

現行世代のアウディの話となると、避けて通れないのがやはりこの顔。現行型「A8」だと、顔の半分ぐらいがグリルで占められている。
現行世代のアウディの話となると、避けて通れないのがやはりこの顔。現行型「A8」だと、顔の半分ぐらいがグリルで占められている。拡大
初代から現行型(4代目)までの「A8」のフロントデザインの変遷。グリルの巨大化っぷりがよくわかる。
初代から現行型(4代目)までの「A8」のフロントデザインの変遷。グリルの巨大化っぷりがよくわかる。拡大
コワモテ系のデザインが好まれると思われがちな中国市場も、最近ではトレンドが変化しているという。写真は2018年11月に催された、アウディと第一汽車との提携30周年記念イベント。
コワモテ系のデザインが好まれると思われがちな中国市場も、最近ではトレンドが変化しているという。写真は2018年11月に催された、アウディと第一汽車との提携30周年記念イベント。拡大
現行型「A8」のスケッチ。
現行型「A8」のスケッチ。拡大
こうして見ると、スケッチの段階では現行型「A8」も「アウディ・プロローグ」(新世代アウディのデザインを示唆したコンセプトカー)に近いものを目指していたことが分かる。“カッコいいデザイン”を市販車に落とし込むのは難しいのだ。
こうして見ると、スケッチの段階では現行型「A8」も「アウディ・プロローグ」(新世代アウディのデザインを示唆したコンセプトカー)に近いものを目指していたことが分かる。“カッコいいデザイン”を市販車に落とし込むのは難しいのだ。拡大

このデザインは誰の好み?

明照寺彰(以下、明照寺):ディテールの話を続けさせてもらうと、グリルまわりのコテコテ感も、「アルファード」じゃないですけど、ちょっと国産車の価値観に近い気がします。

永福ランプ(以下、永福):鬼瓦っぽさはありますね。フロントグリルを取り巻くメッキが微妙に太くてタラコっぽく見えるところも、ちょっと品がない。

明照寺:こういう細かい造作にしても、「アウディってもっと先進的でクールな方向性で行くべきだったじゃないのかなあ」とは思いますね。

ほった:お客さんが変わってきてるんですかね?

明照寺:それはあるかもしれません。

ほった:中国市場かな? 押し出しの強いの、好きそうだし。

明照寺:確かに、中国市場はちょっと前まで「そっちの方向にせざるを得ない」と言われていました。ただ、最近はトレンドが変わったらしくて、中国でも本物志向が強まっているみたいです。

永福:日本で見る中国人観光客のファッション、どんどん洗練されてきてますよね。少なくともほった君の数千倍はオシャレだよ(笑)。

ほった:さいですか。

永福:立ち居振る舞いも、ハイソな場所にいる人ほど洗練されてきてる。アウディはもともと中国市場では最強の高級ブランドだったわけじゃないですか。中国共産党の幹部はこぞってアウディだったわけで、権威の象徴でもあった。

ほった:フォルクスワーゲングループの中国進出は早かったですからね。

永福:その流れで、中国ではベンツやBMWじゃなく、アウディが頂点だったわけですけど、現状に関して言えば、アウディが「それなら」と中国向けにコテコテ系に走ったときにはもう、市場のトレンドは逆のほうに振れていたということかな。

ほった:中国でも、永福さんみたいな人から「新型A8はオッサンっぽい」って言われてるのかもしれませんね。

明照寺 彰(めいしょうじ あきら)

明照寺 彰(めいしょうじ あきら)

さまざまな自動車のデザインにおいて辣腕を振るう、現役のカーデザイナー。理想のデザインのクルマは「ポルシェ911(901型)」。

永福ランプ(えいふく らんぷ)
大乗フェラーリ教の教祖にして、今日の自動車デザインに心を痛める憂国の士。その美を最も愛するクルマは「フェラーリ328」。

webCGほった(うぇぶしーじー ほった)
当連載の茶々入れ&編集担当。デザインに関してはとんと疎いが、とりあえず憧れのクルマは「シェルビー・コブラ デイトナクーペ」。

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